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大臣折衝 25年度薬価改定で2466億円削減 「後発医薬品供給支援基金」創設でジェネリック再編後押し

公開日時 2024/12/25 17:15
福岡厚労相と加藤財務相は12月25日午前、大臣折衝を行い、2025年度薬価改定について実施することに合意した。薬剤費の削減額は2466億円(国費648億円)。25年度は奇数年で診療報酬本体の改定はない年に当たるが、物価動向などを踏まえ、診療報酬上の対応として、入院時の食費基準額を一食当たり20円引き上げるほか、長期収載品の選定療養の説明で算定できる服薬指導の加算点数を倍増する。製薬産業をめぐっては、創薬力強化と医薬品の安定供給が課題となる中で、創薬支援と医薬品安定供給に向けて予算措置を行うことにも合意した。後発品の安定供給実現に向け、「後発医薬品供給支援基金」を造成する。集中改革期間に当たる5年間に予算措置を行い、企業間の連携・協力・再編を強力に後押しする。(写真提供:財務省)

◎「創薬支援および医薬品安定供給にかかわる予算措置」も合意

製薬産業について創薬力強化と医薬品の安定供給が重視される中で大臣折衝では、25年度薬価改定の実施に加え、「創薬支援および医薬品安定供給にかかわる予算措置」も合意された。

後発品の供給不安をめぐっては、少量多品目生産の非効率な生産体制が指摘される中で、安定供給実現に向けて、計画的に生産性向上に取り組むジェネリックメーカーを支援する。法改正などの措置を講じたうえで、独立行政法人医薬基盤・健康・栄養研究所に「後発医薬品供給支援基金」を新たに創設する。「企業間の連携・協力・再編を強力に後押しするために国が企業の取組を認定する枠組みを法的に整備するとともに、薬事・薬価面での対応も含め、後発医薬品業界の再編の促進に向けた方策を検討する」とした。

24年度補正予算では、「後発医薬品の産業構造改革のための支援事業」として、70億円を確保。品目統合などに向けて計画的に生産性向上に取り組む企業に対する必要な支援モデルを構築。ジェネリックメーカーの連携・協力・再編の推進に向け、設備投資等への安定的・継続的な支援の在り方についてさらに検討を行うこととしている。25年度以降の対応として基金の造成を法律的に位置付けたうえで、事業計画などを認定する形にすることで、継続的な支援を行う考え。

創薬支援についても明記。医薬品産業が成長産業となるために、「創薬環境や市場環境の変化を踏まえた構造改革を進めることが不可欠」と明記。あわせて、「政府による支援も重要」として、「今後、官民連携の下、企業、大学等が安定的・継続的に創薬に取り組み、実用化につなげることができるよう、国内外の多様なプレーヤーの参画を促す観点から、安定的・継続的な支援の在り方」について、次期通常国会に提出を見込む薬機法改正までを目途に検討し、結論を得ることも盛り込んだ。

◎長期収載品の後発品への置き換え、市場拡大再算定「25年末に中間的フォローアップ実施、結果公表」

25年度薬価改定について、改定の対象品目について「国民負担の軽減はもとより、創薬イノベーションの推進や医薬品の安定供給の確保の要請にきめ細かく対応する観点から、品目ごとの性格に応じて、対象範囲を設定する」と説明。改定の対象範囲は、平均乖離率の5.2%を基準に、新薬創出等加算は1.0倍超、新薬創出等加算品目以外の新薬は0.75倍超、長期収載品は0.5倍超、その他医薬品は1.0倍超。

薬価改定基準については、後発医薬品等の価格帯集約や基礎的医薬品、最低薬価、既収載品の外国平均価格調整。新薬創出等加算は加算・累積額控除ともに実施する。イノベーション評価の観点から、初めて改定時加算を臨時的に実施する。また、安定供給が求められる医薬品に対し、臨時的な不採算品再算定の実施や最低薬価の引上げを行う。

一方で、G1・G2ルールなど長期収載品の薬価改定、市場拡大再算定の25年度改定での実施は見送られた。ただ、大臣合意の中では、「長期収載品に係る内容については、後発医薬品の置換えの状況等について検証しつつ、さらなる長期収載品の薬価上の措置について検討する」、「診療報酬改定のある年にのみ適用されてきた市場拡大再算定についても、国民負担の軽減と創薬イノベーションの推進とのバランスを踏まえ検討する」ことを盛り込んだ。「検討の状況について、25年末に中間的なフォローアップを実施し、その結果を公表する」ことも明記した。

なお、臨時的に適用される不採算品再算定の品目数や最低薬価の引き上げ幅、新薬創出等加算の累積額控除の該当品目などについて厚労省保険局医療課は、「現在詳細を検討中で、回答は差し控える」として、詳細を明らかにしなかった。

◎費用対効果評価「引き続き対象範囲の拡大に向けた検討進める」 

費用対効果評価については、「引き続き、対象範囲の拡大に向けた検討を進める」と明記。「薬価制度上の活用方法、診療現場での活用の方策など、今後の在り方について具体的な検討を進める」とともに、「薬価制度上の活用方法、診療現場での活用の方策など、今後の在り方について具体的な検討を進める」ことが盛り込まれた。

長期収載品の選定療養についても、「患者の動向、後発医薬品への置換え状況、医療現場への影響も含め、その実態を把握した上で、更なる活用に向けて引き続き検討する」とした。薬剤自己負担の見直し項目としては、「薬剤定額一部負担」、「薬剤の種類に応じた自己負担の設定」、「市販品類似の医薬品の保険給付の在り方の見直し」について、「引き続き検討を行う」ことも盛り込んだ。

◎診療報酬上の対応を明記 食費20円引上げ 選定療養時の服薬指導「5点から10点に引上げ」

一方で、物価高騰などを踏まえ、診療報酬上の対応も行う。入院時の食費基準額を一食当たり20円引き上げるほか、長期債品の選定療養の際に算定できる「特定薬剤管理指導加算3ロ」を5点から10点に引き上げる。

◎25年度社会保障関係費は38兆2800億円程度

25年度の社会保障関係費は、24年度と比べ、5600億円程度増となる38兆2800億円程度。「経済・物価動向等に適切に配慮」する一方、「薬価改定等の様々な改革努力を積み重ねる」ことで、社会保障費の実質的な伸びを高齢化による増加分におさめる方針を堅持した。

◎福岡厚労相 中間年改定は「イノベ推進、安定供給の確保、国民負担軽減にバランスよく対応」

福岡厚労相は大臣折衝後の会見で、「薬価改定については、薬価を引き下げるだけでなく、メリハリの付いた対応の一環として、例えば例えば創薬イノベーション推進の観点から、追加承認品目等に対する加算を臨時的に実施するほか、安定供給が特に求められる医薬品に対して臨時的に不採算品再算定を実施するとともに、最低薬価を引き上げることとした」と説明した。

診療報酬改定のない、いわゆる中間年改定については、大臣折衝で、「創薬イノベーションの推進、医薬品の安定供給の確保、国民負担の軽減といった要請についてバランスよく対応する中で、その在り方について検討する」ことが明記された。福岡厚労相は、「そういったことを踏まえて今後関係者のご意見をうかがいながら丁寧に検討する」考えも示した。
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