後発品企業指標 25年度薬価改定で全ての指標の評価実施 薬価反映 企業名公表は26年度改定から 中医協
公開日時 2024/12/18 17:20
中医協薬価専門部会は12月18日、後発品の企業指標についてすべての指標について評価を実施し、薬価改定に反映することを了承した。今年6月から公表を開始した「安定供給について情報の公表」に加え、新たな指標として少量多品目の適正化を評価する「同一成分内でのシェアが3%以下の品目」の割合も25年度薬価改定で反映される。一方で、「A区分」などの企業評価についての企業名公表は、製薬業界が準備期間の必要性を指摘していたことを踏まえ、26年度改定から公表する。厚労省が同日公表したシミュレーションによると、すべての指標でマイナス評価となっている企業があることも明らかになった。
◎厚労省シミュレーション 「A区分」41社 「B区分」50社 「C区分」95社
後発品の企業指標は、24年度薬価改定で、医薬品の安定供給を確保できる企業を可視化し、医療現場で安定供給する企業が選ばれやすくする目的で試行的に導入された。後発品の安定供給のための予備対応力の確保や製造販売する後発品の供給実績、薬価の乖離状況などの指標で評価。25年度薬価改定では、今年6月から公表を開始した「安定供給について情報の公表」に加え、少量多品目の適正化に向けた「同一成分内でのシェアが3%以下の品目」の割合も新たにポイントで評価する。
「A区分(上位20%)」、「B区分」、「C区分(ゼロポイント未満)」に分類。A区分の企業では一部品目について、現行の後発品の改定時の価格帯集約(原則3価格帯)よりも、上の価格帯に集約するインセンティブが導入された。なお、直近1年間で薬機法違反に基づく行政処分を受けた企業は、A区分に分類された場合であっても、B区分とされる。
厚労省がこの日の中医協に提示したすべての指標を反映したシミュレーションによると、「A区分」は41社、「B区分」は50社、「C区分」は95社だった。
◎すべての指標でマイナス評価の企業も 安定供給の情報公表で厚労省の求めに応じず
シミュレーションの結果、指標のうち、プラス評価がなく、すべての指標がマイナスとなっている企業あることもわかった。この点を問われた厚生労働省医政局医薬産業振興・医療情報企画課の水谷忠由課長は、「ご指摘の企業は、今回初めて評価の対象とした“後発品の安定供給に関する情報の公表”について、情報の公表を求めているが、残念ながらまだご対応いただいていない。そうしたことが大きくマイナスになることが影響して、マイナスの評価となっている」と説明。「これまでも当該企業に対して情報公表の対応を求めてきたが、引き続き対応を求めてまいりたい」と述べた。
診療側の森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は、「情報の公開もしない、供給実績がマイナスということは考えられない。産業構造改革を進め、このような企業をどうするのか。シミュレーション結果等を参考にし、評価使用方法等について検討していく必要がある」と指摘した。
◎企業指標 評価方法や重みづけなどの「検証」診療・支払各側が求める 次期薬価制度改革で議論
診療・支払各側からは後発品の企業指標をめぐり、薬価への反映などのスケジュールについて異論は出なかったが、評価方法や評価の重みづけなどについて今後の検証を求める声があがった。
診療側の森委員は、「評価指標、評価方法を見ると、プラスの評価項目が少ないように感じる。シミュレーション結果では、安定供給のために重要な指標となる予備能力が高く、マイナスが多くないにもかかわらず、「B区分」となっているところがある」と指摘。「こうした評価は初めての試みであり、企業にどのような影響があるのか、またこの指標や評価方法が妥当なのか、評価の重みづけは合っているのかなど検証しながら慎重に進めていくべき」と指摘した。
支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、「“A区分”であったとしても、少量多品種構造の適正化、あるいは薬価の乖離状況に関するマイナスが出ていることはやや懸念材料と感じている」と指摘。「全体的なグラフの形状を見た率直な印象として、上位20%で「A区分」と「B区分」の境界線を引く妥当性にやや疑問はある」とも述べた。業界ヒアリングで安定供給に逆行する懸念がないとの発言があったことを踏まえ、「25年度からは可能な限り幅広い指標を適用した上で、企業区分の基準について、次期薬価制度改革で改めて議論すべき」との見解を示した。