久光製薬の南秀尚・執行役員渉外担当は４月11日の2023年度（23年３月～24年２月）決算説明会で、10月に施行される長期収載品への選定療養の導入について、「（業績に）ネガティブな影響があることは間違いない」と述べた。選定療養の対象となる主力の経皮鎮痛消炎剤・モーラステープ群の24年度（24年３月～25年２月）国内売上予測は、前年度比43億7400万円減（18.0％減）の199億円。南氏は、この減収理由のひとつが選定療養による影響と明らかにしたが、選定療養による影響額は非開示だとした。

24年度診療報酬改定では、長期収載品から後発品への置換えを促進する目的で、後発品の上市後５年以上経過したもの又は後発品の置換率が50％以上となった長期収載品を対象に、長期収載品と後発品の最高価格帯との価格差の４分の１を選定療養の自己負担とし、患者から徴収する制度を導入することは決定している。現在、厚労省で運用面の細部が検討されている。

南氏は、「長期収載品に選定療養を導入することの大枠は決定しているが、運用細部は厚労省で検討中の段階にあり、正確な（影響）予測は開示できる状況にない」と述べた。ただ、24年度業績予想に選定療養による影響は「入っている」とし、モーラステープの主な減収理由は、▽24年度薬価改定の影響、▽後発品の使用促進、▽選定療養の影響――だとした。なお、汎用規格であるモーラステープL40mgは４月の薬価改定で5.9％引き下げられた。

◎23年度の国内医療用薬売上2.5％増　ジクトルやアポハイドがけん引

23年度の日本の医療用医薬品売上は544億3700万円（前年度比2.5％増）だった。最主力品のモーラステープ群の売上は13.1％減の242億7300万円で、23年４月の中間年改定や後発品使用促進が大きく響いた。ただ、この減収を新製品群でカバーし、特に22年６月に腰痛症等の効能を追加した経皮吸収型非ステロイド性疼痛治療薬・ジクトルテープは145.2％増の54億4300万円、23年６月発売の国内初の原発性手掌多汗症治療薬・アポハイドローションは９億8400万円を売り上げ、国内医療用医薬品事業をけん引した。

23年度の連結業績は売上1417億600万円（10.4％増）、営業利益131億6700万円（13.5％増宇）、親会社帰属純利益139億6900万円（19.0％増）――で、３期連続の増収増益を達成した。医療用医薬品事業、一般用医薬品事業ともに日本及び海外のいずれも増収で、海外収益には円安効果もあった。

◎24年度　国内医療用薬事業のみ減収予想　モーラステープ群の減収影響大きく

24年度予想は、日本の医療用医薬品事業のみ減収で、日本の一般用医薬品事業、及び海外の医療用医薬品事業と一般用医薬品事業は増収になるとした。

24年度の日本の医療用医薬品事業の売上は2.3％減の532億円になると予想した。同社の場合、５％台後半の薬価改定影響がある。ジクトルやアポハイドといった新製品群を伸ばして改定影響の最小化を図る計画だが、それでもモーラステープ群の減収影響（18.0％減）が大きく、24年度は厳しい業績になると予想した。なお、ジクトルは45.1％増の79億円、アポハイドは143.8％増の24億円を目指す。

24年度の連結業績予想は売上1520億円（7.3％増）、営業利益145億円（10.1％増）、親会社帰属純利益158億円（13.1％増）――で、４期連続の増収増益となる計画を立てた。

【連結業績（前年同期比）　24年度予想】
売上高　1417億600万円（10.4％増）　1520億円（7.3％増）
営業利益 131億6700万円（13.5％増）　145億円（10.1％増）
親会社株主帰属純利益　139億6900万円（19.0％増）　158億円（13.1％増）

【国内医療用主要製品売上（前年同期実績）　24年度予想、億円】
【22年度の国内主要製品売上（前年同期実績）　23年度予想　億円】
モーラステープ群　242.73（279.30）　199
ジクトルテープ　54.43（22.19）　79
ハルロピテープ　34.87（28.33）　41
フェントステープ　34.67（37.26）　29
モーラスパップ群　35.82（39.48）　32
エストラーナテープ　20.10（20.55）　19
アレサガテープ　4.03（3.98）－
アポハイドローション　9.84（－）　24
その他　91.61（85.25）　－