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25年度薬価改定 製薬業界は政府に不信感露わ PhRMA・EFPIA「政府の取組みへの参加留保」と牽制

公開日時 2024/12/26 04:52
中医協で2025年度薬価改定の骨子が取りまとめられたことを受け、製薬団体はコメントを発表した。米国研究製薬工業協会(PhRMA)と欧州製薬団体連合会(EFPIA)は共同声明を通じ、「革新的医薬品の薬価引下げのルールを拡大したことに、私たちは驚き、深く失望している」と表明。「透明性の欠如には、非常に落胆している」と強調した。そのうえで、「厚労省がこの度決定した誤った政策を撤回するまでの間、これらの取組みへの参加を留保する」と牽制した。また、同日の大臣折衝で26年度の費用対効果評価の拡大の検討、27年度の市場拡大再算定の適用が盛り込まれたこと、さらには創薬支援基金(仮称)の創設に対して、「反対する」姿勢を強調した。

日本製薬団体連合会(日薬連)と日本製薬工業協会(製薬協)は25年度薬価改定を「実施できる状況にはない」と強く主張してきたことから、改定実施に「誠に遺憾」と表明。製薬協は改めて、「中間年改定廃止」の狼煙を上げた。一方、日本ジェネリック製薬協会(GE薬協)は不採算品再算定の臨時的な適用や最低薬価の引上げについて、「医薬品業界全体を取り巻く状況にご配慮いただいたものと理解している」と評価した。

各団体の声明の概要は以下の通り。

◎日薬連  中間年改定実施できる立場にないと主張してきた立場から「誠に遺憾」

「令和7年度に中間年改定を実施する状況にはない」と主張してきた党連合会としては、誠に遺憾。そもそも薬価差があるから毎年改定すべきとする考え方は、関係者の理解と努力によって薬価差が縮小し続けていることも踏まえると、薬価差の位置付けあるいは偏在についての関係者の共通理解に基づいて、本質的な議論が必要だ。さらに、25年度薬価改定の対象は、4大臣合意で、中間年改定の対象を「価格乖離の大きな品目」とした考え方から変化したと見なせる可能性がある。中間年改定の位置付けや目的について、今後の影響を見定めつつ議論していく必要がある。次期薬価制度改革に向け、医薬品のカテゴリーに応じた薬価制度を構築する観点から、薬価改定の在り方、新薬の価値を適切に評価する仕組みなどについて検討を進める必要がある。

◎製薬協 中間年改定廃止「引き続き訴える」

「薬価改定時の加算」のように評価すべき施策もあるが、医薬品全体で2466億円の薬剤費削減は製薬企業にとって大きな負担だ。日本がイノベーション重視の国に変貌を遂げようとしている中、かつ、製薬各社の日本における開発意欲が高まり、開発計画の再検討に着手あるいは国内開発を決定した事例も現れている中、このようなネガティブな政策が決定されたことは誠に遺憾。ドラッグラグ・ロスの解消が後退しかねないことを懸念する。製薬協は、中間年改定の廃止を引き続き訴える。

◎PhRMA・EFPIA「数百億円の損失を被る可能性も」 透明性の欠如に非常に落胆

2024年度(令和6年度)薬価制度改革、7月に創薬エコシステムサミットで提唱された政策目標、来年予定されている官民協議会の計画など、岸田政権が重要な第一歩を踏み出したわずか数か月後、石破政権が方針を転換し、2025年度中間年改定において、革新的医薬品の薬価引下げのルールを拡大したことに、私たちは驚き、深く失望している。新薬創出等加算の累積額控除といった実勢価格改定と連動しないルールの適用などで、企業の中には、10年以上前から長らく策定してきた綿密な投資回収計画の見直しを迫られ、数百億円もの損失を被る可能性がある。私たちは、このような事態を招いた透明性の欠如には、非常に落胆している。

加えて、厚生労働省は、26年度制度改革に向けて、費用対効果評価の拡大の検討を進めることを表明している。他国での実績が示しているとおり、日本において費用対効果評価を拡大することは、ドラッグ・ロスを悪化させ、研究開発投資を減少させることにつながる。

今回の決定は、日本が創薬力の低下とドラッグ・ロスを生じさせた道に再び後退させるものだ。最先端の治療法に対する予見性があり支援的な保険償還の環境がなければ、創薬エコシステムサミットで提案された目標を達成できなくなり、官民協議会の努力も無駄になるだろう。このため、私たちは、厚生労働省がこの度決定した誤った政策を撤回するまでの間、これらの取組みへの参加を留保する。

◎GE薬協 不採算品再算定や最低薬価引上げ「業界全体取り巻く状況に配慮いただいた」

8年連続の薬価改定となる令和7年度の中間年改定が実施されることは、医薬品業界にとってより厳しい環境となることが想定される。(医薬品のカテゴリーごとの薬価改定が初めて実施されることについて)発医薬品も含めた全医薬品一律の乖離率に基づく改定では多くの品目が改定の対象となっていたところ、役割を踏まえた改定が実施されたと理解している。また、不採算品再算定の臨時的な適用、最低薬価の引き上げは医薬品業界全体を取り巻く状況にご配慮いただいたものと理解している。
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