「ＭＲ活動」などのプロモーション系情報チャネルによって医師に想起された製品ランキングで、慢性心不全・高血圧症治療薬・エンレストが直近の2024年１月調査でも首位をキープしたが、想起医師数は前回23年10月調査比24％減の１万3200人（拡大推計、100人未満切捨て）となったことがわかった。ただ、これまでの“使用感”をきっかけに同剤を想起する医師は増え続けており、１月の“使用感”を含むノンプロモーション系情報チャネルによる想起医師数は２万5000人近くにのぼることも確認した。同剤に関しては、積極的なプロモーションをしなくても自然と処方が伸びる状況にあり、フォローアップの情報収集が重要な局面にあるといえそうだ。

エンレスト（ノバルティス　ファーマ/大塚製薬）は慢性心不全の適応で20年８月に発売。21年９月には高血圧症の適応を追加した。プロモーション系情報チャネルによる製品想起ランキングで同剤は、21年10月調査から23年４月調査まで７期連続で１位を獲得（本調査は３カ月ごとに集計）。23年７月調査で２型糖尿病治療薬・マンジャロ（日本イーライリリー/田辺三菱製薬）に首位の座を明け渡したが、同年10月調査から再びエンレストが首位に立った。

ただ、１月にエンレストをプロモーション系情報チャネルで想起した医師数は、21年10月調査以降で最も少なく、前回23年10月調査から約4100人減少した。チャネル別に想起医師数を見ても、「ＭＲ活動」で約1500人減の7200人、「講演会」で約1800人減の3900人、自社サイトなどによる情報発信を指す「eマーケティング」で約800人減の1900人――となり、主要なプロモーション系情報チャネルの全てで想起医師数を減らした。ただ、チャネル別の製品想起ランキングは、「ＭＲ活動」と「講演会」は前回調査に引き続き１位をキープ。「eマーケ」は前回２位から今回４位に順位を落とした。

一方、これまでの積極的なプロモーション活動に、医師の同剤に対する関心の高さも相まって「医師の使用感評価」をきっかけに同剤を想起する医師数は右肩上がりに増加。「使用感」を含むノンプロモーション系情報チャネルによる製品想起ランキングでは、22年10月調査から６期連続１位となり、24年１月調査でも前回調査から更に約2000人増えて２万4800人が想起したことを確認した（ノンプロモーション系情報チャネルの製品想起ランキングは、ミクスOnlineの会員向けに４月下旬に詳報します）。

１月のプロモーション系情報チャネルによる製品想起トップ10製品と推計想起医師数（100人未満切捨て）は以下の通り。

１位　エンレスト　想起医師数１万3200人
２位　フォシーガ　想起医師数１万1400人
３位　パルモディア　想起医師数7600人
４位　ジャディアンス　想起医師数6200人
５位　ツイミーグ　想起医師数5700人
６位　リベルサス　想起医師数5600人
７位　マンジャロ　想起医師数5600人
８位　デエビゴ　想起医師数5600人
９位　ゾフルーザ　想起医師数5400人
10位　グーフィス　想起医師数5300人
＊６位と７位は100人未満の想起医師数でランキングした

本調査は、インテージヘルスケアが提供する医師約１万人を対象に情報チャネルごとの製品想起状況などをトラッキングする「SOC（＝Share of Channels）」によるもの。SOCは、主に「ＭＲ活動」、「講演会（Web含む）」、自社サイトやサードパーティによる情報発信を指す「eマーケティング」で構成するプロモーション系情報チャネルによる製品想起と、主に「医師の使用感評価」や「患者の声」などのプッシュ型ではないノンプロモーション系情報チャネルにわけ、製品想起状況が把握できる。同調査は１月、４月、７月、10月に実施している。

ミクスではSOCデータを用いて、ミクスOnlineの会員向けに全国及びエリア別にチャネル別の製品想起ランキングトップ10を公開しています（連載タイトル「おくすり想起ランキング」はこちら。14日間の無料トライアルはこちら）。