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日医工・岩本社長 共和薬品と「協業を越えた再編」キーワードに連携 まずは製造から、品目集約・統合

公開日時 2024/07/24 05:00
日医工の岩本紳吾代表取締役社長は7月23日、富山市内で開いた記者懇談会で、「共和薬品とは、”協業を越えた再編”というキーワードをベースに両社で仕事をしていくことになる」と述べた。直近の合併については否定し、「グループ会社のようなイメージ」で、ビジネスを進める考えを示した。共和薬品は、日医工と同様に、メディパルホールディングスと国内投資ファンド・ジェイ・ウィル・パートナーズ(JWP)が出資する合同会社の傘下にある。まずは、製造面で共和薬品と連携し、品目の集約・統合を進める考え。品目数を絞り、大量生産に舵を切ることで、生産効率を向上させる方針を示した。

ジェネリック業界の再編をめぐっては、武見敬三厚労相が7月4日、「業界の中核を担う自覚と気概のある企業には、業界団体を通じて産業構造改革の動きを牽引して業界再編を行った上で、生産能力を持ち、安定供給を担う活動をぜひ示していただきたい」と要請するなど、機運が高まっている。

◎8つの工場活用で生産効率を向上 委受託関係の外部企業との連携にも意欲

岩本社長は、「再編に積極的に取り組んでいきたい」と表明。日医工が6工場、共和薬品が2工場を有していることから、「製造面では、8つの工場をどう使っていくかということを考えながら、他社の工場とも連携しながらどう再編に取り組んでいくかということ。他社と色々な話をさせていただきたいと思っている」と意欲をみせた。

医薬品の供給不足が続く中で、「いま業界でやらなければいけないのは、生産量を増やすことではなく、品目の集約や統合だ」と指摘。共和薬品は中枢神経系(CNS)領域の製品ラインアップを有しているが、重なっている品目については製造をどちらかに片寄することや、役割を終えた製品などは終売とするなどして品目を絞り、生産効率を上げる考えを示した。

さらに、日医工が外部企業に生産の委託をしている品目も多くあるとして、「色々な工場と連携しながら、お互いに良い方法で集約し、良い方法でキャパシティを使えるような話し合いができればと思っている。統合や集約などで、少量生産低減につながることが再編のテーマだと思っているし、その方向で検討している」と述べた。

安定供給の観点から、「一つの会社が大きなシェアを持ってしまうことも危険だ」とも指摘。販売はしても製造をどこかに移すということも必要になってくる。そういうことも視野に入れて取り組んでいくべきだ」との考えを示した。

協業を進めることで、学術組織や流通の一本化などで「コスト削減など、メリットが生まれる部分がある」との見解も示した。

一方で、販売をきっかけとした再編には、「例えば、日医工が全部販売するからみんな作ってくれというアプローチかけても、あまり皆集まってこない」と否定的な見解を示した。「工場の協力などをし始めて将来的にどうするか。製造から皆さんと協力していきたい。即、販売会社という議論に発展させるつもりはない」と述べた。

◎「日医工は非常に順調に再生している」 9割以上の製品で通常出荷に

「日医工は非常に順調に再生している」-。経営再建を任される形で就任後、1年間を経て岩本社長はこう手応えを語った。

生産体制の強化に注力した結果、867品目のうち、9割以上の製品が通常出荷するまで回復した(出荷量増加:682品目、78.7%、出荷量通常:126品目、14.5%)。「日本のメーカーの中でもトップクラスの製品を扱っている。多くの責任をもって取り扱っている。製品の大半が確保できているということを認識いただければと思っている」と説明。他社の出荷調整をする品目の生産を23年度に123品目引き受けるなど、安定供給に貢献する姿勢を強調した。品質保証体制の強化により、「リスクの段階で、即日か次の日には私のところに入ってくるようになった」と述べ、品質確保にも自信を見せた。

◎24年3月期決算は黒字に転換 「少し明るい兆しが見えてきた」

24年3月期決算は売上高1253億円、コア営業利益12億円、営業利益8億円。行政処分後、大幅な赤字に陥ったが、黒字に転じた。「社員が本当に頑張って仕事をした。再生期間中で金融機関から期待されている数字には少し及ばなかったが、少し明るい兆しが見えてきた」とも語った。

◎「営業力の強化」に力 病院勤務医、薬剤師にサイエンティフィックな情報提供

25年3月期は、売上高1361億円、売上総利益234億円、コア営業利益65億円、営業利益61億円を計画する。注力する柱の一つには、「営業力の強化」を据える。目指すのは、「ジェネリック医薬品企業に勤めているという意識から脱却し、医薬品企業に勤めているという意識」を持つことだ。

岩本社長は、「ジェネリックの営業活動を変えていかなければならない。プロモーション、卸との付き合い方、医療機関への訪問の仕方を今までとは違ったものを作っていかないといけない」と指摘。注射剤や麻酔を主力品とする同社だけに、病院勤務医や病院薬剤師のニーズが高い「サイエンティフックな情報提供」に注力する考えを示した。価格を重視した従来の営業スタイルから変革する必要性を強調。一方で、デジタル部門の強化に取り組んでいることも明かし、供給量などの情報提供や、コールセンターの負担軽減など、デジタルの活用を模索する考えも示した。

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