加藤厚労相 新型コロナウイルスワクチンの供給で米国ファイザーと基本合意 21年6月までに6000万人分
公開日時 2020/08/03 04:51
加藤勝信厚労相は7月31日、米国ファイザーが開発している新型コロナウイルスワクチンについて、開発に成功した場合、2021年6月までに6000万人分(1億2000万回分)の供給を受けることで基本合意したと発表した。ファイザーとBioNTechが共同開発を進めているのはSARS-CoV-2に対するmRNAワクチン候補の「BNT162」。現在、国際共同第2b/3相試験を現在行っており、早ければ2020年10月に規制当局に承認申請する予定。加藤厚労相は、「日本での承認が必要になる」と強調。日本国内の承認プロセスについては、「(治験を)ゼロから全部やる訳でない。どんなチェックが必要なのか専門家と協議したい」と述べた。
◎BioNTech独自のmRNA技術がベース
ファイザーによると、ワクチン候補の「BNT162」はBioNTech独自のmRNA技術をベースとしている。メッセンジャーRNA(mRNA)構造と標的抗原のユニークな組み合わせを有しているのが特長という。第1/2相試験の予備的データと動物を対象とした免疫原性試験に基づき、4つのワクチン候補のうちBNT162b1、BNT162b2が、米国食品医薬品局(FDA)からファストトラックの指定を受けた。その後、FDAの生物学的製剤評価研究センター(CBER)や他の規制当局との協議を通じ、BNT162b2をワクチン候補として選択。現在は第2/3相試験を実施している。なお、BNT162b2はウイルス中和抗体の標的となるSARS-CoV-2のスパイク糖タンパク全長をエンコードする。
◎ファイザー 承認後は21年末までに約13億回分を世界に供給予定
開発後期段階の試験は、18~85歳の参加者を最大3万人登録し、30 µgを2回接種し、その結果を評価する。試験はSARS-CoV-2の感染率が有意に高い地域を含む世界約120施設が参加している。ファイザーとBioNTechは治験の成功を前提に、早ければ20年10月にBNT162b2の承認申請を規制当局に行う。承認が得られた場合には、20年末までに最大1億回分、21年末までに約13億回分を世界に供給する予定だ。
◎ファイザー・ブーラ会長兼CEO「日本を支える力なれることを嬉しく思う」
日本政府との基本合意についてファイザーのアルバート・ブーラ会長兼CEOは、「東京オリンピック・パラリンピックを迎える日本を支える力になれることを大変嬉しく思う。治験が成功し、規制当局から承認が得られるよう、これに貢献したい」と強調した。またBioNTechの共同創設者のUgur SahinCEOは、「世界的なパンデミックの脅威を一緒に乗り越える象徴になるかもしれない。我々のワクチン候補がこのビジョンを実現する。日本政府の取り組みに貢献できることに誇りに感じ、光栄に思う」と述べた。
◎加藤厚労相 ワクチンの国内開発支援や生産支援も同時に進める
加藤厚労相は、「今回の基本合意は供給量等の基本的な事項に関して合意を得たものであり、今後、最終契約に向けて速やかに協議を進めたい」と意欲を示した。また、「他社とも協議を鋭意進めている。国内開発の支援や生産支援も同時に進めていく」と強調した。