2023年７～８月に全規格で限定出荷となった新規の２型糖尿病治療薬・マンジャロ（日本イーライリリー/田辺三菱製薬）の想起医師数が10月に激減した。「ＭＲ活動」などのプロモーション系情報チャネルによって医師に想起された製品ランキングで、マンジャロは前回７月調査で初めて首位に立ったが、10月は５位に順位を落とした。同剤の10月の想起医師数は前回調査比56％減の8800人（拡大推計、100人未満切捨て）となり、人数では約１万1300人の大幅減となった。限定出荷の中で積極的なプロモーション活動を控えており、この影響が表れた。

マンジャロは23年４月に発売した。14日間の投薬日数制限下にあるものの、発売当初から医師の関心は高く、７月調査でプロモーション系情報チャネル（以下、プロモ系チャネル）合計の想起医師数ランキングで１位となった。一方で、同剤は急激な需要増加により、全６規格のうち７月に高用量４規格が、８月には開始用量を含む２規格がそれぞれ限定出荷となり、12月25日時点で限定出荷は解除されていない。

10月の調査結果を見てみると、マンジャロのチャネル別の想起医師数は「ＭＲ活動」で前回調査から半減（約5700人減）となる5700人、「講演会」では約3000人減の1700人、「eマーケ」では約2400人減の1300人――となり、主要なプロモ系チャネルの全てで想起医師数は減少した。各チャネルにおける想起医師数ランキングは、「ＭＲ活動」で前回１位が今回２位に、「講演会」は同２位が７位に、「eマーケ」は同１位から12位にそれぞれ順位を落とした。

日本イーライリリーは本誌に、「マンジャロは出荷調整に伴い、新たな処方や増量に関する積極的なプロモーション活動は控えている。一方、安全性・適正使用に関する情報提供活動は、これまでと同様に継続している」とコメントした。今回の調査結果は、本社から積極的な営業活動を控えるようにとの指示が、現場で徹底された結果ともいえそうだ。

10月のプロモ系チャネルによる製品想起トップ10製品と推計想起医師数（100人未満切捨て）は以下の通り。

１位　エンレスト　想起医師数１万7400人
２位　フォシーガ　想起医師数１万1800人
３位　リベルサス　想起医師数9200人
４位　ジャディアンス　想起医師数8900人
５位　マンジャロ　想起医師数8800人
６位　デエビゴ　想起医師数6500人
７位　ゾコーバ　想起医師数6100人
８位　リンヴォック　想起医師数6000人
９位　ケレンディア　想起医師数5400人
10位　アミティーザ　想起医師数4900人

調査は、インテージヘルスケアが提供する医師約１万人を対象に情報チャネルごとの製品想起状況などをトラッキングする「SOC（＝Share of Channels）」によるもの。SOCは、主に「ＭＲ活動」、「講演会（Web含む）」、自社サイトやサードパーティによる情報発信を指す「eマーケティング」で構成するプロモーション系情報チャネルによる製品想起と、主に「医師の使用感評価」や「患者の声」などのプッシュ型ではないノンプロモーション系情報チャネルにわけ、製品想起状況が把握できる。同調査は１月、４月、７月、10月に実施している。

ミクスでは１月、４月、７月、10月のSOCデータを用いて、ミクスOnlineの会員向けに全国及びエリア別にチャネル別の製品想起ランキングトップ10を公開している（連載タイトル「おくすり想起ランキング」はこちら。14日間の無料トライアルはこちら）。