CSLベーリングのHAE急性発作発症抑制薬・アナエブリなど新薬2製品審議へ 1月30日の第二部会で
公開日時 2025/01/17 04:46
厚生労働省は1月30日に薬事審議会・医薬品第二部会を開き、遺伝性血管性浮腫(HAE)の急性発作の発症抑制を効能・効果とするCSLベーリングのファースト・イン・クラスの抗体製剤「アナエブリ皮下注」(一般名:ガラダシマブ)など新薬2製品の承認の可否を審議する。
◎新有効成分の承認頻度 年7回程度に増加
2025年から新有効成分含有医薬品の承認は年7回程度に増え、これに合わせて薬価収載も年7回程度となる。アナエブリが今回の第二部会を通過した場合、昨年までなら3月承認、5月薬価収載だったのが、今年から2月承認、4月薬価収載に1カ月早まる見通し。
報告予定品目は4製品。ジェンマブのエプキンリ皮下注が濾胞性リンパ腫(Grade1~3A)に使用可能になることや、サノフィのサークリサ点滴静注が多発性骨髄腫の1次治療で使用可能になることが含まれる。第二部会を通過した場合、効能追加などは2月中に承認される見通し。
【審議予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
▽アナエブリ皮下注200mgペン(ガラダシマブ(遺伝子組換え)、CSLベーリング):「遺伝性血管性浮腫の急性発作の発症抑制」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。
抗活性化第XII因子モノクローナル抗体。活性化第XII因子(FXIIa)標的とし、遺伝性血管性浮腫(HAE)カスケードの起点を阻害する。
HAEは、腹部、上気道、顔面、四肢等、身体中のさまざまな箇所に疼痛を伴う予測不能な腫れを繰り返し起こす遺伝性の希少疾患であり、生命を脅かす可能性がある。
▽テセントリク点滴静注1200mg、同点滴静注840mg(アテゾリズマブ(遺伝子組換え)、中外製薬):「切除不能な胞巣状軟部肉腫」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。
抗PD-L1抗体。胞巣状軟部肉腫は、悪性軟部肉腫の1%未満と超希少がんのひとつで、日本人における年間発症数は15~40人と推定されている。大腿を中心に四肢に発症することが多く、思春期および若年成人(15~35歳、AYA世代)での発症が多くみられるという。承認されると、胞巣状軟部肉腫に対し国内初の免疫チェックポイント阻害剤となる。
【報告予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。
▽エプキンリ皮下注4mg、同皮下注48mg(エプコリタマブ(遺伝子組換え)、ジェンマブ):「再発又は難治性の濾胞性リンパ腫(Grade1~3A)」を対象疾患とする新用量医薬品。
CD3及びCD20に対する二重特異性抗体製剤。現在「再発又は難治性の濾胞性リンパ腫」の適応を持っているが、効能・効果に関連する注意で「十分な経験を有する病理医により、Grade3Bと診断された患者に投与すること」とGrade3Bに限定されている。今回、承認されると、Grade1~3Aに投与できるようになる。厚労省の担当者は「Grade1~3Aに対して別の漸増方法を追加するもの」と説明している。
▽サークリサ点滴静注100mg、同点滴静注500mg(イサツキシマブ(遺伝子組換え)、サノフィ):「多発性骨髄腫」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。
抗CD38抗体。現在の適応は「再発又は難治性の多発性骨髄腫」であり、今回承認されると未治療の患者に1次治療(ファーストライン)で使用できるようになる。承認申請は国際共同第3相IMROZ試験の結果に基づいており、未治療の移植非適応患者を対象に、ボルテゾミブ・レナリドミド・デキサメタゾン併用療法(VRd)にサークリサを追加する新たな併用療法(IsaVRd)を行った。
▽レブラミドカプセル2.5mg、同カプセル5mg(レナリドミド水和物、ブリストル・マイヤーズスクイブ):「多発性骨髄腫」を対象疾患とする新用量医薬品。
免疫調節薬(IMiDs)。多発性骨髄腫に対する1次治療でサークリサと併用することになるため、その用量を追加するもの。
▽ヒュミラ皮下注40mgシリンジ0.4mL、同皮下注40mgペン0.4mL(アダリムマブ(遺伝子組換え)、アッヴィ):「X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。事前評価済公知申請。
抗TNFα抗体。24年8月の第二部会で公知申請に係る事前評価が終了し、すでに保険適用されている。