薬食審・医薬品第二部会 キイトルーダへの「TMB-Highの進行・再発の固形がん」など3製品の効能追加を了承
公開日時 2022/02/07 04:50
厚生労働省の薬食審医薬品第二部会は2月4日、3製品の効能追加の承認の可否を審議し、承認を了承した。この中には、抗PD-1抗体キイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ、MSD)の「高い腫瘍遺伝子変異量(TMB-High)を有する進行・再発の固形がん」の効能追加が含まれる。
また、厚労省から3製品の効能追加等を承認する予定が報告され、異論は出なかった。この中には、腎細胞がん(1次治療)に対するキイトルーダとキナーゼ阻害剤(TKI)レンビマ(レンバチニブ、エーザイ)の併用療法が含まれる。
全て2月中に正式承認される見通し。
【審議予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
▽ジーラスタ皮下注3.6mg(ペグフィルグラスチム(遺伝子組換え)、協和キリン):「同種末梢血幹細胞移植のための造血幹細胞の末梢血中への動員」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は4年。
持続型G-CSF製剤。用法・用量は「通常、成人には7.2 mg を1回皮下投与する」と単回投与で済み、連日投与型のG-CSF製剤と比較して投与頻度が低減される。
▽キイトルーダ点滴静注100mg(ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)、MSD):「がん化学療法後に増悪した高い腫瘍遺伝子変異量(TMB-High)を有する進行・再発の固形がん(標準的な治療が困難な場合に限る)」を効能・効果とする新効能医薬品。再審査期間は4年。
抗PD-1抗体(免疫療法薬)。腫瘍遺伝子変異量(TMB)は、腫瘍細胞に生じた遺伝子変異量で、ゲノムコーディング領域1メガ塩基あたりの非同義体細胞遺伝子変異数として示され、10変異/megabase以上の状態がTMB-Highと定義される。
TMB-High を有する固形がんに係る効能・効果で承認される薬剤は国内初。キイトルーダとしては「MSI-High固形がん」に続くバイオマーカーに基づくがん種横断的な効能取得となる。
▽レットヴィモカプセル40mg、同80mg(セルペルカチニブ、日本イーライリリー):「RET 融合遺伝子陽性の根治切除不能な甲状腺がん、RET 遺伝子変異陽性の根治切除不能な甲状腺髄様がん」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。
RETキナーゼ阻害薬。「RET 融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」に続く効能追加。国内のRET融合遺伝子陽性の甲状腺がん患者数は約1690人、RET遺伝子変異陽性の甲状腺髄様がん患者数は約200人と推測されている。
【報告予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。
▽レンビマカプセル4mg、同10mg(レンバチニブメシル酸塩、エーザイ)
▽キイトルーダ点滴静注100mg(ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)、MSD)
:いずれも「根治切除不能又は転移性の腎細胞がん」を効能・効果とし、レンビマは新効能・新用量医薬品、キイトルーダは新用量医薬品。再審査期間はレンビマが残余(24年1月22日まで)、キイトルーダも残余(22年10月18日まで)。
腎細胞がんの1次治療では、▽キイトルーダ/TKIインライタ▽抗PD-L1抗体バベンチオ/インライタ▽抗PD-1抗体オプジーボ/抗CTLA-4抗体ヤーボイ▽オプジーボ/TKIカボメティクス―など、がん免疫療法薬を含む併用療法が数多く承認されており、新たにキイトルーダ/レンビマ併用療法が加わる。
▽トレアキシン点滴静注液100mg/4mL(ベンダムスチン塩酸塩、シンバイオ製薬):「低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫、マントル細胞リンパ腫及び慢性リンパ性白血病、並びに再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫」を効能・効果とする新用量医薬品。再審査期間は慢性リンパ性白血病:残余(26年8月25日まで)。
現在1時間かけて点滴静注している。今回、10分投与の用法・用量を追加する。