【MixOnline】パンくずリスト
【MixOnline】記事詳細

【衆院厚生労働委員会 4月8日 議事要旨 薬機法等改正法案をめぐる参考人招致から意見陳述】

公開日時 2025/04/09 05:59
衆院厚生労働委員会(藤丸敏委員長)は4月8日、政府提出の薬機法等改正法案をめぐり参考人から意見を聴取した。本誌は、参考人5人の意見陳述部分の発言について議事要旨として公開する。

(参考人)
・学校法人都築学園日本薬科大学学長 福井次矢氏
・厚生労働省ゲノム医療推進法に基づく基本計画の検討に係るWG構成員 一般社団法人全国がん患者団体連合会理事長 天野慎介氏
・ファルメディコ代表取締役社長 医療法人嘉健会思温病院理事長 狹間研至氏
・日本製薬団体連合会会長 岡田安史氏
・BCGマネージング・ディレクター&パートナー 柳本岳史氏

藤丸敏・厚生労働委員長:これより会議を開きます。内閣提出、医薬品医療機器等の品質、有効性および安全性の確保に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。本日は、本案審査のため、参考人として、学校法人都築学園日本薬科大学学長の福井次矢君、厚生労働省ゲノム医療推進法に基づく基本計画の検討に係るワーキンググループ構成員 一般社団法人全国がん患者団体連合会理事長の天野慎介君、ファルメディコ株式会社代表取締役社長 医療法人嘉健会思温病院理事長の狹間研至君、 日本製薬団体連合会会長の岡田安史君、ボストンコンサルティンググループマネージング・ディレクター&パートナーの柳本岳史君、以上5名の方々にご出席をいただいております。

この際、参考人の方々に一言ご挨拶を申し上げます。本日はご多用のところ本委員会にご出席をいただきまして、誠にありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のないご意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じます。何卒よろしくお願い申し上げます。

次に、議事の順序について申し上げます。最初に参考人の方々からご意見をそれぞれ10分以内でお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。なお、発言する際は、その都度委員長の許可を受けることになっております。また参考人は委員に対して質疑することができないことになっておりますので、あらかじめご承知おき願いたいと思います。

それでは、まず福井参考人、お願いいたします。

福井参考人(学校法人都築学園日本薬科大学学長):おはようございます。京都大学名誉教授で、現在日本薬科大学の学長職にあります福井と申します。本日は医薬品医療機器等の品質、有効性および安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案に対して意見を述べる機会をいただきありがとうございます。

私は厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会の部会長として、今回の改正法案の前提となる制度改正の方向性に関して、昨年の4月以降、関係業界へのヒアリングを含めて計10回にわたって、議論や検討を行い、薬機法等制度改正に関する取りまとめを本年1月10日付で発出いたしました。従って私からは薬機法等制度改正に関する取りまとめに記載されておりますように、今回の法案改正の方向性4点につき説明をさせていただきたいと思います。

第1の方向性は、医薬品等の品質および安全性の確保の強化でございます。令和元年の薬機法改正以降も、後発医薬品の製造業者等を中心とした医薬品の不適切製造事案の発生、例えば5年前の事例ですけれども、抗真菌薬に睡眠薬原料が混在し、健康被害、死亡事例が報告されたことがございました。このような発生が続いたことから、薬事監視を質的に向上させる必要があるということが制度部会において指摘されました。また、更なる法令遵守や品質確保、違法行為の抑止に向けた包括的な取り組みが必要とされました。

さらに、市販後に収集された情報に基づく安全確保措置に加えて、リスクベースの市販後安全対策を効果的に実施する必要があるとされました。このような背景を踏まえますと、製造販売業者において、医薬品品質保証責任者および医薬品安全管理責任者の設置を法律で定めることや、法令違反等があった場合に責任役員の変更命令を可能とすることなどを通じて、製造販売業者における品質保証や安全管理に関するガバナンスを強化していくことが必要と考えます。

第2の方向性は、医療用医薬品等の安定供給体制の強化についてです。制度部会におきましては海外での製造トラブルを発端とした医薬品の供給の不足や、製造販売業者等の品質管理に係る行政処分が相次ぐとともに、感染症の流行等による需要の変動と相まって、品質の確保された医薬品の安定的な供給が困難となっていることや、その背景として後発医薬品産業における一部非効率な生産構造や過当競争等の問題もあることが指摘されました。

こうした状況を踏まえて、製造販売業者における供給体制の整備等を通じて、品質の確保された医療用医薬品の適切な供給を図る必要があるとされました。また薬事規制の面では、グローバルサプライチェーンが複雑化する中、迅速な薬事承認を可能とする体制の確保や、国際的に整合性の取れた手続きを明確にする必要があるとされました。

このような背景を踏まえまして、医療用医薬品の供給体制管理責任者の設置を義務化すること、医療用医薬品の供給不安の迅速な把握や製造販売業者への協力要請等の対応を法律で定めること、後発医薬品製造基盤整備基金を設置することによって、企業間の連携・協力・再編の後押しをすること、製造販売の承認を一部変更する場合の手続きに関して国際的に整合した類型を新設することなどを通じて、安定供給のための体制を強化することは必要な措置であると考えます。

第3の方向性は、より活発な創薬が行われる環境の整備についてです。近年、医薬品製造の基盤技術の方法および手段が多様化、複雑化してきていること、アカデミアやベンチャー企業等との連携による創薬が一般化してきていること、リアルワールドデータの利活用への期待が高まっていることなど、創薬環境が変化してきています。

制度部会においては、ドラッグ・ラグまたはドラッグ・ロスの解消のためには、薬機法上の各種制度の改善を通じて、創薬環境を整備する必要があると指摘されました。

このような背景を踏まえますと、条件付き承認制度、これは探索的臨床試験等で安全性が確認された場合、臨床的有用性が合理的に予測可能な場合ですけれども、承認制度を適用する医薬品を増やすことや、小児用医薬品の開発の計画策定を努力義務とすることなどを通じて、医薬品への速やかな患者アクセスを確保することは必要な措置であると考えています。

また国費と民間からの寄付金で、革新的な新薬の実力を支援するための基金を設置することは、将来の医療の質向上に向けて有効な対応策と思います。

第4の方向性は、国民への医薬品の適正な提供のための薬局機能の強化についてです。制度部会におきましては、医療需要が増大する中、対物業務の効率化により対人業務に注力できる環境の整備や、地域における薬局機能の見直しを行う必要があると指摘されました。

また情報通信技術の進展も踏まえ、要指導医薬品、一般用医薬品へのアクセスを進めるとともに、濫用等の課題に対して迅速かつ適切に取り組む必要があるとされました。このような背景を踏まえまして、調剤業務の一部の外部委託を可能とすることや、濫用のおそれのある医薬品の販売方法を見直し、濫用の問題に速やかに対処すること、医療用医薬品の不適切な「零売」を規制するため、法律上の規制を明確化すること、薬剤師等による遠隔管理による一般用医薬品の販売を可能とすることなどを通じて、薬局機能を強化することは必要な措置であると考えています。

ここまで申し上げてきた内容を制度部会で議論してまいりましたが、制度部会では、医療関係者や製造販売業者、学者、関係団体の方々など様々なステークホルダーの委員の方々にご議論いただくとともに、制度改正が実効性のあるものとなるよう、関係業界の方々からもご意見を聴取する機会を多く設け、コンセンサスを得ながら議論を進めるというプロセスを経て取りまとめに至りました。

品質の確保された医薬品等を国民に迅速かつ適正に提供するため、改正法案の速やかな成立をお願いいたします。

法案が成立した暁には、政府におかれましては円滑な施行に向けて引き続き関係団体の意見を丁寧に聴取し、準備を進めていただきたいと思います。以上が今回の改正法案に対する私の意見でございます。ご清聴ありがとうございました。

藤丸敏・厚生労働委員長:次に、天野参考人お願いいたします。

天野参考人(厚生労働省ゲノム医療推進法に基づく基本計画の検討に係るワーキンググループ構成員 一般社団法人全国がん患者団体連合会理事長):おはようございます。本日は貴重な機会をいただきありがとうございます。お手元の資料をご参照いただきながらお話を聞いていただければと思います。

全国がん患者団体連合会は、現在加盟団体52団体、会員総数およそ2万人を有する患者団体の連合組織でございます。私自身は2000年、27歳のときに悪性リンパ腫を発症いたしまして、薬物療法や放射線療法、移植を受けました。2回の再発を経験し、治療の影響や合併症として薬剤性の間質性肺炎や左目の視力を失い、また透析も受けております。私は再発を繰り返し、5年生存率も当時10%程度と言われましたが、たまたま治療が奏功し、今こうして皆様の前でお話することができております。

当時はがんの薬物療法も限られておりましたし、亡くなられた仲間のがん患者の方々も多くいらっしゃいました。しかしその後、分子標的薬や免疫療法などがんの薬物療法は大きく進歩いたしました。資料の2ページをご覧ください。

こちら札幌市在住の中畠由美子さんは2013年、私と同じ悪性リンパ腫を発症し再発を繰り返し、移植後に再発してしまい、かなり厳しい状況でした。しかし先日、衆議院予算委員会でも高額薬剤として取り上げられていましたCAR-T細胞療法のキムリアを国内治験最初の患者として北海道大学で受けて完全寛解となり、9年経った今も、再発もせず、仕事に復帰されてお元気に暮らされています。

近年、このようないわゆる革新的治療薬が増え、治験や臨床試験を受けて長期生存される患者さんも増えてきましたし、中畠さんも主治医から治験を紹介され、治験を受けて完全寛解となることができました。治験や臨床試験はもちろん有効性や安全性を確かめることが本来の目的ではありますが、このように再発したあるいは難治性のがん患者さんにとって治療の選択肢の一つになっています。しかし治験を主治医から紹介されず、治験の情報を知らされなければ、治験に入ることは難しいという状況が現在でもございます。

そもそも主治医が治験の情報をよく知らないということもございます。資料3ページをご覧ください。薬機法の第68条では、何人も承認前の医薬品についてその名称、製造方法、効果または効能に関する広告をしてはならないとされています。資料4ページをご覧ください。令和5年の厚生労働省監視指導麻薬対策課長通知では、治験に係る情報提供の取り扱いについて、治験情報を求める者のみに対して情報提供を行うことができるとされています。

日本では「JRCT」臨床研究等提出・公開システムにおいて情報公開されていますが、資料5ページをご覧ください。一方で海外では、例えば米国の例になりますが、米国NIH国立衛生研究所の支援により、リサーチマッチ、つまり患者さんと臨床試験のマッチングを行うようなサイトも出てきております。

日本では現状で患者が自ら能動的に治験情報を求めない限りは情報提供を受けることはできません。これは、命の限られた患者の中で、命の情報格差を生む極めて不公平な取り扱いだと考えます。薬機法第68条を改正いただく、あるいは第68条の対象から治験や臨床試験に関わる情報を除外するなどの対応が必要と考えます。これは本日私より申し上げた1点目となります。

次に2点目を申し上げます。資料6ページをご覧ください。がんでは患者さんに遺伝子パネル検査を行い、がんの遺伝子変異に基づいてエキスパートパネルと呼ばれる専門家の会議で検討し、患者さん1人1人に合った治療薬を提案するがんゲノム医療が広がっています。一方でエキスパートパネルで提案された治療薬が未承認薬や適応外薬であることも多くあります。

資料7ページをご覧ください。その場合、現在の保険診療下では、まず患者さんは治験や拡大治験を考慮し、それがなければ先進医療を考慮し、それでもなければ患者申し出同意を考慮するという流れになっています。拡大治験や患者申出療養については現状手続きがまだまだ煩雑であるため、命が限られた患者さんがなかなか入ることができません。

拡大治験については米国のシングルペイシェント IND制度、すなわち患者個人を対象とし、人道的見地から未承認薬の提供を行う治験を参考に、手続きの簡略化を行うとともに、患者申出療養については、必要に応じて法改正なども検討しつつ、手続きの簡略化を行うことを検討いただきたいと考えております。

次に3点目です。治験の審査に関する透明性の向上についてです。PMDAでは、承認された医薬品の審査報告書は公開していますが、不承認となった場合、あるいは申請取り下げとなった場合の審査報告書については、現状わかりにくくなっています。新たな治療薬の開発に期待を寄せていた患者からすれば、なぜ不承認となったのか、なぜ申請取り下げとなったのかわからず、審査の透明性の向上が必要と考えます。

資料8ページをご覧ください。欧州医薬品庁EMAでは取り下げを評価するレポートが公開されていますので、PMDAも同様の取り扱いとし、わかりやすく公開することが必要と考えます。

資料9ページをご覧ください。最後に薬機法と高額療養費の関連について具体的な薬機法の議論でもあった後発品やバイオシミラーの使用促進との関連について意見を申し述べます。資料10ページをご覧ください。高額療養費制度では多数回該当があり、自己負担限度額を過去12か月以内に3回を超えた場合、患者さんの負担が軽減されます。

資料11ページをご覧ください。しかし、自己負担限度額が引き上げられると、それだけ多数回該当となるハードルも上がりますし、多数回該当とならなければ負担も増えます。

資料12ページをご覧ください。仮に多数回該当とならずに支払いを続けると、所得にもよりますが、年間100万円以上の負担増となる場合もございます。そうなると患者さんや医師にどのようなインセンティブが働くかというと、自己負担限度額を超えることがインセンティブとして働きます。すなわち具体的には、自己負担限度額を超えるために安価な後発品やバイオシミラーよりも後発な先発薬を使うということがあり得ます。

こうなると後発品やバイオシミラーの使用促進には逆行することになりますので、多数回該当のあり方を変える、あるいは高額療養費の年間上限額を設定するなど、制度のあり方から考え直さなければならないと思います。つまり、高額療養費の対象となる患者の受診に与える影響調査が必要ということになります。加えて、高額療養費の対象となる患者の家計に与える影響調査も必要と考えます。

資料13ページをご覧ください。高額療養費の引き上げが、政府の当初で引き上げられた場合の年間の自己負担上限額です。これだけを見ていても患者の負担感は必ずしも十分には伝わりません。一方で資料の14ページをご覧ください。自己負担の上限額は年収に占める割合で見ると、実は所得が低い方の負担割合がまだまだ高いことがおわかりいただけるかと思います。

そして資料15ページをご覧ください。こちらは自己負担の上限額が手取り所得に占める割合で、45歳単身世帯を想定していますが、これに扶養家族やお子さんが加われば、負担感はさらに大きなものとなります。今回国会におきましても、高額療養費制度についてもご議論いただいてきましたが、この議論の過程においては、厚生労働省の例えば審議会などの議論の中で、現場感覚が欠如したまま議論が行われたことは問題だと考えております。

今後、仮に高額医療費に関して議論を行い、やっていただく場合には、対象となる患者の受診に与える影響調査や家計に与える影響調査を実施いただくとともに、高額療養費を利用する患者やその治療を行う意見、治療を行う医療者の意見を聞いていただきたいと考えております。私からは以上でございます。ありがとうございました。

藤丸敏・厚生労働委員長:ありがとうございました。次に、狭間参考人にお願いいたします。

狹間研至参考人(ファルメディコ株式会社代表取締役社長 医療法人嘉健会思温病院理事長):おはようございます。大阪の狭間でございます。よろしくお願いいたします。私からは医師をしながら薬局、そして病院を経営している観点から意見を述べさせていただきたいと思います。お手元に資料がございます。そちらもご覧いただきたいと思います。

医薬分業制度が始まって50年になります。薬物治療の適正化を目指して医師と薬剤師が連携をすると、これがそもそもの本分だと思うのですけども、医師の専門性は診断と救命にあると思いますが、薬剤師さんの専門性というのは薬理学、薬物動態学、製剤学といったものをもとに薬が体内に入ったらどうなるかということを見極めることに専門性があると思います。

医薬分業のそもそもの意味合いというのは、医師が診断して薬剤を使う。その薬剤がきちっと効果が出るのか、副作用が出ないのかということを薬剤師さんがフォローして、それを医師にフィードバックしていくという、このプロセスが重要なのではないかと思ってやってまいりました。

ただ、現状の医薬分業制度の中では、どうしても薬剤師さんは薬を出すまでのところに限定されがちです。スライドにも示しましたけれども、薬が体内に入ったらどうなるかという学問を構造的に使いにくい形態。年間8億枚以上の処方箋が出ておりますけれども、実際に日本で行われています。昨今ポリファーマシーの問題や残薬の問題、これは医療費適正化の中で非常に大きな課題だというふうに認識をしておりますが、これを改善するためには、薬剤師さんが服薬をしっかりフォローして、そこで薬学的なアセスメントを行って医師にフィードバックする。端的に申しますと、例えばめまいなら、めまいという症状を患者さんがおっしゃったときに医師はめまいを起こす疾患を考えて薬を出す。一方で薬剤師さんに聞くと、この薬を服用するとめまいが起こり得るんじゃないかという、そういうことを思っている。それを私どもは一度フィードバックしていただければ、医師はそれを考えて適切な処方に繋げることができるということを考えてやってまいりました。

それを今、自分の薬局と病院の方でそういったことをやると、やはりいい結果が出るというふうに認識しております。そういった意味で今回の薬機法改正について3点申し上げたいというふうに思います。

一つは調剤業務の一部外部委託についてです。これは大阪の国家戦略特区で私が代表として大阪市と共同提案して取り組みました。156症例に対して外部委託を行いましたけれども、その結果は安全性について担保できたというふうに考えております。一番の成果は、A薬局からB薬局にお願いをするわけですけども、電子的に情報を伝送することができるようになりまして、それによって間違った機械の操作というのは起こらないというふうに考えております。そこの部分を担保しながら安全性とともに有効性と経済性ということについても検討したのですけれども、ここにおいて一包化に限定されていると対物業務の効率化にしっかり繋がりにくいケースがあるということ。それからもう一つは、これ個人情報保護法とも関係すると思うのですが、患者さんの同意をいただくわけですけども、この同意に非常に煩雑な手間がかかります。オプトアウトのような形式でしっかりやることの方が対物業務の効率化については実際に法律が実効性のあるものとして機能する際には重要なのではないかというふうに思います。

いずれにしましても対物業務の効率化に伴って、対人業務の充実を実行することは、これからの地域の中で薬物治療が適正化される上では必須の項目というふうに考えております。その際には、どの程度まで外部委託するのかとか、もしくは同意をどこまで取るのかということをしっかり議論していただきたいというふうに思います。

それとともに高額医薬品の在庫の問題は薬局の経営にも直結いたします。外部に委託するのは一包化だけというふうに議論が進んでおりますけども、そういった高額医薬品もそういった形で委託できるようになれば、小さな薬局でも高額医薬品についてきちっとした服薬指導とか服用後のフォローができることで患者さんは継続してその薬局にかかり続けることができると考えております。

2点目は医薬品の販売区分および販売方法の見直しでございます。いわゆる「零売」のことですけども、零売というのはやはり例外的なものだろうと思います。医薬品の使用には医師の適切な診断が必要だというふうに考えます。そのためには薬剤の安全性を担保するためには医師と薬剤師のタスクのシェアリングは重要なんじゃないかと思います。軽微な疾患は当然ながら、薬剤師さんが見ていくという概念もあると思うんですけど、最終的には医師と薬剤師さんの連携が必要だというふうに思います。

そういった意味でご議論いただいたように、安価に医療用医薬品が入手できる手段として「零売」という制度が適用されることは少し問題じゃないかなというふうに思います。

一方、セルフメディケーションの推進、それから薬剤師の職能の発揮のためには、医師の処方を前提にした医療用の零売ではなく、きちっと一般用医薬品の制度ございますので、OTC医薬品を適切に販売するということが重要ではないかと思います。

その際のセルフメディケーションについても薬剤師さんはきちっと販売後、前回の薬法改正で示されたように服用後しっかりフォローして、そして医師に必要であればフィードバックする、受診勧奨するということが重要だというふうに思います。情報提供書等を元に、こういった症状でこういった薬を出したけれどもあまり症状が良くならないので、しっかり調べてあげてほしいという、そういう情報提供書の添付等々も今後必要になるんじゃないかなというふうに考えております。

三つ目は医療用医薬品の安定供給体制の強化でございます。私の病院ではケアミックスの病院でございます。元々外科医をなりわいとしておりましたけども、いまは高齢者の内科の疾患を診ておりますが、例えば抗生物質が入らないとか、本当に耳を疑うようなことがございます。それによって自分の診療がどうしても制約を受ける。この被害を受けるのはやっぱり患者さんでございますので、医薬品の供給というのは非常に重要であるというのは私も同様の認識でございます。

その中で、包括払いで今やっておりますので、当然ながら後発品の使用というのを大事にしているわけですけども、後発品の供給が滞るということは、そもそも人件費の高騰や物価の高騰で、診療報酬制度では非常に赤字の病院も、特に民間病院で多いと言われる中で由々しき問題だと思いますので、ぜひ安定供給を実現していただきたいというふうに願っております。

そういった意味では今回基金の創設を含めて、小ロット多品種生産体制の修正をしていくということは非常にありがたいというふうに思います。ただ、全体で再編をしていく中で、ちょっと話がズレますが、中間年改定が行われている現状では、やはり一定期間まとまった連携といいますか、統合というものは経済的にもやりにくいというところがあると考えます。是非、こういったところとも連携しながら後発品の安定供給ということに業界として取り組めるような体制作りというものをお願いしたいというふうに思っております。

以上、私からは調剤業務の一部外部委託の点については同意書の部分と、それから委託範囲の部分について実効性のある部分というものを作っていただくのがいいんじゃないかなということ。それから「零売」についてはあくまで例外的なものであって、今回PPIがOTCになるということも議論されておりますけれども、そういったものをきちっと一般用医薬品の枠組みで行うということ。そして後発品については少量多品種生産というところを制度として修正しやすいような、そういった制度の見直しというものをしていただければというふうに思います。中小の薬局そして病院を運営している立場からの意見を申し上げさせていただきました。今日はこういう機会をいただいてありがとうございました。以上でございます。

藤丸敏・厚生労働委員長:ありがとうございました。次に、岡田参考人お願いいたします。

岡田参考人(日薬連会長):おはようございます。日本製薬団体連合会会長の岡田でございます。本日は医薬品医療機器等の品質、有効性および安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案に対し、陳述の機会をいただきまして誠にありがとうございます。

まずは冒頭で、私は本改正案に賛成であるということをまずもって申し上げたいというふうに思います。

日薬連は昨年3月に医薬品医療機器等法の制度改正に係る要望書を、当時の武見敬三厚生労働大臣に提出をさせていただきました。昨今、製薬産業を取り巻く環境の急激な変化を受けまして、様々な課題が顕在化いたしております。海外で承認されている医薬品が日本で使用できない、いわゆるドラッグ・ラグ、ドラッグ・ロスという問題。あるいはその製薬企業の品質不正に端を発した後発品を初めとする医薬品の供給不安の問題。また医薬品の原料や原材料の調達から製品化までのサプライチェーンのグローバル化に対応した各国間の規制の整合性など、こういった課題が挙げられます。

こういった現状を踏まえ私どもはその解決に向けて医薬品のアクセス向上、品質確保と安定供給の実現、安全対策の充実および効率化を柱として、迅速な薬事承認変更管理、製造所のガバナンス強化など様々な要望させていただきました。その後、厚生労働省の方向性が医薬品医療機器制度部会にて各領域の専門家の先生方によるご議論をいただきまして、私どものほぼ全ての提案を今回の薬機法等改正案に反映いただきました。まずもって感謝申し上げたいというふうに思います。

本日、私から改正案の柱になっております三つの点について意見を述べさせたいというふうに述べさせていただきたいと思います。

一つ目は医薬品等の品質および安全性の確保の強化という問題、2点目は医療用医薬品の安定供給体制の強化という観点、3点目はより活発な創薬が行える環境の整備と、以上3点でございますまず。

初めに1点目、医薬品等の品質および安全性の確保の強化について、私どもの認識をお話させていただきます。近年、後発品を中心とした多くの品質不正事案が発生し、医薬品の安定供給に支障をきたしておりますことをお詫び申し上げます。こういった背景からこの度の法改正では、責任役員、品質保証責任者、安全管理責任者の変更命令など、当局による監督権限の強化を初めとするガバナンスの徹底が求められるということになっております。このことに異論はございません。

安全性の確保の観点から、市販後安全対策の強化が色濃く打ち出されたと理解いたしております。医薬品業界としましても、いかに効率的に市販後の安全性情報収集を行うかが重要な課題と考えておりまして、この度の法改正を受けて、医薬品リスク管理計画の届け出と実施、そして安全性の懸念発生時には、迅速かつ医薬品のリスクの特性に応じた対応をしっかりと行っていくというふうにして進めてまいりたいというふうに思います。

次に2点目です。医療用医薬品等の安定供給体制の強化という点にお話をさせていただきます。このたびの改正案には、リスクに応じて製造方法等の迅速な変更可能とする中等度変更制度の導入、供給体制管理責任者の設置や手順書作成といった高品質の医薬品を迅速かつ安定的に供給することを企図した多くの施策が盛り込まれておると認識をいたしております。

供給不安解消策としては供給問題が発生した時点での届け出が義務となることにつきましても、現在も各企業に適切に報告するよう、参加団体を通じて周知するとともに供給情報を取りまとめ、公開して参りました。

この度、そのことが法に位置づけられるということを受けまして、引き続きしっかり対応してまいりたいというふうに思います。また増産に係る安定確保措置の指示は、対象薬を販売する企業の責任が非常に重いものになりますけれども、当局とも連携し、一刻も早く供給問題が解消されるよう取り組んでまいりたいというふうに思います。

産業構造の観点からは、現在の供給不安の課題の一つとして、後発医薬品産業における少量多品種生産における生産効率の低下等々の問題が指摘をされています。こうした状況を受けこのたびの法改正にて後発医薬品製造基盤整備基金を設置の上、品目統合に伴う生産性向上のための設備投資や事業再編を支援いただけることには深く感謝申し上げたいというふうに思います。この基金を積極的に活用し、高品質の医薬品を安定供給する産業構造をしっかりと構築してまいりたいというふうに思います。

安定供給確保に向けた業界の取り組みについて少し紹介させていただきます。日薬連傘下の日本ジェネリック製薬協会では、安定供給責任者会議を設置しております。この会議では当該企業の安定供給体制の中心的な役割を担っている安定供給責任者のネットワーク構築を図るとともに、各社の安定供給に資する取り組みや好事例などを共有し、各社の供給体制の強化に繋げていくということを目指しております。

そして最後3点目でございます。より活発な創薬が行われる環境の整備についてでございます。患者が少ない希少疾患や生命に重大な影響を及ぼす重篤な疾患の治療のための医療上必要性が高い医薬品へのアクセスを諸外国に遅れることなく確保するための条件付き承認制度、小児適用の可能性のある医薬品の開発計画の策定、希少疾病用医薬品について欧米と歩調を合わせた指定の早期化についてご議論の上、法整備を進めていただきました。

一方でこういった開発の迅速化に対して承認後のリスクマネジメント計画策定も法定化をいただき、産業界としては極めてバランスのとれた法改正と認識しております。

また創薬基盤の強化として革新的医薬品実用化支援基金の創設は我が国の科学技術水準の強化に資する施策と考えております。一方で具体的な計画や基金の運営など詳細は決まっていないと認識しております。製薬業界といたしましては、この基金を活用して有望なシーズが見出され、迅速に実用化に繋がるよう今後しっかりと議論に参加して参りたいというふうに思います。

最後に、このたびの薬機法改正の趣旨に関連して追加の意見を一つ申し上げさせていただきたいと思います。本年4月に8年連続となる薬価引き下げが実施されました。毎年の薬価引き下げは企業の投資原資となる収益悪化を招くとともに、投資対象としての日本医薬品市場の魅力の低下を招いております。

インフレ局面へと転換し、物価高騰や賃上げへの対応が求められる中で、財源確保を目的とした予見性のない薬価引き下げが継続されることは、製薬企業にとって医薬品の安定供給や日本での早期の新薬開発を躊躇させることになります。

結果として国民に大きな不利益をもたらすということを、この場をお借りして申し述べさせていただきたいと思います。こういった現状を踏まえた薬価制度のあり方、特に中間年改定の廃止につきましてはぜひともご検討を賜りたいということをお願い申し上げたいというふうに思います。

以上、今回の薬機法等改正案に関する私どもの認識でございます。ご清聴ありがとうございました。

藤丸敏・厚生労働委員長:ありがとうございました。次に、柳本参考人お願いします。

柳本岳史参考人(ボストンコンサルティンググループマネージング・ディレクター&パートナー):おはようございます。ボストンコンサルティンググループの柳本と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

私から2点、創薬力強化というところと後発品のあるべき産業構造に関してお話したいと思っております。

本件に関しまして、厚労省が主催した創薬力強化に向けた検討会および、同じく厚労省が主催しておりました後発品産業のあり方検討会議の委員も務めておりました。また、創薬力構想会議でも、プレゼンテーションを通じた情報提供などで協力をさせていただきました。

一点目、創薬力強化に向けてというところでのエコシステムの必要性ということになります。3ページご覧ください。皆様もご存知の通り、創薬力構想会議の中間取りまとめにおいて、創薬力の強化においては、エコシステムの強化が必要だということがうたわれております。なぜかと申しますと、創薬は研究から実用化、そして上市というところに向かって幅広い能力、研究開発の能力に加え、さらには社会制度、そういったものが必要になってくるという中で、エコシステム全般にわたる人材ですとか、臨床の基盤、そういったものが必要になってくる。それを国際的な視点も踏まえながら国ならではの道を模索していく、これが必要だということがうたわれております。

具体的な例として4つほど挙げられております。多様なプレイヤーとの連携、出口思考での研究をリードできる人材、国際的な水準の臨床試験制度、さらには新規モダリティおよびそれら医薬品の国内製造体制の整備というところ。最後に、アカデミアやスタートアップからの絶え間ないシーズの創生がうたわれておりました。

翻って諸外国において、特に成功しているエコシステムを見たときに、どのような特徴があるかというところを4ページにまとめてございます。大きく5つあります。当然ではありますけれども、やはり世界的な水準のアカデミアが存在するというところが一点目。2点目は高度な臨床試験を支える医療体制や制度が存在するというもの。さらには豊富なリスクマネー、そしてそういった人材・知見が集積するコミュニティを形成している。これは単にそこに集積しているだけではなく、しっかりとコミュニティが形成し、そこで人や企業が繋がり、シーズからニーズに繋がる。そういったことが必要ということ。

最後に、それらをしっかりと海外のリソースを最大限に活用して、実現しているということになります。

特に最後の点ですね、我が国において過去にはあまり意識されてなかったところかなというふうには思いますけれども、最も先進的なエコシステムを形成していると言われている米国においても、ボストン・ケンブリッジにおいても、ベイエリアにおいても、海外からの人材そして資金、技術、企業そういったものが全て海外からそれなりの規模で入ってくるということを前提としてエコシステムを形成しているという点に関して、より規模の小さい我が国はしっかりと見習うべきだというように思っております。

資料5枚目ですね、そういったエコシステムをどのように形成していくかというところになります。下半分、丸いところに主なプレイヤーを示させていただいております。スタートアップ、アカデミー、製薬企業といった実際に研究開発を行う方々、そして臨床基盤、臨床研究、臨床試験を実施する医療機関、さらにはスタートアップ等を支援するようなCRO CDMOですとか、生成AIですとかテクノロジーを提供する企業、あとはファンドを提供する公的民間のプレイヤーというところ。ただ、こういった下側のプレイヤーが自立的に頑張れば勝手にシステムができるかというと、世界的に見てもなかなかそういうことは起こらない。

最も有名なボストン・ケンブリッジにおいても、2000年代初頭にマサチューセッツ州政府が相当力を入れて発展に尽力した。こういったことを国としても見習いながら、しっかりと政府が旗を振っていく必要がある。

それから上段になります。具体的には戦略の策定というところと、実現に向けて不足している基盤の整備、人材育成ですとかプレイヤーの招致、様々な基盤の整備ということが求められます。そういったことを実現していくために、今回の薬機法改正の中でも基金の設置ということが求められていると謳われていると理解しています。

続いて安定供給の確保に向けた後発医薬品産業のあり方ということに関してお話したいと思います。こちらは製造管理、品質管理体制の確保、安定供給能力の確保といったことに加えて、持続可能な産業構造のあり方ということに関しても、後発品検討会の方で議論されております。具体的には、この①、②といったところに対してしっかりと対応していこうとすると、やはりそれなりのコストがかかる。さらには市場もこれから大きく成長しないことが見込まれている中で、そのコストを捻出していくためにも、これまでのような低いシェアで多品目を売るよりも、一定のシェアの確保を目指し、品目も適正化していく。それによって生産性や収益性を担保し、将来に向けた投資、安定性確保に向けた投資ということをしていく必要があるというようにうたっております。

どれほど少量多品目生産になっているのかが8ページになります。横軸に企業がどれほどの成分数を保有しているかを示しております。成分といいますのは製品とは同一ではなく、あくまで成分に対して様々な規格。錠剤や注射剤とか、また錠剤の中でも5mg錠、20mg錠みたいな、そういった一つずつの製品ですので、実際に取り扱っている製品はこの数倍というふうになります。こういった横軸に成分数を取り、縦軸に日本国内で最も売れている30成分における各社の平均シェアを取っております。

御覧いただきましてわかります通り、専業大手で300を超える成分数を誇りながら、主要成分における市場シェアは5%~10%にとどまる。各市場においても非常に細分化されておりますし、各社の観点におきましても、その小さな細分化された部分に多くの製品を提供するために何度も何度も生産体制の交換を繰り返しながら供給しているという、非常に非効率な状況になっていることになります。

参考として9ページに米国の状況を紹介しております。上位10成分の中で、緑色で示している上位3社がどれほどのシェアを占めているかといいますと、大体5割を超えるところのシェアを上位3割で占めている。より集約的な市場形成になっているということが言えるかなと思っています。

これが必ず正解かというと、各国それぞれでいろんな問題を抱えているわけですが、一つの例として学ぶべきものと思っております。そういったものを目指していく上で、やはり企業間での提携・再編が重要になっているというように考えております。

10ページから我々が耳にしている、目にしているようないくつか再編や提携の取り組み例を示しました。1つ目は、ジェネリック企業同士が機能的、品目的な提携をすることによって、より効率的な経営を目指すというもの。2つ目が大手企業が少し規模の劣る企業を買収していくというもの。3つ目は企業同士ではなく、企業の一部の後発品事業のみを他社に買収・譲渡するというもの。4つ目が、それらの取り組みを後発品企業そのものではなくファンドが主導するというようなもの。最後は川下のプレイヤーと呼ばれる薬局や医療機関、もしくは物流メーカーが需要側を集約することによって、川上にいる供給側の後発品企業を緩やかに収斂していくといったモデルが見られております。ただ、こういった取り組みは、あくまで検討段階で顕在化していないものも多くございます。

理由としては、現時点で収益性が高くない後発品企業も多く、体力もない企業が多い中で、(再編・統合を)検討しながらもなかなか先に進めない。資金も知見も経験もないというようなことが多い中で、今回の薬機法に設置される基金は、こういった企業の取り組みの後押しをするものというふうに理解をしております。以上、私からの発表を終わらせていきます。どうもありがとうございました。

藤丸敏・厚生労働委員長:ありがとうございました。以上で参考人の方々のご意見の開陳は終わりました。これより参考人に対する質疑に入ります。(以下、質疑は略)



プリントCSS用

 

【MixOnline】コンテンツ注意書き
【MixOnline】関連ファイル
【MixOnline】記事評価

この記事はいかがでしたか?

読者レビュー(6)

1 2 3 4 5
悪い 良い
プリント用ロゴ
【MixOnline】誘導記事
【MixOnline】関連(推奨)記事
【MixOnline】関連(推奨)記事
ボタン追加
【MixOnline】記事ログ
バナー

広告

バナー(バーター枠)

広告

【MixOnline】アクセスランキングバナー
【MixOnline】ダウンロードランキングバナー
記事評価ランキングバナー