中医協総会は12月25日、「中間年改定の年に行う期中の診療報酬改定」として、入院時の食費の基準と、長期収載品の選定療養化や医薬品供給不安に伴う服薬指導の評価の見直しについて了承した。入院時の食費については、食材量の価格高騰を踏まえて入院時食事療養(Ⅰ)の現行670円を1食あたり20円引き上げて690円とする。一方、長期収載品の選定療養が10月に施行され、患者への説明など保険薬局の業務負担が更に増加していることを踏まえて、「特定薬剤管理指導加算３ ロ」について、現行の5点を10点に引き上げる。診療・支払側とも今回の期中改定について、「大臣折衝を踏まえて緊急的に対応すべきもの」として合意した。

入院時の食費の基準については、2024年度診療報酬改定において、物価高騰に伴う食材費価格の上昇を踏まえ、30年ぶりに入院時食事療養(Ⅰ)の640円を30円引き上げて670円に改定した経緯がある。ただ、この日の総会に厚労省が示した資料によると、「食料支出・消費者物価指数（CPI）」は23年に比べて24年（1月～10月）はさらに上昇。「物価高騰による施設等の給食への影響調査」から、「業者から安価な食材を紹介してもらう」や「冷凍食材や加工食品を増やす」など、長期化すると食事の質の低下が懸念されるとの指摘も見られた。

◎長島委員「光熱費等の物価高騰も経営を厳しくしており、医療の質を確保することが難しい」

診療側の長島公之委員（日本医師会常任理事）は、「新鮮な食材を使えないばかりか、光熱費等の物価高騰も経営を非常に厳しくしており、医療の質を確保することが難しい状況となっている」と訴え、今回の緊急的な改定は、「医療の質の維持向上のために、時期に即した評価と受け止めている」と強調した。一方で、支払側の松本真人委員（健康保険組合連合会理事）は、「給食の管理に関する工夫も示されている。医療現場の努力が既に限界に達しているということであれば、引き続き可能な限りの経費の節約に努力しつつ、今回の引き上げを踏まえ、食事の質の低下を招かないようにして頂きたい」と要請した。

◎長期収載品の選定療養　約９割の薬局が負担感を訴え　患者説明に時間要し、業務に支障も

10月施行の長期収載品の選定療養に伴い、患者への説明など保険薬局の業務負担が更に増加していること等を踏まえ、評価の見直しを議論した。24年度改定では、長期収載品の選定療養に関する説明や、医薬品の供給上の問題により、別の銘柄の医薬品に変更が必要となった患者に丁寧な説明を行った場合の評価として、「特定薬剤管理指導加算3」の評価を新設した。一方で対応状況をみると、約９割の薬局が負担感を訴えているほか、患者への説明に長時間を要し、業務に支障が出た等の対応困難事例なども浮上している。

こうしたことから診療報酬上の特別措置として、「特定薬剤管理指導加算３ ロ」の現行５点 を、見直し案として10点とする。

診療側の森昌平委員（日本薬剤師会副会長）は、「約9割以上の薬局が負担感を伝えており、約7割の薬局で患者に対する説明に想像以上に時間がかかり、業務に支障が出ているとの結果になっている」と述べ、「後発品の使用を進めるためにも、現場の苦労や努力に応えられるよう、関係する報酬上の評価については前向きな見直しが必要」と訴えた。

◎松本委員　「緊急的対応が明らかな場合、政府決定を待たず、まずは議論の俎上に乗せるべき」

支払側の松本委員は期中改定の考え方について、「緊急的に対応すべき課題が明らかになった場合には、政府の決定を待つのではなく、まずは議論の俎上に乗せ、丁寧に議論に入るべきだ」と指摘。「調剤は技術料の改定そのものであり、改定の効果を検証した上で、見直しの必要性を判断することが本来の流れだというふうに考える」とも指摘した。ただ、「健保組合にも加入者から実際の金額の計算方法まで問い合わせが来ている」とも語った。

このほか、「24年度改定における“特定薬剤管理指導加算３ロ”を議論の中で長期収載品から後発品に切り替わらなかった場合も算定できること、つまり成果報酬ではないことについて疑問があるという指摘をさせていただいた」と述べ、「26年度改定に向けて長期主収載品の選定利用の基準と併せて、この加算の建付けについても議論すべきと考える」と強調した。