第一三共 抗HER2 ADC・エンハーツ HER2陽性固形がんの適応追加を申請
公開日時 2025/04/25 04:47
第一三共は4月24日、抗HER2抗体薬物複合体(ADC)のエンハーツ点滴静注用(一般名:トラスツズマブ デルクステカン)について、日本でHER2陽性の進行・再発の固形がんに係る適応追加を一変申請したと発表した。現在、HER2陽性乳がん、HER2低発現乳がん、HER2遺伝子変異を有する非小細胞肺がん、HER2陽性胃がん――の4つの適応を持っている。
第一三共は今回の申請について、「本剤を通じてがん種横断的に新たな治療の選択肢を提供することで、日本のより多くのHER2陽性の固形がん患者さんに貢献できるものと期待している」とコメントしている。
HER2は多くのがん細胞表面に発現するタンパク質。HER2タンパク質の過剰発現は、HER2遺伝子増幅の結果として起こる可能性があり、がんの進行や予後不良と関連するとされる。日本では乳がん、胃がん、肺がん、唾液腺がん、大腸がんの治療に抗HER2療法が用いられている。一方で、胆道がん、膀胱がん、子宮頸がん、子宮内膜がん、卵巣がん、膵臓がんなどHER2タンパク質過剰発現またはHER2(ERBB2)遺伝子増幅が認められる他の固形がんを対象として現在、承認されている抗HER2療法はない。
今回の申請は、▽HER2遺伝子増幅が認められた固形がん患者を対象とした医師主導治験(HERALD試験)、▽前治療歴のあるHER2タンパク質発現の進行性固形がん患者を対象としたDESTINY-PanTumor02試験、▽HER2陽性の切除不能な進行・再発大腸がん患者を対象としたDESTINY-CRC02試験、▽HER2遺伝子変異またはHER2タンパク質過剰発現の切除不能・転移性非小細胞肺がん患者を対象としたDESTINY-Lung01試験――の4つの第2相臨床試験の結果に基づく。
なお、エンハーツは米国で24年4月に、前治療歴があり代替の治療手段のない切除不能または転移性のHER2陽性(IHC3+)固形がんに係る一変承認を取得し、がん種横断的に承認された初の抗HER2療法となった。3つの第2相臨床試験(DESTINY-PanTumor02、DESTINY-Lung01、DESTINY-CRC02)などの結果に基づき承認され、検証的試験による臨床的有用性の検証を条件とされた。