久光製薬の原発性手掌多汗症の外用薬など8製品審議へ 3月3日の薬食審・第一部会で
公開日時 2023/02/20 04:47
厚生労働省は3月3日に薬食審・医薬品第一部会を開き、久光製薬が申請した原発性手掌(しゅしょう)多汗症に対する外用剤・アポハイドローション(一般名:オキシブチニン塩酸塩)など8製品の承認の可否を審議する。Swedish Orphan Biovitrum Japan(以下「Sobi」)が申請した▽慢性肝疾患における血小板減少症改善薬・ドプテレット錠(アバトロンボパグマレイン酸塩)▽発作性夜間ヘモグロビン尿症に対する補体C3阻害薬・エムパベリ皮下注(ペグセタコプラン)―の2製品も含まれている。
承認が了承されれば、いずれも3月中に正式承認されるとみられる。なお、報告予定品目はない。
【審議予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
▽ドプテレット錠20mg(アバトロンボパグマレイン酸塩、Sobi):「待機的な観血的手技を予定している慢性肝疾患患者における血小板減少症の改善」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。
▽エムパベリ皮下注1080mg(ペグセタコプラン、Sobi):「発作性夜間ヘモグロビン尿症」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。
ドプテレット錠は、血小板産生を促すトロンボポエチン受容体の低分子作動薬。一方、エムパベリ皮下注は、赤血球の破壊(溶血)を引き起こす補体蛋白C3の機能を阻害するPEG化ペプチド。旭化成ファーマは22年9月15日にSobiとの間で、これら2剤に関して、日本国内における独占販売契約を締結したことを発表している。
▽アポハイドローション20%(オキシブチニン塩酸塩、久光製薬):「原発性手掌多汗症」を対象疾患とする新効能・新剤形医薬品。
ムスカリン受容体拮抗薬。原発性局所多汗症は、日常生活に支障を来すほどの大量の発汗が生じる疾患で、手のひらに生じる場合を原発性手掌(しゅしょう)多汗症という。外用療法として科研製薬のエクロックゲルが承認されているが、適応は「原発性腋窩(えきか)多汗症」となっている。
▽リネイルゲル10%(アセチルシステイン、マルホ):「巻き爪矯正の補助」を対象疾患とする新投与経路医薬品。
▽①オンボー点滴静注300mg②同皮下注100mgオートインジェクター③同皮下注100mg シリンジ(ミリキズマブ(遺伝子組換え)、日本イーライリリー):「①中等症から重症の潰瘍性大腸炎の寛解導入療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)②③中等症から重症の潰瘍性大腸炎の維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。
大腸粘膜の炎症に関与するサイトカインであるIL-23の p19 サブユニットを標的としたヒト化IgG4モノクローナル抗体。日本イーライリリーは22年12月2日に持田製薬と日本におけるアライアンス契約を締結したことを発表しており、リリーが承認取得後、製品供給を担当し、持田製薬が流通・販売および情報提供活動を行う。
▽パリンジック皮下注2.5mg、同皮下注10mg、同皮下注20mg(ペグバリアーゼ(遺伝子組換え)、BioMarin Pharmaceutical Japan):「フェニルケトン尿症」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。
フェニルケトン尿症は、フェニルアラニン水酸化酵素遺伝子の変異により血中のフェニルアラニン濃度が高値を示す遺伝性疾患。本剤は、フェニルアラニンを分解することで血中フェニルアラニン濃度を低下させる。
▽オファコルカプセル50mg(コール酸、レクメド):「先天性胆汁酸代謝異常症」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。
先天性胆汁酸代謝異常症は、肝臓において胆汁酸の生合成を担う酵素の遺伝子が生まれた時から欠損している疾患。本剤は、胆汁酸の主成分であるコール酸を有効成分とし、患者自ら合成することのできないコール酸を経口で補充することにより、症状を抑制・改善する。
▽アトガム点滴静注液250mg(抗ヒト胸腺細胞ウマ免疫グロブリン、ファイザー):「中等症以上の再生不良性貧血」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。
免疫抑制作用により再生不良性貧血の病態を改善する。海外では30年以上にわたり再生不良性貧血の治療に用いられ、第一選択薬の一つと位置付けられているという。医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において医療上の必要性が高いと評価され、厚労省から開発要請を受けた。