日本新薬 CD123標的の細胞毒素「NS-401」 芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍を対象疾患に承認申請
公開日時 2025/04/01 04:47
日本新薬は3月28日、CD123を標的とする細胞毒素「NS-401」(開発コード、一般名:タグラキソフスプ)について、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)を対象疾患に承認申請したと発表した。NS-401はこの適応で、厚労省から希少疾病用医薬品に指定されている。
NS-401は、CD123 という細胞表面タンパク質を標的とする治療薬で、BPDCN細胞に過剰発現しているCD123に特異的に結合してタンパク質合成を阻害し、アポトーシスを誘導することによりBPDCN細胞を死滅させる。CD123 は、生体内物質の一つであるインターロイキン-3(IL-3)の受容体で、造血細胞の増殖と分化に関与する細胞表面タンパク質。正常な造血細胞ではCD123の発現は全くない、もしくはわずかにある程度だが、患者のBPDCN細胞のほとんどにCD123が過剰発現している。
海外で実施された未治療および再発・難治性BPDCN患者に対する第1/2相試験の結果に基づき、米国では2018年12月にBPDCN を適応症として、欧州では21年1月に未治療 BPDCNを適応症として承認され、すでに40以上の国で承認を取得している。
今回、日本新薬が実施した国内BPDCN患者を対象とした第1/2相試験において、海外第1/2相試験と同様の有効性および安全性の成績を得たことから、申請に至った。日本新薬は、イタリアの製薬企業メナリーニ・グループからNS-401を導入し、国内開発を進めてきた。
BPDCNは白血病とリンパ腫の両方の性質を有し、特徴的な皮膚病変とがん細胞のリンパ節や骨髄への浸潤を伴う、まれな進行性の血液がん。国内で承認された治療薬はなく、リンパ腫や急性白血病に準じた治療が行われているが、生存期間中央値は1年未満と短く、新たな治療薬が望まれている。