骨太方針を閣議決定 「中長期的な薬剤費のあり方の議論」を注釈に追記 国民負担とイノベーション推進で
公開日時 2023/06/19 04:50
政府は6月16日、「経済財政運営と改革の基本方針2023」を閣議決定した。原案から大きな変更はないが、与党調整を経て、文言を修正。2024年度に控えるトリプル改定を控えるなかで、「患者・利用者が必要なサービスが受けられるよう」な対応を行うことを盛り込んだ。医薬品関連では注釈として、「国民負担とイノベーションの推進を両立する観点から。中長期的な薬剤費のあり方の議論も含めて、取組を進める必要がある」ことを盛り込んだ。
◎24年度トリプル改定 「物価高騰・賃金上昇、経営状況」など影響踏まえて対応
24年度にトリプル改定を控えるなかで、「物価高騰・賃金上昇、経営の状況、支え手が減少する中での人材確保の必要性、患者・利用者負担・保険料負担への影響を踏まえ、患者・利用者が必要なサービスが受けられるよう、必要な対応を行う」とした。日本医師会など医療関係団体が、物価高騰、賃上げへの対応のために必要財源を確保することを求めている。少子化対策の財源について骨太方針には明記されなかったが、「現役世代の消費活性化による成長と分配の好循環を実現していくためには、医療・介護等の不断の改革により、ワイズスペンディングを徹底し、保険料負担の上昇を抑制することが極めて重要」と明記。医療・介護分野の効率化の必要性などを指摘している。
◎長期収載品等の自己負担のあり方、後発医薬品の産業構造の見直しも明記
医薬品関連では、「創薬力強化」に向けて、「研究開発型のビジネスモデルへの転換促進」などを行うため、「保険収載時を始めとするイノベーションの適切な評価などのさらなる薬価上の措置」や、「国際共同治験に参加するための日本人データの要否の整理」、「小児用・希少疾病用等の未承認薬の解消に向けた薬事上の措置と承認審査体制の強化」などの推進を盛り込んだ。これにより、「ドラッグラグ・ドラッグロスの問題に対応する」としている。
新規モダリティの投資や国際展開推進の観点から、「政府全体の司令塔機能の下で、総合的な戦略を策定する」としている。
一方で、「長期収載品等の自己負担のあり方の見直し、検討を進める」ことも明記された。このほか、後発医薬品については、「産業構造の見直し」も盛り込まれた。