東芝グループと金沢大 AI活用した糖尿病性腎症重症化予防の共同研究開始
公開日時 2019/08/21 03:50
金沢大学、東芝、東芝デジタルソリューションズ(以下、TDSL)はこのほど、糖尿病性腎症の重症化メカニズムを解明して精密医療の実現を目指す共同研究を開始したと発表した。金沢大が持つ長期経過観察を伴い腎生検で診断した糖尿病性腎症例の臨床・病理情報を用いて、金沢大の高度な医学的知見とTDSLのアナリティクスAI「SATLYS(サトリス)」の活用により、糖尿病性腎症の重症化メカニズムの解明につなげる。そして、リスクごとに層別化・体系化された予防法を開発するとしている。
2021年3月までに実証実験を終わらせる計画。実験結果を受けて、その後のスケジュールを検討する。
日本は台湾に次ぐ世界2位の人工透析大国で、透析患者数は約33万人とされる。なかでも糖尿病性腎症に起因する透析患者数が最も多く、全体の4割以上を占める。人工透析が必要になると、透析治療でQOLが低下するだけでなく、1人あたり年間約500万円の医療費負担、国全体で年間約1.6兆円の公的医療費が必要となる。
東芝グループでは、画像診断大手の東芝メディカルを16年にキャノンに売却した。しかし、19年度から5か年の中期経営計画「東芝Nextプラン」で医療事業への本格的な再参入を表明。「超早期発見」や「個別化治療」を特徴とした精密医療を中核に据えるとしている。今回のAI解析や重粒子線がん治療装置が柱のひとつとなる。