ファイザー 患者や患者家族に臨床試験をわかりやすく 「PLS活用」でPatient Centricityを推進
公開日時 2025/01/14 04:51
ファイザーは患者中心に医療を考える「Patient Centricity」の一環として、プレーン・ランゲージ・サマリー(PLS)の取り組みを進めている。患者や患者家族が、正しい情報を入手できる仕組みづくりを行っていく狙いがある。同社はこのほど、第三世代未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害剤「ロルラチニブ(販売名:ローブレナ)」のPLS日本語訳版が2024年12月24日にFuture Oncology誌に掲載されたと発表した。
PLSとは、患者やその家族など、一般の人向けに臨床試験の結果をわかりやすく表現したもの。医療情報には通常多くの専門用語が使われているため、患者や家族にとってより理解しやすいものが求められている。欧州などではすべての臨床試験に対して医薬品企業がPLSを作成することが求められているが、日本ではそのようなルールがない。
◎臨床試験の結果を色つきグラフで表現 取組みは3例に
同社が今回発表した日本語版のPLSはALK陽性進行非小細胞肺がん患者を対象とした第3相試験についてまとめたもので、ロルラチニブとクリゾチニブ(販売名:ザーコリ)を比較して薬の効果や安全性を5年にわたり追跡した内容が日本語訳され記載されている。このPLSでは、疾患についてイラストを用いて見やすく表現されていたり、臨床試験でロルラチニブの治療によって悪化していない人の割合がどのくらいいるのかなどを色つきのグラフで表現されていたりして、一般の人でも理解しやすいよう工夫されている。
PLSの取り組みは今回、同社として3例目。これまでは乳がん治療に用いられる抗悪性腫瘍剤のパルボシクリブ(販売名:イブランス)についてのPLSと、ロルラチニブの効果を3年追跡したものについてのPLS日本語訳版を作成してきた。
同社は、Patient Centricityを重視し、PLSの活動はその一環としている。今後の取り組みについては、「各ステークホルダーのみなさまと協働し、患者さんやご家族のさまざまな情報ニーズに寄り添い、治験および市販後の臨床研究における分かりやすい情報を発信し、ひとりでも多くの方々に貢献していく」とコメントしている。