抗インフルエンザ薬ゾフルーザ 処方経験医の84%が「今後、処方増やす」
公開日時 2018/11/06 03:52
新規の抗インフルエンザウイルス薬ゾフルーザ(一般名:バロキサビル マルボキシル)を処方した経験のある医師の84%が「今後、ゾフルーザの処方を増やす」と考えていることが、ミクス編集部の調査でわかった。ゾフルーザの処方経験医に、患者の年齢・年代別に「最も多く処方しようと思う抗インフルエンザ薬」を聞いたところ、患者の年代が▽10代▽20~60代▽70代▽80代以上――のいずれでもゾフルーザを使うとの医師が最も多かった。
これまでは10歳未満の患者にはタミフル、10代以上では単回吸入で治療が完結するイナビルがよく使われている。今回の調査結果から、2018年-19年シーズンではゾフルーザが治療の中心となるパラダイムシフトが起きそうだ。
調査は、医療情報サイトを運営するケアネット社の登録医師のうち、ゾフルーザの処方経験がある内科医、小児科医を対象に実施した。調査期間は8月16日~17日。有効回答医師数は201人。方法はインターネット調査。
ゾフルーザは、塩野義製薬が創製したキャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬で、既存薬とは異なる新しい作用機序でインフルエンザウイルスの増殖を抑える。経口の単回投与であることから、利便性が高く、確実なアドヒアランスが期待できる薬剤とされる。新規機序のため、耐性ウイルスが出現しても効果を発揮することも期待されている。塩野義が18年3月に発売した。
調査結果を見てみる。今後、ゾフルーザの処方を増やすかどうかでは、「そう思う」が48%、「まあそう思う」が36%で、計84%の医師が処方増に前向きな姿勢を示した。
既承認の抗インフルエンザ薬のタミフル、リレンザ、イナビル、ラピアクタ、ゾフルーザを列挙した上で、患者の年齢・年代別に「今後、最も多く処方しようと思う抗インフルエンザ薬はどれか」と聞いたところ、患者が10代の場合はトップがゾフルーザ(回答医師の割合41%)、2位がイナビル(27%)、3位がリレンザ(20%)――だった。
患者が20~60代の場合はトップからゾフルーザ(60%)、イナビル(16%)、タミフル(15%)――、患者が70代の場合はゾフルーザ(52%)、タミフル(21%)、イナビル(15%)――、患者が80代以上の場合はゾフルーザ(47%)、タミフル(21%)、ラピアクタ(18%)――の順となった。患者が20~60代、70代では、ゾフルーザを使うとの医師が過半数を占めていることがわかる。ゾフルーザを推す理由をみると、1回の投与で済む簡便性が高く評価された。
なお、患者が1~4歳の幼児、5~9歳の小児ではタミフルを使うとの医師が最も多かった。ただ、ゾフルーザは顆粒剤の承認を9月に取得(体重20kg以上が対象)しており、顆粒剤が登場することで、10歳未満の市場におけるタミフルの牙城を崩す可能性もありそうだ。
調査結果の詳細は、Monthlyミクス18年11月号の連載「新薬の立ちイチ」とミクスOnlineの有料会員向けページに掲載しました。ミクスOnlineでは医師コメントの一覧もダウンロードできます。