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ミクス医師調査21年版・優れているMR 武田薬品が首位奪還 リモート時代にMR評価に変化も

公開日時 2021/02/01 04:52
ミクス編集部が行った医師調査2021年版で、優れているMRが所属する企業の1位は武田薬品となった。医師616人のうち武田は106票を獲得した。武田は前年調査から12票減らしたが、前年1位の第一三共は25票減の99票にとどまり、首位交代となった。

コロナ禍でより新しく、より専門性の高い情報でなければ情報提供の機会が得られにくくなった。医療者との接触機会を減らすため、リモート面談の活用も求められた。今回、別の設問で「リモート面談が高く評価できる企業」も調査したところ、「優れているMR」として武田を推した医師のうち「リモート面談」でも武田を評価した医師は26%いたが、第一三共は18%にとどまった。リアル面談の代替手段であるリモート面談に対する評価の差も、「優れているMR」ランキングに影響を与えた可能性がありそうだ。

文末の「関連ファイル」から、優れているMRの所属企業ランキングの資料をダウンロードできます。1票以上獲得した全企業を紹介します(有料会員のみダウンロード可。2週間の無料トライアルはこちら)。

この調査結果は、ミクス編集部がエムスリーの協力を得て行った「医師が求めるMR調査2021年版」によるもの。調査対象はm3.com登録医師のうち一般内科、循環器、消化器、呼吸器、精神科(心療内科含む)、整形外科の各科の医師計616人(GP=306、HP=310)。内訳は一般内科102人(同50、52)、循環器科100人(同50、50)、消化器科107人(同52、55)、呼吸器科103人(同52、51)、精神科/心療内科102人(同51、51)、整形外科102人(同51、51)――となる。調査期間は20年12月18日~22日。方法はインターネット調査。同調査は毎年、医師600人(各科100人、うちGP/HP各50人)を対象に実施している。

総合的に見て「この製薬会社のMRは優れている、と評価できる企業名」を最大3社、自由記載で挙げてもらい、集計した。

■武田 全体、GP、HPの全てでトップ

「優れているMR」のこれまでの1位は、前年(20年)は第一三共、19年は武田、18年までの3年間は第一三共だった。

前年2位の武田は今回、GPで51票、HPで55票の計106票を獲得し、首位を奪還した。全体、GP、HPの全てでトップに立ち、HPは3連続トップ。GPは、前年まで3年連続首位の第一三共に代わってトップとなったが、武田と第一三共の得票差はわずか1票だった。

武田はGPで9票減、HPで3票減――の計12票減。診療科別では一般内科で10票減、循環器科で12票減となる一方、新規の抗うつ薬トリンテリックスを訴求する精神科で7票増と評価を上げた。

■第一三共 リアルの強さ、コロナ禍で生かせず?

第一三共は今回99票を獲得したが、GPで17票減、HPで8票減――の計25票減となった。診療科別では一般内科の14票減のほか、呼吸器科で8票減、整形外科で6票減。得意の循環器科は1票減とほぼ横ばいとしたが、主力の抗凝固薬リクシアナの情報内容を評価するコメントは前年の21件から今回9件に半数以下に落ち込んだ。主力の疼痛薬タリージェの評価コメントも6件といささかさびしい状況だった。

第一三共のMRは質の高い情報提供とともに、フットワークが軽く、気の利いた活動で多くの医師の評価を得てきた。このリアル面談で力を発揮する同社の強みをコロナ禍で十分出せなかったことが、大幅な票数減につながったとみられる。

第一三共は、医師の頭に浮かぶ3人のMRに入る確率の高い企業で、ミクスではこれまで一定レベル以上のMRで組織している企業と分析してきた。「優れているMR」ランキングは医師に3人のMRを思い浮かべてもらい、その結果を集計している。これまで第一想起企業(1番目に思い浮かぶ企業)のトップは武田、第二及び第三想起は第一三共がトップとなる傾向にあったが、今回、第一三共は第三想起で大きく得票を減らして4位となった。コロナ禍によるリアルの活動制限の影響が出たと考えられる。

リアル面談の代替手段のリモート面談でも、第一三共は武田など上位企業と比較すると若干苦戦した。第一三共MRを推した医師99人のうち、第一三共のリモート面談が良かったとの医師は18人で、その割合は18%(18/99)だった。

同様の分析を武田にあてはめた場合、武田は26%(28/106)、「優れているMR」で3位の大塚製薬は33%(23/70)、4位の日本イーライリリーは24%(14/59)、5位のアストラゼネカは34%(19/56)、最もデジタル化が進んでいるとされる6位のファイザーは35%(18/52)――だった。

これらランキング上位の多くの企業で今回、「優れているMR」の得票数を減らしたが、20票以上の大幅減は第一三共のみ。コロナ禍においてリモート面談の強化は必須だ。ニューノーマル時代の「優れているMR」との評価獲得のためにも、質の高いリモート面談の実現は重要ではないだろうか。

■大塚 順位を1つ上げて3位に 循環器科で10票増

ランキング上位企業の得票状況を見てみる。3位の大塚は今回3票伸ばし、70票を獲得した。前年の4位から1つ順位を上げた。特に循環器科で10票増とし、医師コメントから、20年8月発売のノバルティスと共同販促している慢性心不全薬エンレストの情報が有益だったようだ。注目の新薬を手掛けて医師の関心を集めやすい環境にあったとはいえ、多くの企業が票数を落とすなか、質の高いリモート面談も行いつつ票数を伸ばしたのは特筆すべきことだろう。

4位のイーライリリーは10票減の59票だった。循環器科で6票減、呼吸器科と整形外科で各4票減となる一方、消化器科で4票伸ばした。消化器科医から胃がんなどの適応を持つサイラムザの情報を評する声がみられた。

5位のAZは1票減の56票とし、消化器科で4票伸ばした。発売から9年を迎えた抗潰瘍薬ネキシウムの情報に満足したとのコメントが複数あり、「世界規模で長期的な使用経験が豊富」「長期服用のデータがある」などグローバルに蓄積されたデータをネタに医師を満足させたようだ。デジタルで同剤の情報を受けたとのコメントもあった。

6位のファイザーは11票減の52票となった。精神科で8票減らす一方で、循環器科で5票伸ばすなどした。ファイザー推しの医師からの製品関係のコメントはJAK阻害薬ゼルヤンツで散見されたが、循環器科医からの製品関係のコメントはほとんどなし。同社は今回、「リモート面談が高く評価できる企業」ランキングの首位を獲得しただけあって、リモート面談で循環器科医などの記憶に残る活動をしたとみられる。

■アステラスは9票増 小野は11票増

このほか、ランキング上位企業のうち、票数を大きく伸ばしたのは7位のアステラス製薬と11位の小野薬品となる。アステラスは9票増の51票を獲得。前年から4つ順位を上げた。特に整形外科で8票伸ばし、骨粗鬆症薬イベニティの情報活動に評価コメントが集まった。

小野は11票増の30票を獲得し、前年から7つ順位を上げた。背景には消化器科での9票増があり、胃がん、食道がん、大腸がんなどの適応を持つ免疫療法薬オプジーボの情報に満足した医師が散見された。

■旭化成 整形外科で初のトップ

診療科別では、整形外科で旭化成ファーマが初めて1位となった。整形外科医102人のうち24票を獲得。得票数は前年と同数だが、24票のうち15票は第一想起で旭化成が挙がっており、同社は整形外科医の印象に強く残る企業といえそうだ。骨粗鬆症薬テリボンに10件超のコメントが寄せられ、「オートインジェクターの患者指導方法等、必要な情報を提供してくれる」など医師のニーズに合う情報活動に好感が持たれた。前年1位のイーライリリーは4票減が響いて21票にとどまり、2位に後退した。

一般内科は武田が第一三共から首位を奪還。循環器科は11年連続で1位が第一三共、2位が武田の構図。消化器科は武田が7年連続トップ。呼吸器科はAZとグラクソ・スミスクラインの2強のなか、今回はAZが僅差で首位となった。精神科/心療内科は大塚が5年連続1位も、4票増とした大日本住友製薬が2位に入り、首位に2票差に迫った。

Monthlyミクス2月号及びミクスOnlineでは、「優れているMRランキング」のGP/HP別、6診療科別、第一/第二/第三想起企業データのほか、「リモート面談が高く評価できる企業ランキング」、「製薬企業別・デジタルコンテンツお役立ち度ランキング」などを掲載しています。ミクスOnlineではこちらをクリック!
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