米FDA ベータサラセミア治療薬Reblozylを承認 初の赤血球成熟製剤
公開日時 2019/11/18 03:50
米食品医薬品局(FDA)は11月8日、米セルジーン社の新薬Reblozyl(luspatercept-aam)について遺伝性疾患の貧血症であるベータサラセミア貧血の適応で承認した。同剤は、赤血球成熟製剤のファーストインクラスの薬剤となる。ベータサラセミアを適応とした初のFDA承認薬。FDAは、同剤に対して、迅速審査および希少疾病薬の指定を行っていた。
ベータサラセミアは、遺伝性疾患で、クーリー貧血あるいは地中海貧血として知られる。赤血球のヘモグロビンの産生が減少し、十分な酸素が体組織に運ばれないことで、青白い皮膚、脱力感、疲労感などのほか肝脾腫、皮膚潰瘍など重篤な合併症を呈する。ベータサラセミア患者に対する支持療法は、しばしば生存のための持続的な輸血を一生涯続けることや輸血のために鉄過剰摂取となるため、その治療を行う必要があるなど患者に多くの負担を強いてきた。今回の同剤の承認でその負担軽減が期待される。
FDA医薬品評価研究センター(CDER)のRichard Pazdur腫瘍研究センター長兼腫瘍疾患部部長代理は、「患者が複数回の輸血を受けるとき、多くの臓器に影響を及ぼす鉄の過剰摂取のリスクが増える」と指摘したうえで、「本日の承認は、輸血の回数を減らすのに役立つ初の治療法を提供することになる。この承認は、希少疾患に対する我々の取り組みの進歩と患者に重要な薬剤を早く届けるという取り組みの好例を示す」とコメントした。
セルジーン社のNadim Ahmedグローバル血液・腫瘍部門長は、「本日の承認は、血液疾患患者に対して我々が継続的に取り組み、かつ重点を置いていることのマイルストーンであり、それを浮き彫りにしたもの」と述べた。そのうえで、「現在、長期の赤血球輸血に依存しているベータサラセミア貧血とともに生きる患者には非常に限られた治療選択肢しかない。そのため、我々は、ベータサラセミアの臨床的合併症に対する新規治療法として、Reblozylをこれら患者の手元に届けられることを喜んでいる」と話した。