後発品追補収載 初後発は9成分、DPP-4阻害薬に初参入 エクアに9社9品目 イグザレルトにも
公開日時 2024/12/05 04:50
厚生労働省は12月5日、2024年12月の後発品の薬価基準追補収載を官報告示した。6日に収載する。初めて収載される後発品(投与経路別)は9成分41品目。この中にDPP-4阻害薬として初の後発品があり、エクア錠(一般名:ビルダグリプチン)に9社9品目、オングリザ錠(サクサグリプチン)に1社2品目の後発品が収載された。厚労省によると、エクアやオングリザにオーソライズド・ジェネリック(AG)はない。また経口抗凝固薬・イグザレルト錠/OD錠(リバーロキサバン)で、AGを含む7社18品目の後発品が収載された。ただ、イグザレルト後発品はいわゆる虫食い効能なうえ、バイエルライフサイエンスのAGと通常の後発品(GE)でも適応は異なる。
◎イグザレルト、プラケニル、ハラヴェン、アレジオンLX点眼液にAG
初後発は、エクア、オングリザ、イグザレルトのほか、▽高脂血症治療薬・ロスーゼット配合錠(エゼチミブ・ロスバスタチンカルシウム)、▽抗がん剤・スーテントカプセル(スニチニブリンゴ酸塩)、▽免疫調整剤・プラケニル錠(ヒドロキシクロロキン硫酸塩)、▽抗がん剤・ハラヴェン静注(エリブリンメシル酸塩)、▽抗アレルギー点眼剤・アレジオンLX点眼液(エピナスチン塩酸塩)、▽がん性皮膚潰瘍臭改善薬・ロゼックスゲル(メトロニダゾール)――の9成分。これらのうちイグザレルト、プラケニル、ハラヴェン、アレジオンLX点眼液――の4成分にAGがある。
◎エクア後発品は0.4掛けで算定 新ルールの銘柄数が「7を超えた場合」に該当
ノバルティスファーマが製造販売するエクアには、日本ジェネリック、辰巳化学、全星薬品、キョーリンリメディオ、沢井製薬、東和薬品、日新製薬、ニプロ、ダイトの9社9品目の後発品が参入する。いずれも50mg錠の後発品。
後発品の新規収載時の価格に関しては4月以降、内用薬について組成、剤形区分、規格が同一の後発品の銘柄数が「7を超えた場合」は0.4掛け(=40%)とするルールになった。また、先発品エクアは新薬創出等加算が適用されている。このためエクア後発品の薬価は、ルールに基づき、先発品エクアの薬価から新薬創出等加算によって薬価が維持された部分を差し引いた上で、0.4掛けで算定される。4月からのルールが適用された初の事例となる。
協和キリンのオングリザには沢井製薬の1社2品目の後発品が参入する。
なお、DPP-4阻害薬の後発品をめぐっては、サワイグループホールディングス子会社のメディサ新薬が2023年8月にジャヌビア錠(シタグリプチン、MSD)の後発品の承認を取得したが、厚労省によると、メディサ新薬から薬価収載希望はなかったという。ジャヌビア後発品はMSD関連会社と特許係争中ということも影響してか、23年12月、24年6月に続き、12月も薬価追補収載をスキップしたことになる。
◎イグザレルトに7社18品目 先発品、AG、通常の後発品で適応異なる
バイエル薬品のイグザレルトには日本ジェネリック、辰巳化学、沢井製薬、東和薬品、日医工、ニプロ、バイエルライフサイエンス(AG)の7社18品目の後発品が参入する。バイエルライフサイエンスのAGは第一三共エスファが情報提供活動及び販売・流通を行い、第一三共の流通網を活用する。
イグザレルト後発品の規格別の品目数は10mg錠に2品目、10mgOD錠に7品目、15mg錠に2品目、15mgOD錠に7品目――となる。後発品の薬価は、先発品イグザレルトの薬価から過去に適用されていた新薬創出等加算分を差し引いた上で、0.5掛けで算定される。なお、厚労省は、通常錠とOD錠は剤形が異なるため、新ルールの「7を超えた場合」には該当しないと説明した。
適応症は、先発品のイグザレルトが小児の適応2つを含む5つの適応を有しているのに対し、AGは(1)非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制、(2)静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制――の2つの適応で承認されている。通常の後発品は、弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制の適応のみとなっている。
◎プラケニルに第一三共エスファのAG ハラヴェンに日医工のAG
オルガノンのロスーゼットには日本ジェネリック、沢井製薬の2社4品目の後発品が参入する。ファイザーのスーテントには日本化薬の後発品1品目が参入、先発品がカプセル剤なのに対し、後発品は錠剤となる。
サノフィのプラケニルには第一三共エスファと沢井製薬の2社2品目の後発品が参入し、第一三共エスファの後発品はAG。エーザイのハラヴェンには日医工とニプロの2社2品目の後発品が参入し、日医工の後発品はAGとなる。プラケニル、ハラヴェンとも新薬創出等加算品のため、加算分を差し引いた上で0.5掛けして後発品薬価を算定する。
参天製薬のアレジオンLX点眼液には参天アイケアと東亜薬品の2社2品目の後発品が参入する。参天アイケアの後発品はAGとなる。
マルホのロゼックスゲルには丸石製薬の後発品1品目が参入する。先発品は新薬創出等加算品のため、加算分を差し引いた上で後発品薬価を算定する。適応症は先発品に2つあるのに対し、後発品は「がん性皮膚潰瘍部位の殺菌・臭気の軽減」のみとなる。