住友ファーマ 提携⼀時⾦収益で増収もスミトバント社関連費⽤増で減益 薬価改定影響で74億円減収
公開日時 2022/05/16 04:51
住友ファーマの野村博社長は5月13日、22年3月期決算説明会に臨み、北米の提携⼀時⾦収益で前期⽐8.5%増収を確保したものの、スミトバント社関連の費⽤増で15.4%減益だったと報告した。日本国内は、エクア・エクメットの薬価改定の影響が⼤きく減収、販売費⽤等の増加で減益。特に薬価改定影響の74億円減収が響いた。次期業績予想は、北米は為替影響で増収(ドルベースで減収)としたが、日本国内は199億円の減収を見込む。野村社長は国内事業の生産性向上策として、オンラインMRや「vMR」(バーチャルMR)を活用し、「いろいろなタッチポイントを用意して情報提供していこうと思う」と強調した。
同社の3月期決算は、売上収益5600億円(8.5%増)で、当期目標に掲げた5780億円(21年5月13日公表)を下回った。コア営業利益は585億円(15.9%減)、営業利益は602億円(15.4%減)となった。北米市場は、提携⼀時⾦収益やオルゴビクス、マイフェンブリー、ジェムテサの収益により増収を確保した一方で、スミトバント社関連の費⽤の増加等により減益となった。主力のラツーダは流通在庫調整による出荷減や価格低下などで減収。ブロバナは後発品の影響で減収となった。
◎エクア・エクメット 薬価改定の影響もあり6.5%減の375億円
一方、日本国内は、ラツーダが前期比188.1%増の69億円を売上げたが、主力のエクア・エクメットが薬価改定の影響もあり、6.5%減の375億円にとどまった。トルリシティも0.8%減の336億円(薬価ベース)。利益面では21年9月のツイミーグ発売に伴う費⽤増加もありコアセグメントは減益となっている。
◎次期業績予想 国内は199億円減収 いろいろなタッチポイントを用意して情報提供を
22年度業績予想では、コアベースの売上収益は5500億円(1.8%減)、コア営業利益300億円(48.7%減)、営業利益240億円(60.2%減)。北米は145億円増を見込むがドルベースでは減収となる。日本は199億円減、中国は107億円減。なお、北米の販管費は為替影響とスミトバントで増加する見込み。
野村社長は日本事業の生産性向上策について、オンラインMRやvMRを活用するなどして医師への情報提供のタッチポイントを増やす方針を説明。「MRの生産性向上はもちろん行うが、オンラインやvMRなどのマーケティングコストを投入することで、全体としての生産性を限られた資源、限られた製品に活用したい。効率を上げていくことは必要なことだ」との見解を示した。
【21年度連結業績 (前年同期比) 22年度予想(前年同期比)】
売上高 5600億3500万円(8.5%増)、
営業利益 602億3400万円(15.4%減)
親会社帰属純利益 564億1300万円(0.3%増)
【21年度の国内主要製品売上高(前年同期実績) 22年度予想、億円】
エクア・エクメット 375(401)349
トルリシティ 336(339)310
トレリーフ 164(162)173
リプレガル 124(138)-
メトグルコ 81(91)78
ラツーダ 69(24)99
ロナセンテープ 21(13)27
アムロジン 57(65)34
オーソライズドジェネリック品 97(80)97
※トルリシティの売上収益は薬価ベースの数値
(訂正)下線部の数字に誤りがありました。修正します。(22年5月16日9:30修正済)