【中医協総会 3月12日 議事要旨 医薬品の新規薬価収載と薬機法等一部改正法案の概要について・抜粋】
公開日時 2025/03/13 04:51
中医協総会が3月12日開かれ、医薬品の新規薬価収載と薬機法等一部改正法案の概要(安定供給問題)などについて議論した。本議事要旨では、新規薬価収載と薬機法等一部改正法案(報告事項)の2テーマをめぐる診療・支払各側委員の発言内容を議事要旨として公開する。
(議題・医薬品の新規薬価収載について 抜粋)
小塩会長:医薬品の新規薬価収載について、および最適使用推進ガイドラインについて審議を議題といたします。これら二つの議題は関連いたしますので併せて審議することといたします。
(薬価算定組織・事務局からの説明 略)
小塩会長はい、ありがとうございました。それではただいまの説明につきましてご質問等ありますでしょうか。森委員お願いします。
森委員:はい、ありがとうございます。今回新規収載されましたウプトラビ錠小児用0.05mgについて発言をさせていただきたいと思います。これまでは小児用製剤がなかったため現場では0.2mg錠を粉砕して賦形剤を加えて調整するなどの対応をしてきましたが、今回小児用製剤として0.05mg錠を開発いただいたことには感謝を申し上げたいというふうに思っております。
ウプトラビ錠は忍容性、つまり投薬による有害事象の発生の有無を確認しながら、投与する必要があります。そのため、用法用量の通り、少量から開始して7日以上の間隔で増量していくことになりますが、有害事象等が発生した場合には、投与開始1週間で投与を開始することも考えられます。
添付文書には嘔吐、頭痛、下痢等が多く認められることから、患者の状態を十分観察するようにと記載があります。既存のウプトラビ錠0.2mg錠は30錠包装で販売されていますが、今回のウルトラビ錠小児用0.05mgは1瓶500錠ボトルしか販売されていません。添付文書の用法用量に従って投与すると、治療開始時には1週間分28錠になります。
仮に治療開始直後に副作用などのため中止となると、そもそも対象患者数が少ないことから、残りの472錠はそのまま廃棄となる恐れがあります。そうなりますと、1錠443.5円のため、約21万円にもなり、これが医療機関や薬局の損失になります。
また、仮に有害事象が発生しなくても、漸増していって、維持容量が1回当たり0.2mgに達したときには、患者の利便性の観点から、成人用の0.2mg錠への切り替えもあり得ますが、その場合、それまで投与していた小児用の0.05mg錠は不動在庫となり、極端に言えば理論上は499錠の廃棄になる恐れがあります。
高額医薬品の包装形態については、処方形態に合わせた最小の数量となるようにお願いしてきたところです。高額医薬品の増加により、現場では管理コストや廃棄損耗に対する負担感が高まっています。製薬企業には高額医薬品を含めて医薬品の地域への供給に支障が生じることがないよう、適切な対応をとるよう改めてお願いをしたいというふうに思います。
ここからは質問になります。今回のウプトラビ錠小児用0.05mgはボトル製剤になりますが、開封後の安定性はどうなっているのでしょうか? 特に使用期限は30か月となっていますが、開封後でも30か月の間は品質に影響はなく調剤に使用しても問題ないと理解してよろしいでしょうか?ご回答をお願いしたいというふうに思っております。
小塩会長:ありがとうございました。森委員からご質問がございましたが、事務局いかがでしょうか?
事務局:薬剤管理官でございます。包装形態については度々ご指摘いただきまして、現場にご迷惑をかけているものでございます。本件につきまして製造販売業者にお伺いしたところ、今後、包装について、処方数についてはご検討いただけるという回答を得ております。
あと開封後のお話でございますが、ボトル開封後の安定性につきましては、錠剤を取り出した後に、速やかにボトルに戻していただいて、その中に乾燥剤が入った状態で閉められるということですので、添付文書にあるような形で湿気を避けて保管されるというのであれば開封時と同じ有効期限が設定できるであろうというような回答を得ております。よろしくお願いいたします。
あと森委員が理論上は499錠が残るんじゃないかという話について、その可能性としては、否定しておりません。ちなみに国内で臨床試験されておりまして、用法、用量、年齢層に三つに分けております。それぞれ2人ずつ、合計6人の日本人の患者さんでお使いになっておりまして、全て10か月以上、臨床試験でお使いになっております。途中で増量していくと、1週間間隔を空けながら増量を毎日していくということになっておりますので、1日用量を上げていくということになりますので、大体最低でも一番少ない方でも1回4錠あたりお使いになっていますので、ボトルが切れた段階で維持容量になって、通常用量の0.2あるいは0.4mg錠に切り替えていただいて、できるだけ廃棄がないような形での対応も可能ではないかなと思っております。説明は以上でございます。
小塩会長:ありがとうございます。森委員お願いいたします
森委員:はい、ありがとうございました。一般的に開封後は期限が短くなるというふうに思っております。以前ここに出たもので、開封後はかなり極端に使用期限が短くなったというものがあると記憶しております。製薬企業におかれては繰り返しになりますが、その後、そのようなことも踏まえて小包装化をお願いしたいというふうに思っています。また高額な薬剤が出てきた中で薬局での不動在庫が大きな問題となっています。
仮定の話ですけども私が薬剤師になって2~3年の時に、すごく高額な薬剤と言ったクレスチンが当時1000円でかなりびっくりした記憶があります。仮定の話ですけど、今非常に高額な予算が出てきた中で、今回の製剤の薬価が仮に4万円だった場合、472錠廃棄となると、約1900万円の廃棄となり、中小の薬局は確実に倒産します。
これは医療機関でも共通の問題ではないかと考えております。製薬企業には高額医薬品を含めて、開発段階から現場での使用実態に合わせた開発をお願いしたいというふうに思っております。
また、事務局におかれては高額医薬品の販売包装単位等の問題への対応については、次期診療報酬改定の議論の中で、製薬企業の対応を促す観点から「減算」も含めた薬価上の評価など考えられる必要な措置を取り上げていただくようお願いいたします。以上です。
小塩会長:ありがとうございました。具体的なご要望いただきましたけど、よろしいでしょうか。
事務局:経済管理官でございます。ご要望ありがとうございます。本年につきましては特に小児用の製剤を国内開発するというところでの剤型的な工夫等もありましたので、ある意味ニーズがあるけれど開発されない分野への開発誘導ということもあった中での包装単位というところで、簡単にはいかないと思うのですが、要望は受けておりましたので、そういう場合分けとかしながら、どういうことができるのか検討させていただければと思います。以上です。
小塩会長:はい、ありがとうございます。続きまして長島委員お願いいたします。
長島委員:ただいまの件ですけれども、やはり病院等におかれましても、高額医薬品の管理、特に在庫が生じた場合、廃棄が生じた場合、大変大きな損害になるとお聞きしておりますので、ぜひご検討お願いいたします。
小塩会長:ありがとうございます。他にご意見、ご質問等ありますでしょうか? 松本委員お願いいたします。
松本委員:はい、ありがとうございます。ご提案のありました薬価収載についてはいずれも異論はございません。その上で一覧表「新医薬品一覧表(令和7年3月19日収載予定)」のNo.7、資料の14ページにありますゼップバウンド皮下注用についてコメントさせていただきます。この製品は高度肥満症に対するインクレチン製剤としてウゴービに続く二つ目に当たり、資料によれば、ピーク時の市場規模予測が13万人で319億円となっております。
令和5年11月にウゴービを薬価収載した際の見込みが10万人で328億円ということでございますが、この二つの製品は競合すると予想されますので、単純な足し算にならないと思いますけども、少なくとも日本において300億円を超える肥満薬市場が形成されるというふうに受け止めております。
最適使用推進ガイドラインにもあります通り、肥満によって様々な健康障害が発生するということで、疾患として高度な肥満症を治療する必要性は十分理解しておりますけども、保険財政へのインパクトも小さくないというふうに考えております。
ウゴービの際にも発言いたしましたが、処方を厳格に管理することは当然ですけども、安全性の観点から自由診療を含めましてガイドラインを逸脱して使用することがないよう、厚生労働省におかれましてはゼップバウンドの使用形態をしっかりモニタリングしていただきたいというふうに要望いたします。
さらに関係学会とも連携し、今後肥満症にどう対応していくのか、国として考え方を整理することも必要ではないかというふうに思っております。私は以上でございます。
小塩会長:はい、ありがとうございました。事務局はいかがでしょうか?お願いいたします。
事務局:薬剤管理官でございます。ご指摘ありがとうございます。本剤につきましては関係学会協力のもとに策定されました「最適使用推進ガイドライン」に基づきまして、保険診療、自由診療を問わず本剤の適正使用上このガイドラインを満たす施設で使用する必要があると考えております。
最適使用推進ガイドラインの徹底につきましては具体的には製造販売企業が実施するということで、本剤の医療機関への情報提供におきましては最適使用推進ガイドラインの対象品目であることを周知徹底するとともに、このガイドラインの要件を満たさない施設、医師に対しては、満たす医師への患者を紹介するよう依頼する。あるいは満たさない施設での使用を把握した場合は速やかに施設に連絡をして、適正使用の徹底をお願いするというふうに伺っております。
また類薬の使用についても、最適使用推進ガイドラインの記載内容の明確化といたしまして、最近、関係学会の協力も得まして、各学会における教育研修施設の具体的な名称、これにつきまして通知をし、肥満症治療薬の適正使用の徹底を行ったところでございます。引き続き肥満症に対する適切な対応について取り組んでまいりたいと思います。以上でございます。
小塩会長:ありがとうございました。はい長島委員お願いします。
長島委員:ただいま件ですけども、やはり自由診療などを踏まえまして国民に対しても正しい医薬品の利用法のリテラシーを上げていただくということも極めて重要かと思いますので、その観点からの取り組みをお願い申し上げます。
小塩会長:ありがとうございました。松本委員いかがですか。
松本委員:はい、よろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。
小塩会長:他はいかがでしょうか?高町委員お願いいたします。
高町委員:ありがとうございます。私からもゼップバウンドについて発言させていただきたいと思います。ゼップバウンドは2型糖尿病の治療に用いる薬剤として開発されたものを、今回、肥満症の治療薬としてウゴービに続いて薬価収載されるものと認識しております。ウゴービの薬価収載時には、原価計算方式で算定されました。そして今回のゼップバウンドの薬価収載も原価計算方式で作成されています。
類似薬としてウゴービがあるので、類似薬効比較方式での算定にはならないのでしょうか? また、類似薬効比較方式と原価計算方式で算定して、低い方を薬価とするような方法を用いないのでしょうか? 私からは以上です。
小塩会長:はい、高町委員からご質問ございました。事務局お願いいたします。
事務局:ご指摘ありがとうございます。資料「総―2」の15ページをご覧いただければと思います。今ご指摘のように本剤の場合、類似薬ということでウゴービが記載しております。一つ戻っていただきまして14ページに「算定方式」というところがあると思います。算定方式、原価計算方式、組成および投与形態が同一で効能および効果が異なる既収載品がある場合の新薬の薬価算定の特例というようなことが書いてあります。いわゆるリポジショニング特例というもので、いま高町委員がご指摘になったような形でウゴービを再類似薬として類似薬比較方式で算定をいたしました。
その上で原価計算で本剤も計算をし、いずれか低い方を薬価にするということになっておりまして、本剤の場合はウゴービの類似薬効よりも原価計算方式の方が算定の値が低かったということで原価計算方式で算定をしているものでございます。
先ほどご指摘いただいた通りの算定をしているもので、今回薬価が定まっているというものでございます。以上でございます。
小塩会長:はい、ありがとうございます。高町委員よろしいでしょうか?
高町委員:はい、わかりました。ありがとうございます。
小塩会長:ありがとうございます。他にご質問等ありますでしょうか? よろしいでしょうか? 他にご質問等ないようですので、本件につきましては中医協として承認するということでよろしいでしょうか?
(各側了承)
小塩会長:ありがとうございます。それでは本件につきましては中医協として承認したいと思います。
(議題・薬機法等一部改正法案の概要(安定供給関係) 抜粋)
小塩会長:続きまして、薬機法等一部改正法案(安定供給関係)について議題といたします。本件は報告事項です。事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
(事務局説明 略)
小塩会長:ありがとうございました。それではただいまの説明につきまして、ご質問等ありますでしょうか? 長島委員お願いいたします。
長島委員:本日は報告事項ということですので、議論はいたしませんが、薬価関連について1点コメントいたします。資料「総―13」(報告:薬機法等一部改正法案の概要(安定供給関係)の5ページに「想定され得る事例」があります。対応の一番下、先ほどご紹介があった下の3行ですが、「例えば、薬価や時限的補助といった方法により、国産原薬を用いることに伴うコスト増に対してどのような対応が可能かを検討する必要が生じる」という部分についてです。
この点、まずは国が環境整備をしっかりと進め、必要なら時限的補助などの対応を行い、その上で、薬価による対応の必要性や内容について、効果の見込みなどの必要な資料をしっかり揃えていただいた上で検討すべきであると考えます。私からは以上です。
小塩会長:ありがとうございました。続きまして林委員お願いいたします。
林委員:ありがとうございます。こちらは報告ということでございますが、歯科の立場からコメントと要望をさせていただきます。医薬品の安定供給に関しましては、今回薬機法および医療法改正されて記載されるということで、その体制がより強化されるものと理解しております。これまでも何度も発言させていただいておりますが、安定供給問題は非常に重要な課題で、歯科の医療現場におきましても、完結的な処置を行う伴う場合などはどうしても必要な薬剤がございまして、それが出荷調整になるということで、安全安心の歯科医療提供に影響が出るということも経験してまいりました。
歯科汎用の抗菌薬等の足元の供給不足の解消には非常に多くの課題があるものと理解しておりますが、卸連への事務連絡を含め様々な対応をしていただいたところであり、感謝しておるところではございますが、この問題が少しでも早く解決していくよう、より実効性が上がる方策の御検討を引き続きお願いしたいと思っております。私からは以上でございます。
小塩会長:ありがとうございました。続きまして森委員お願いいたします。
森委員:ありがとうございます。供給不足問題も4年経ちますけども現場の感覚として改善していると思えません。全品目の約3300品目、全体の20%になるんでしょうか。限定出荷、出荷停止が続いております。
また、一つの薬が限定出荷解除されると次々に別の薬が限定出荷されるような状況があって、現場では医薬品の手配、患者さんへの説明、それから医師への相談、後日入荷した薬の配送ということで苦労をしております。
今回の法改正でどれも重要な事項だというふうに思っております。そのため6か月以内の政令で定める日に交付ということになっているというふうに理解をしています。事務局から説明がありましたけども、今回の供給体制管理責任者の設置って非常に重要なことだというふうに思っております。2年を待たず、しっかりと企業においては設置して、責任を持った体制を構築していただきたいというふうに思っております。以上です。
小塩会長:ありがとうございました。他にいかがでしょうか?はい、松本委員お願いいたします。
松本委員:はい、ありがとうございます。ただいまご説明のありました法改正のご趣旨や方向性について理解しております。ただ資料「総―13」の5ページにもありますが、想定されうる対応については政府としての考え方をこの中医協の場で説明されたということかと思いますけども、これを安全保障政策の一つとして、また、国策として対応するのであれば、国が費用を負担することや、税制措置など様々な選択肢があるというふうに思っております。
また資料「総-13」の5ページに提案のある原薬の国内製造体制の整備でございますが、これは医薬品の安定供給を確保するためには重要な施策と受け止めますけども、今年中に改正法が施行されたといたしましても、実際に国際契約を使用した製剤が流通するのは、資料にもあります通り2030年頃になるというふうに理解しており、次期薬価制度改革で即座に結びつくものではないと受け止めております。私から以上でございます。
小塩会長:ありがとうございました。池端委員お願いします。
池端委員:ありがとうございます。先ほど森委員も発言したように現場感覚として、まだまだ出荷調整あるいは不安定供給が次から次へと新しいものが入っている現状に変わりない。ただ本当に今回の薬機法改正については非常に期待をしています。ただ、松本委員も発言したように、国産原薬の国産化といっても2030年となると、当分まだこの状態が続くのかなという印象を持っている。仮にこれが効果を示したとして、もし今見込みがあるのであれば、大体どれぐらいで不安定供給が改善の方向に向かうのか、いま期待値も含めてお分かりでしたらしたら教えていただきたいのが一点。
一方で医療費適正化事業の中で後発医薬品の使用割合が80%、さらに金額ベースで65%ということが示されています。もちろん我々医療界として協力していきたいと思っていますが、協力しようにも、その後発品が不安定供給になっている現状で、基準だけどんどん厳しくしても、我々はどう対応していいかわからないという現状がある。その辺も含めて現場は非常に困惑している状況がある。きょうは報告事項ですので現場の意見としてお話させていただきます。以上です。
小塩会長:ありがとうございました。鳥潟委員お願いいたします。
鳥潟委員:ご説明いただきありがとうございました。医薬品の品質確保や安定供給の問題は、私達が突然病気やけがをしたとしても、いつでも安心安全に医療を受けることができるために早期の解決が望まれています。今後、この法案によりそうした課題の解決に向けてさらに取り組みが加速され、一刻も早い課題解決に繋がることを期待いたします。
なお、資料「総―13」の5ページに記載されている参考資料の事例の内容につきましては、推定される対応に関して実際に対応が必要になったタイミングで、具体的に議論していく課題だと改めて認識しております。よろしくお願いいたします。以上です。
小塩会長:ありがとうございました。他よろしいですか。先ほど池端委員から安定供給の見通しについてご質問されましたので、もし回答をお願いできればと思います。その他多くの先生の方々からご意見を頂戴したんですが、本件は報告事項ですけれども、現時点で事務局から追加的に説明することがございましたら、あわせてお願いいたします。
事務局:医薬産業振興・医療情報企画課長でございます。ご指摘どうもありがとうございます。まず池端委員から国産原薬が2030年の見込みということで、一つちょっと誤解のないように申し上げさせていただきます。今回、国産原薬の工場を整備する等の取り組みをしておりますのは、これは経済安全保障法上の特定重要物資として指定をされている4成分ということでございます。
もちろん今の供給不安の問題は様々な原因、品質上のトラブルがあったり、あるいは海外からの原薬の輸入がストップするなど様々な事情があるわけでございますが、そうした意味で私ども、サプライチェーンの強靱化、原薬の複数ソース化等の取り組みを企業に対してお願いしております。
国産の原薬の工場を作るというのはある意味最も強い措置ということになりますが、残念ながら全ての医薬品についてそうした措置を取るということは現実的ではございません。そうした意味で、この経済安全保障法上の特定重要物資について、こうしたアプローチをとりつつ、一方で企業の原薬の複数ソース化に向けた取り組みを様々な形で支援をする。例えば、海外に新しい原薬のソースを探索しに行くための費用を支援したりとか、そうした取り組みをさせていただいておりますので、そしてサプライチェーンの問題の複層的な取り組みの中で強靱化を図ってまいりたいと考えております。
それから、現下の供給不安の問題は様々、医療現場の立場そして患者の立場からも大変厳しいご指摘をいただいております。こうした足元の状況に対応するという意味ではどうしても今あるリソースを活用するということで、この供給を増やす、需要を適正化する、配分を適正化するという、この三つの取り組みを組み合わせてということで、それぞれ関係する皆様に大変なご苦労をおかけしながら、何とか対応している状況でございます。
私どもとしても、この中医協でご議論いただいている薬価の下支えの措置ですとか、あるいは緊急に増産をしていただく企業に対して必要な補助を行う、これも6年度の補正予算で20億円確保いたしまして、取り組みをしております。こうした環境整備の中で対応を進めるとともに、どうしても足元の状況に対する対応だけではなかなか本質的な解決にならないものですから、今回の法案の中で、この安定供給確保のマネジメントシステム、制度的な枠組みを構築するとともに、特に後発医薬品を中心に起きているこうした状況に対しまして、後発医薬品企業の産業構造の改革というものを進めていくということを考えているところでございます。
大変恐縮でございますが、いつまでにということは、これを申し上げることができない状況でございますが、そうした取り組みの中で改善を図ってまいりたいというふうに考えてございます。
後発医薬品は医療費適正化の観点からも、池端委員からご指摘を頂戴いたしました。もちろん後発医薬品の使用促進ということで、私ども、新しいロードマップを昨年策定し、数量目標は80%、新しく金額ベースの目標で65%設定をさせていただきました。
昨年この中医協でご報告させていただいた薬価調査におきまして、数量割合、全国ベースでは既に85%まで、また金額割合も前回の56.7%から62.1%まで大きく伸びている状況でございます。
一方で、後発医薬品の使用促進は、安定供給の確保が大前提であるということでございまして、このロードマップは昨年策定した議論におきましても、タイトルのところから、「安定供給の確保を基本として、後発医薬品を適切に使用していくためのロードマップ」といった形で、基本的な考え方を明確にしているところでございます。
そして、これはそれぞれの仕組みにおきましても、例えば長期収載品の選定療養の中医協でもご議論いただきましたが、後発医薬品がavailableでない場合の取り扱いなどもご議論いただきました。
後発医薬品の安定供給、これを基本といたしまして適切に使用促進していく考え方で取り組みを進めてまいりたいというふうに考えてございます。以上です。
小塩会長:はい、ありがとうございました。他にご質問等ありますでしょうか?はい。茂松委員。
茂松委員:ありがとうございます。医薬品についてはそういう対応を行っていただいておりますが、例えば国を見たときに、半導体に対しては本当に国家安全保障の観点からしっかりと議論されて体制が構築されてきています。それに対し医薬品というのはなかなかそこまでいってないなと。やっぱり外交の関係とか、やはり原材料、原料そういうところの取り組みというのは外交の関係も非常にあろうかと思いますし、そこにしっかりと医薬品っていうものも位置付けていただきたいということは本当に我々思うところであります。是非ともよろしくお願いしたいと思っております。
小塩会長:ありがとうございます。続きまして飯塚委員を手挙げております。お願いいたします。
飯塚委員:ありがとうございます。後発医薬品の供給がなかなかされないという問題、非常に大きな問題だと思っていまして、いろいろな側面から、そういう事態が今起こっていると思っています。一つの側面は、やはり価格がどんどん下がりすぎると、どんどん下がっていくと採算が合わないので、作りたくないという企業としては極めて自然な行動が背景にあるのではないかというふうに考えています。
後発薬についても、例えば現行の価格改定のルール、毎年毎年下がっていくっていうものを本当に適用すべきかどうか等も含めて、我々が考えられることはないかということをもう一度しっかり考えていく必要があるかなというふうに思っています。以上です。
小塩会長:はい、ありがとうございました。他はいかがでしょうか? 本件は報告事項ですけどもいろいろ委員の方々から貴重なご意見を頂戴いたしました。引き続き事務局におかれましては、検討をお願いしたいと思います。本日の議題は以上です。