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日本ケミファ GE事業立て直し 競合少ない品目の選定、販社の活用、ベトナム工場稼働で

公開日時 2018/07/05 03:50

日本ケミファの山口一城社長は7月4日、東京本社で記者会見し、ジェネリック医薬品(GE)事業の成長が頭打ちになっていることから、「サプライチェーン全体にわたるテコ入れを行う」と述べ、開発、製造、販売の各面の見直しとコスト削減の取り組みを強化すると表明した。例えば販売面では、沢井製薬や興和からのGEの承継に伴って獲得した販社チャネルを積極活用し、売上を最大化させる。2018年度の連結売上計画は、マイナス14%の薬価改定影響があるものの、販社チャネルの売上貢献やGE新製品(降圧配合剤アイミクスGEなど)の発売で、前期比で横ばいを目指す。

山口社長は、オーソライズド・ジェネリック(AG)の台頭による市場競争の激化、薬価制度抜本改革による薬価切り下げ、後発品市場が成熟期に近づいたことによる市場成長の鈍化――を背景に、「GE市場の環境は近年、大きく変化している」と指摘した。同社のGE品目の多くが減収局面に入っていることもあり、「GE事業を立て直す」と述べた。

■GE開発品の選定 市場規模より上市後のシェア確保を優先

GEのサプライチェーンの強化に向けて、開発面ではGE上市後のシェア確保を優先した品目選定を行う。これまでは先発品の市場規模を重視した品目を選んできた。これからはAGが登場する可能性が低い品目や、競合GEが少なそうな品目の開発により取り組んでいく。

製造面は、高品質で安価な原薬への切替促進や、「労務費が日本の10分の1」(山口社長)となるベトナム工場を今秋に稼働させるなどし、コスト低減を図る。山口社長は「価格への対応力をつけるのが肝心」と述べた。受託ビジネスも拡大させる。ベトナム工場はGEを、全面免震構造を特長とする茨城県のつくば工場は新薬の受託製造事業を強化する。すでに某企業の新薬の受託製造を獲得しており、11月からつくば工場で生産するという。

販売面では、新たに得た販社チャネルも積極活用する。きっかけは沢井製薬が販売していた高尿酸血症治療薬ウラリット(一般名:クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合剤)のGEの承継だった。

ウラリットのGE市場の約9割を沢井のGEが占めていた。ただ、沢井のウラリットGEは導入品で収益悪化が課題だった。一方で、ウラリット先発品は日本ケミファが扱っており、沢井のウラリットGEを獲得することで、日本ケミファとしてはウラリットブランドのシェアを大きく回復できる。そこで、日本ケミファ子会社の日本薬品工業が沢井からウラリットGEを承継したが、この際、販社チャネルも承継したという。

さらに、興和がGE事業から撤退する際、日本薬品が興和のGEを承継したが、興和も販社チャネルを使っていた。山口社長は、「いずれも品目承継ではあるが、事実上、新しい販売チャネルを承継させていただいたことになる」と述べ、既存の広域卸チャネルとともに販社チャネルも活用して収益拡大を図る考えを示した。

■日本薬品工業のウラリットGE 原薬、製造とも先発品と同じに

日本薬品が沢井から承継したウラリットGEは17年12月に販売名を「クエンメット」に変えるとともに、原薬や製造ラインを先発品と同じにした。事実上のAGとなる。山口社長は、「グループとしてクエン酸塩製剤市場をほぼ掌握した」と述べた。

東北大でクエン酸塩製剤などの尿アルカリ化薬とCKD(慢性腎臓病)との関連に関する研究が進展しており、19年度以降に研究結果が学会発表される見込みという。この研究を引き合いに山口社長は、「CKD領域での新しい役割が生まれてくると期待している」「クエン酸製剤市場拡大の果実をグループで独占できる」と述べ、ウラリット先発品とGEの今後の収益拡大に期待を寄せた。

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