中外 視神経脊髄炎スペクトラム用薬サトラリズマブ 日本で承認申請
公開日時 2019/11/11 03:50
中外製薬は11月8日、自社創製のヒト化抗IL-6レセプターリサイクリング抗体サトラリズマブについて、視神経脊髄炎スペクトラム(以下、NMOSD)の治療薬として日本で同日に承認申請したと発表した。厚労省から希少疾病用医薬品の指定を受けている。
NMOSDは視神経と脊髄の炎症性病変を特徴とする中枢神経系の自己免疫疾患で、生涯にわたって衰弱を引き起こす。繰り返す再発により、神経の損傷や障害が蓄積される。症状として視覚障害、運動機能障害などが現れ、症状の発生が致死的な結果になる場合がある。サトラリズマブはNMOSDの病態に深くかかわっているとされるIL-6シグナルを阻害することで、NMOSDの再発を抑制することが期待されている。
今回の承認申請は、NMOSDを対象に実施された国際共同フェーズ3試験の「SAkuraStar試験」と「SakuraSky試験」の成績に基づく。SAkuraStar試験はサトラリズマブの単剤療法、SakuraSky試験はサトラリズマブのベースライン治療との併用療法の試験で、いずれもNMOSDの再発リスクを有意に減少させた(試験結果の記事は
こちら)。
同社の伊東康・上席執行役員プロジェクト・ライフサイクルマネジメント共同ユニット長は今回の国内申請を受けて、「(臨床試験で)サトラリズマブが示した有効性と安全性は、新たな治療選択肢の提供につながると信じている。患者さんに1日でも早くこの治療法をお届けできるよう、承認取得に向けて取り組んでいく」とコメントした。
米国や欧州では既に承認申請済み。欧米でも希少疾病用医薬品に指定されているほか、米国ではブレークスルーセラピー(画期的治療薬)の指定も受けている。欧州医薬品委員会(CHMP)や米国FDAは20年中にそれぞれ承認勧告の判断および承認の判断を行う予定。