三菱ケミカルグループは11月１日、ヘルスケアセグメントの医薬品事業（田辺三菱製薬）の2024年度第２四半期（中間期）決算で、希望退職制度について169億円計上したことを報告した。24年度第二四半期の売上高は前年同期比6.0％増の2326億円、営業利益は38.1％減の276億円だった。北米でのALS治療薬ラジカヴァ経口剤の販売が伸長するなどして、売上高を押し上げ、コア営業利益は前年同期比27.5％増の414億円で着地したが、希望退職制度の特別退職金などが影響した。

田辺三菱製薬は今年７月に、2025年1月1日時点で45歳以上かつ勤続年数5年以上の従業員約2200人を対象に募集人数を定めず希望退職制度を実施することを発表。募集期間は10月１日から11日までで、退職日は12月31日。退職者には、通常の退職金に割増退職金を加算して支給。希望者に対しては本人に再就職のための支援会社を紹介し、最長２年間の再就職支援のための費用を会社が負担するとしていた。第二四半期の決算には、特別退職金165億円、その他の関連損失として３億8000万円を計上した。

◎国内売上高　2.1％増の1608億円　マンジャロ伸長、ゴービックが好調な滑り出しで

24年度第二四半期決算は売上高が前年同期比6.0％増の2326億円、コア営業利益は前年同期比27.5％増の414億円だった。薬価改定によるマイナス要因はあったものの、北米でラジカヴァが好調で27.2％増の506億円と伸長したほか、為替影響もプラスに働いた。国内売上高は2.1％増の1608億円。マンジャロの販売が伸長したほか、インフルエンザワクチンが119億円売上げた。３月に発売した５種混合ワクチン・ゴービックも69億円と順調な滑り出しをみせている。

◎筑本社長　事業の選別「聖域なくシビアに見させていただく」　売却報道に「お知らせすることない」

ファーマを含めた事業構造改革が進められる中で、筑本学代表執行役社長は方向性について問われ、「稼げる事業かどうかということや、将来性、我々自身がベストオーナーであるかなども判断材料になるが、あらゆる事業についてシビアに見させていただいて、検討している。その結果を五月雨式に順次発表している」と説明。「聖域はないので今後も引き続き、事業の選別をやっていく必要があると思っているし、より集中することで利益性を高めていきたい」と強調した。田辺三菱製薬の売却準備を始めたとする一部報道もあったが、「ファーマの事業に限らずあらゆる事業の中身を精査するのは、日々やっている我々の経済活動の一つ。いま、新たに皆様にお知らせするようなことは今のところない」と述べるにとどめた。

【医薬品事業の業績 （前期比）23年度予想（前期比）】
売上高　2326億円（6.0%増）4650億円（6.3％増）←修正前4490億円
コア営業利益　414億円（27.5%増）610億円（8.5％増）←修正前420億円
営業利益　276億円（38.1%減）490億円（28.9%減）←修正前480億円
親会社所有者帰属当期利益　177億円（52.6%減）290億円（48.6%減）←修正前285億円

【国内主要製品売上高（前期実績）23年度予想、億円】
ステラーラ　303（340）599←修正前583
シンポニー　216（225）420←修正前424
テネリア　48（55）127←修正前117
カナグル　62（61）117←修正前114
カナリア　35（55）79←修正前82
バフセオ　12（11）23←修正前24
ユプリズナ　47（25）89←修正前82
ルパフィン　39（37）91←修正前88
ジスバル　　18（25）61←修正前64
ラジカット　32（26）62←修正前63

ワクチン計　276（187）451←修正前445
　インフルエンザ　119（67）138←修正前124
　ゴービック　69（－）155←修正前152
　テトラビック　15（47）24←修正前34
　ジェービックV　18（18）32←修正前35
ミールビック　27（27）47←修正前47
　水痘ワクチン　20（20）39←修正前40
長期収載品等　473（479）1053←修正前1071
レミケード　124（158）234←修正前247
海外医療用医薬品　656（559）1248←修正前1096
　ラジカヴァ　506（398）955←修正前807
ロイヤリティ収入等　68（67）非開示
　インヴォカナ　36（30）非開示
　ジレニア　21（19）非開示