厚労省 局所麻酔薬・アナペイン注の後発品 初の特例的薬価収載 先発品の限定出荷・供給不安に対応
公開日時 2024/11/12 04:53
厚生労働省は11月12日、テルモが製造販売する局所麻酔薬・アナペイン注の後発品を特例的に薬価収載することを官報告示した。同日付で収載した。先発品のアナペインは製造トラブルに伴い6月から限定出荷・供給不安の状況にある。一方で、厚労省によると、テルモはアナペイン後発品の生産を8月の承認取得を機に本格化。既に一定の在庫を積み増しており、アナペインの先発品と後発品の合計で「アナペインの製造トラブルの前ぐらいの供給量に戻せる」状況だという。厚労省としても「アナペインの供給不安の問題を大きく改善できる」と判断し、アナペイン後発品を通常より1カ月前倒しで特例的に収載することを決めた。後発品を特例的に収載するのは今回が初の事例となる。
厚労省は、テルモのアナペイン後発品の出荷時期について、「収載後すぐにでも出荷される見込み」とも説明している。
今回収載されたテルモのアナペイン後発品は2規格2品目で、製品名はロピバカイン塩酸塩0.75%注75mg/10mL「テルモ」、ロピバカイン塩酸塩0.75%注150mg/20mL「テルモ」――となる。後発品の薬価は、汎用規格の0.75%10mL1管が先発品の0.5掛け(=50%)の260円。0.75%20mL1管の後発品薬価は規格間調整により520円となり、先発品薬価の約55%となる。
先発品のアナペイン(製造販売元:サンドファーマ、販売元:サンド)は、製造委託先変更に伴い逸脱による製造遅延が発生し、今年6月から限定出荷となっている。10月上旬に国内製造所追加の承認を取得したが、サンドは「当面の間は、出荷量減少による限定出荷を継続せざるを得ない状況」だと医療関係者や流通関係者に案内している。
厚労省や日本麻酔科学会などの関係学会は6月から7月にかけて、アナペインの限定出荷、不安定供給の状況を受けて、▽長時間作用性局所麻酔薬使用の優先順位策定、▽局所麻酔薬使用量削減の方策や他の鎮痛方法の検討、▽必要量のみの購入の検討――を周知。優先すべき医療行為の事例として帝王切開術や無痛分娩を呼びかけるなどの事態となっている。