ファイザー RSウイルスワクチンを承認申請 妊婦に接種、出生時からRSVによる下気道疾患を予防
公開日時 2023/02/21 04:50
ファイザーは2月20日、組換え2価融合前Fタンパク質抗原含有RSウイルスワクチンを日本で承認申請したと発表した。同ワクチンは妊婦に接種し、母体から胎児へ移行するRSウイルス(RSV)中和抗体価を高めることで、乳児において、出生時からRSVを原因とする下気道疾患を予防することを目的とする。
ファイザーR&D社の石橋太郎社長は、「RSウイルスは乳児の呼吸器感染症の主要な原因ウイルスであり、現在、RSウイルス感染症を予防するワクチンはない」とした上で、「RSウイルスワクチンは開発優先度の高いワクチンとして厚生労働省の指定を受けており、1日でも早く承認が得られるよう、関係各位と協業していく」とコメントした。
同ワクチンは、米国国立衛生研究所(NIH)による融合前Fタンパク質の結晶構造などに関する基礎研究に基づくもの。Fタンパク質はRSVがヒト細胞に侵入する際に利用される分子デバイスのこと。この基礎研究で、RSVの融合前Fタンパク質をベースとするワクチンが、RSV感染を予防する可能性があることが示唆された。
このNIHの発見に基づき、ファイザーが多数の融合前Fタンパク質構造体を評価し、非臨床研究で強力な抗ウイルス免疫応答を誘導するワクチン抗原を特定した。同ワクチンはRSウイルスA及びBそれぞれのFタンパク質の組換え体を含有する二価ワクチン。
RSVは世界中に広く分布しており、ほぼすべての乳幼児が2歳までに感染する。乳児の細気管支炎やウイルス性肺炎の主な原因で、特に生後6カ月齢未満で感染すると、重症化するといわれている。日本では、毎年約12万~14万人の2歳未満の乳幼児がRSV感染症と診断され、約4分の1が入院を必要とすると推定されている。