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厚労省 供給不足情報、4月から公表へ 供給不足“恐れ”も報告求める 医薬品安定確保会議

公開日時 2024/02/07 05:00
厚労省は4月から、全医療用医薬品を対象に供給不足が起きた場合の供給状況を厚労省のホームページを通じて公表する。厚労省はこれまでも供給不足に際し、製造販売業者に報告を求めてきたが、公表されていなかった。公表により、医療現場と情報の共有化を進めたい考え。あわせて、医療現場への影響が大きい品目については、6か月以内に供給不足の恐れがあった場合の報告も求める。公表はせずに、早期対応に活用し、供給不足を未然に食い止めたい考えだ。改正感染症法・改正医療法が4月に施行されるのを踏まえた対応。同省が2月6日に開かれた「医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議」に提案し、大筋で了承された。

厚労省はこれまでも通知により、供給不安時の製造販売業者からの報告を求めてきた。ただ、製造販売業者からの報告の漏れや遅れが生じていることが指摘されているほか、厚労省側も報告内容を公表しておらず、医療現場への情報提供に活用できていないとの指摘があった。このため、供給不安の恐れがあった際の「供給不安報告」と、実際に供給不安が起きた際の「供給状況報告」に整理し、報告内容を見直し、情報収集の拡充を行う。新たに通知を発出し、4月にも新たな報告制度としたい考えだ。

◎供給不足の恐れ「供給不安報告」 医療現場への影響大きい6か月以内に供給不足の品目対象

供給不足の恐れがあった場合に行う「供給不安報告」は、医療現場への影響が大きい医療用医薬品が対象で、6か月以内に供給不足が生じると予見された場合に報告する。例えば、海外の原材料の製造所でトラブルが発生して供給がストップし、限定出荷が発生することが予想されるケースを想定する。

“恐れ”があった時点での報告であるため、報告が必要な品目は、代替品がないケースや、シェアが大きいなどで「医療現場への影響が大きい」品目に絞る。具体的には、▽代替薬(同成分、他成分)や代替手段がない、▽適切な代替薬が存在しているが、代替に必要な量が足りていない、▽同一成分規格の品目がすべて供給不足になっている、▽同一成分規格の品目のうち、成分シェアが大きい品目が供給不足、▽安定確保医薬品(A,B,C)、▽その他、供給不安が生じることで、医療機関への影響が大きいと考えられる品目-とした。

報告内容については、現行では欠品・品薄等の状況や、製造販売業者の出荷量、限定出荷/出荷停止の理由など、「供給不安に関連する情報」の報告を求めている。これに加え、「出荷・在庫に関する情報」の報告を新たに求める。具体的には、①生産量②出荷量③在庫量④市場シェア⑤供給不足の詳細な理由⑥平時の生産量及び最大生産量-。「供給不足が生じるおそれに関する情報」として、供給不足の発生(予定)時期や解消見込み時期、原因や、薬事対応の必要性などの報告を求める。これらの情報は、民間と厚労省との間で措置に活用することとして、非公表とした。

◎供給不安時の「供給状況報告」 供給状況や理由、改善見込み時期などを厚労省HPに掲載 

実際に供給不足が生じ、出荷状況の変更(限定出荷等)が生じた際の「供給状況報告」は、全ての医療用医薬品が対象。欠品・品薄等の状況のほか、限定出荷/出荷停止の理由や改善見込み時期、代替薬などを厚労省のホームページに掲載し、公表する。出荷状況に変更が生じる場合に速やかに報告を求め、その後は出荷状況が回復した場合も含めて、状況変化が生じた場合に随時報告を求める。

市場シェアや、他社の出荷調整等による場合に原因となった医薬品名、代替薬製販企業との調整状況などについては報告を求めるが、非公表。報告事項として追加される、「製造販売業者の出荷量の根拠となる数量」も非公表とした。

まずは、日本製薬団体連合会(日薬連)の供給状況調査(2024年2月末調査)をベースとして公表。3月以降に出荷状況に変更が生じた医薬品の供給不足情報は4月以降に速やかに、厚労省へ報告を行い、厚労省HPへの反映については、3か月程度の一定の移行期間内に、随時更新し、日薬連調査との整合性を確認する方針。

◎改正感染症法・改正医療法の運用ガイドライン パブコメ経て成案化へ

同日の検討会では、改正感染症法、改正医療法の4月施行を見据え、「感染症法等に基づく医薬品等の供給情報の報告徴収・生産促進要請等に関する運用ガイドライン」も了承された。今後、パブリックコメントを経て、通知として発出する方針。

改正感染症法では、解熱鎮痛薬やワクチンなど、過去に供給不足が起き、増産要請が行われた品目について、平時からのモニタリングとして、製造販売業者から定期的に供給情報や生産状況の報告を求める。また、感染症が拡大した場合は、モニタリング品目の報告頻度を上げるほか、報告品目の拡大を行うとしている。報告内容を踏まえて、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある場合には、生産促進要請、増産要請を行う。製造販売業者に「生産計画」の提出を求め、沿っていないと認める場合は公表するとしている。

また、改正医療法の施行により、感染症に関連のない医薬品も含め、医療現場への提供が大きい医薬品で、供給状況の経時的な変化など、より詳細な情報収集が必要な場合に、個別に品目を指定して、医療法の報告徴収に基づき需給の状況の報告を求めることが可能になる。

◎要請に応えるための企業の“健全さ”求める声も 後発品だけでなく先発品も

この日の検討会では、構成員から報告の「実効性」を問う声が相次いであがった。宮川政昭構成員(日本医師会常任理事)が、「企業が健全でなければ、要請に応えられない。業界全体を含めて、その点検がなされているのか。健全であるかどうかというのを確かめなければ、行政は何もできないのではないか」と指摘した。

厚生労働省医政局医薬産業振興・医療情報企画課の水谷忠由課長は、「業界の自主的な点検と行政的な監視の強化は私どもとして、取り組むべき課題としてやっていく。一方で、どうしても一定の時間がかかるのもまた事実だ。4月1日の改正医療法・改正感染症法の施行のタイミングをとらまえて、供給不安報告、供給状況報告という通知で行われている仕組みについても、再整理をし、きちんと状況を把握しながらいける体制を整えつつ、点検の強化については並行して取り組んでいく」と述べた。

宮川構成員は、「行政の話ではなくて、業界自らがしっかり取り組むべきだ」と強調。梶山 健一構成員(日本製薬団体連合会安定確保委員会委員長)は、「今回起きた事例等を踏まえ、何を追加で点検するべきなのか、ブラッシュアップしながら、業界として自主点検を全ての企業、後発品を販売する全ての企業で進められるような体制を今、鋭意検討している。ぜひ進めていきたい」と述べ、理解を求めた。これに対し、宮川構成員が「後発品と言わないでほしい。常にそういう言い方をするのは不適切だ。先発品にも問題があったはずだ。改めた方がいいのではないか」と断じる場面もあった。
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