大鵬薬品 スイスのバイテク企業・アラリス社を買収 血液、固形がん候補のADC3製品の開発促進に期待
公開日時 2025/03/18 04:51
大鵬薬品は3月17日、スイスのバイオテクノロジー企業・アラリス社(Araris Biotech AG)を買収すると発表した。同社は、次世代の抗体薬物複合体ADCの開発を手掛けており、独自のADCリンカープラットフォーム「AraLinQ」を有する。すでには血液、固形がんを対象に3製品の開発を進めている。今回の合意に基づき、大鵬薬品は買収完了時に4億米ドルを、また追加マイルストンとして最大7.4億米ドルをアラリス社に支払う。買収手続きは25年前半に完了する予定。
アラリス社は、スイスのパウル・シェラー研究所からのスピンオフ企業で、既存のADCが持つ課題を克服できる優れた設計、高溶解性リンカーとシンプルな製造プロセスを特徴とするベスト・イン・クラスのADC開発に先駆的に取り組んでいる。同社のアプローチの基盤は独自のADCリンカープラットフォーム「AraLinQ」で、均一で安定かつ強い効力を持つADC候補を生み出し、基礎試験において既存のADCと比較して抗腫瘍効果の増強や広い安全域を確認している。
◎「AraLinQ」技術を用いて創製した3製品が前臨床段階 25~26年中に臨床試験入り
すでに血液および固形がんを対象に「AraLinQ」技術を用いて創製した3製品が前臨床段階にあり、25年から26年に臨床試験へと進む予定。大鵬薬品としては、アラリス社の革新的なADC創薬技術を獲得することで、がん領域での継続的な開発品ポートフォリオの拡充を進めたい考え。
アラリス社のDragan Grabulovski CEO兼 共同創設者は、「2023年11月から提携している大鵬薬品と一緒になることを誇りに思う。大鵬薬品のがん治療における豊富な専門知識は、私たちが持つADC候補の血液および固形がんにおける臨床開発を加速させてくれるだろう」と強調した。