厚生労働省は6月15日、2023年6月の後発品の薬価基準追補収載を官報告示した。16日に収載する。初めて収載される後発品(投与経路別)は11成分64品目。このうち高血圧症治療薬・
アジルバ錠(一般名:アジルサルタン)に12社39品目の後発品が参入する。アジルバ後発品には武田テバファーマのオーソライズド・ジェネリック(AG)も含まれる。一方で、2月に初後発として承認された抗造血器悪性腫瘍薬・レブラミドカプセル(レナリドミド)の後発品は今回、収載が見送られた。同省によると、後発品の承認を取得した沢井製薬とブリストル・マイヤーズスクイブ販売の2社とも、収載希望を取り下げたとしている。
今回収載される後発品等は25社113品目となる。このうち初後発は
アジルバのほか、高血圧症・慢性心不全治療薬・
セララ錠(エプレレノン)、抗がん剤・
タルセバ錠(エルロチニブ塩酸塩)、高コレステロール血症治療薬・
アトーゼット配合錠(エゼチミブ・アトルバスタチン)、ウィルソン病等治療薬・
ノベルジン錠(酢酸亜鉛水和物)、更年期障害等治療薬・
ジュリナ錠(エストラジオール)、肺動脈性肺高血圧症治療薬・
レバチオ錠(シルデナフィルクエン酸塩)、アレルギー性鼻炎治療薬・
アラミスト点鼻液(フルチカゾンフランカルボン酸エステル)、緑内障・高眼圧症治療薬・
タプロス点眼液(タフルプロスト)、緑内障・高眼圧症治療薬・
タプコム配合点眼液(タフルプロスト・チモロールマレイン酸塩)、ドライアイ治療薬・
ムコスタ点眼液(レバミピド)――の後発品となる。
◎アジルバ後発品にOD錠も
武田薬品が製造販売するアジルバには、キョーリンリメディオ、沢井製薬、サンド、第一三共エスファ、ダイト、武田テバファーマ(AG)、東和薬品、日新製薬、日本ケミファ、ニプロ、日本ジェネリック、Meiji Seika ファルマ――の後発品が参入し、先発品にはないOD錠も投入される。後発品の薬価は、ルールに基づき、先発品薬価から新薬創出等加算分を差し引いた上で0.4掛けした額となる。
◎アラミストに5社10品目参入 武田テバ製品はAG
グラクソ・スミスクラインのアラミストにはキョーリンリメディオ、高田製薬、武田テバファーマ、東和薬品、日東メディック――の5社10品目の後発品が参入する。このうち武田テバファーマの製品はAGで、耳鼻咽喉科に強みを持つセオリアファーマと共同販促する。武田テバファーマはこれまでに、収載即日の発売に向けて準備を進めるとコメントしている
(記事はこちら)。後発品薬価は先発品薬価から新薬創出等加算分を差し引いた上で0.5掛けした額となる。なお、アラミスト後発品は21年8月に承認されていたが、これまで収載されていなかった。
◎9成分は全て1社単独参入
アジルバ、アラミスト以外の初後発9成分は全て1社単独の参入となる。
具体的には、ヴィアトリス製薬のセララにはキョーリンリメディオ、中外製薬のタルセバには日本化薬、オルガノンのアトーゼットには日本ジェネリック、ノーベルファーマのノベルジンには沢井製薬、バイエル薬品のジュリナには富士製薬、ヴィアトリス製薬のレバチオには日本ジェネリック、参天製薬のタプロス及びタプコムにはそれぞれ東亜薬品、大塚製薬のムコスタ点眼液には参天製薬――の後発品が参入する。後発品薬価は、アトーゼットとタプコムの後発品は先発品の0.5掛け、ほかの後発品は先発品薬価から新薬創出等加算分を差し引いた上で0.5掛けした額となる。
このほか厚労省は、
アミカシン硫酸塩注射用で沢井製薬の後発品が収載されることも説明した。
◎2月承認のイムセラ/ジレニア、フェソロデックスなどの後発品は収載されず
一方、今年2月に初後発として承認されたレブラミド(レナリドミド)、多発性硬化症治療薬・イムセラカプセル/ジレニアカプセル(フィンゴリモド塩酸塩)、短時間作用型β1選択的遮断薬・オノアクト点滴静注用(ランジオロール塩酸塩)、乳がん治療薬・フェソロデックス筋注(フルベストラント)、がん性皮膚潰瘍臭改善薬・ロゼックスゲル(メトロニダゾール)、抗真菌薬・ルリコン液(ルリコナゾール)――の各後発品は今回、収載されない。
厚労省によると、レブラミド後発品と、オノアクト後発品は薬価収載が取り下げられた。イムセラ/ジレニア、フェソロデックス、ロゼックス、ルリコンの各後発品は収載希望が出されていないとしている。
【おことわり】厚労省の沢井製薬AGの収載に関する発表に誤りがありました。下線部を修正の上、厚労省からの発表内容に誤りがあった部分を削除しました。(6月15日13時45分)