協和キリン アトピー性皮膚炎治療薬・KHK4083 アムジェンと共同開発・販売契約締結
公開日時 2021/06/03 04:49
協和キリンは6月1日、アトピー性皮膚炎を対象疾患に関発中のヒト型抗OX40モノクローナル抗体製剤「KHK4083」(開発コード)について、米アムジェンと共同開発・販売に関する契約を締結したと発表した。同剤は協和キリンの自社創製品。契約に基づき、アムジェンは同剤の開発や製造を主導し、協和キリンが単独で販売活動を担当する日本を除き、グローバルでの販売活動も主導する。協和キリンは4億ドルの契約一時金と、最大8億5000万ドルのマイルストンと全世界での売上に対するロイヤルティを受け取る。
今回の契約では、両社は米国で同剤のコ・プロモーションを行い、協和キリンは欧州、アジアでのコ・プロモーションを行う権利を持つ。日本を除く全世界での開発費及び米国での販売に係る費用は折半する。アムジェン子会社のdeCODE Genetics社の独自データを活用し、同剤の更なる開発可能性も検討する。
両社は1984年にEPO製剤エスポ―の開発・商業化を目的に折半出資の合弁会社を設立するなど、協業の歴史が長い。協和キリンの宮本昌志社長は、「アムジェンは当社が良く知るつながりの深いパートナー」とした上で、「過去の成功と信頼関係に基づく今回のアムジェンとの提携が、今後のKHK4083の開発と販売に向けた活動の加速と同時に、当該疾患に関する知見の蓄積につながり、KHK4083が患者さんのニーズにかなう新たな治療の選択肢となることを期待している」と述べた。
アムジェンのロバート・A・ブラッドウェイ会長兼CEOは、「再び協和キリンと協力できることを嬉しく思う。私たちは、炎症性疾患における20年の経験を活かし、KHK4083のグローバルな可能性を一刻も早く実現できるよう取り組んでいく」とコメントした。
KHK4083は、協和キリンの完全ヒト抗体作製技術と、抗体依存性細胞傷害活性(ADCC)を高めるポテリジェント技術を利用したヒト型抗OX40モノクローナル抗体で、活性化T細胞を選択的に減少させることが確認されている。
OX40は、腫瘍壊死因子受容体(TNFR)ファミリーの一員である共刺激分子で、アポトーシスを抑制することによるT細胞の増殖と生存の維持、およびメモリーT細胞の形成に重要な役割を果たしている。抗原によって活性化されたエフェクターT細胞(CD4陽性)の表面にはOX40が一過性に発現し、アトピー性皮膚炎をはじめとする自己免疫疾患の病変部位には、OX40を発現したエフェクターT細胞が存在していることが報告されている。
協和キリンによると、KHK4083は米国、欧州、日本で開発が進んでおり、アトピー性皮膚炎治療薬としてファーストインクラスになり得るとしている。