日本ケミファ 後発品の伸びと不採算品再算定などで上期増収 選定療養「後発品シフトの定着に期待」
公開日時 2024/11/05 04:49
日本ケミファの2024年度第2四半期決算は、売上高が前年同期比5.3%増の156億2600万円となった。営業利益は新薬およびジェネリック医薬品の開発進展に伴う販管費増加を吸収した上で営業利益7600万円へと前年同期の営業損失計上から黒字転換した。10月31日の決算説明会に臨んだ安本昌秀取締役常務執行役員は、10月から始まった長期収載品の選定療養の影響を通期予想に盛り込まなかったと明かしながらも、「9月から10月にかけては通常よりも製品が出ている。選定療養の影響もあろうかと思うので、この流れの中で長期収載品からジェネリックへのシフトが定着すればいい」と前向きに捉えた。
決算説明会で中島慎司執行役員は24年度上期の売上高や営業利益について「想定通りの進捗」と説明。下期も抗アレルギー関連製品などで売上が期待されるとして、通期予想でも増収・営業黒字との見込みを示した。一方、上期の経常利益や中間純利益はグループ保有の外貨建て資産で円高による為替差益が生じたことによりマイナスとなったが、中島執行役員は「足元の為替水準であれば黒字化を図れる」と説明した。
医療用医薬品の売上高は前年同期比2.5%増の121億1100万円で、売上高全体の77.5%を占める。拡販に注力しているジェネリック医薬品が同3.8%増の115億6900万円と伸長。薬価改定の影響について、中島執行役員は「不採算品再採算も含めて、薬価改定の影響はここ数年の中ではインパクトが抑制され少しマイルドだった」と振り返った。
◎臨床検査薬主力のドロップスクリーン伸長 「利益率高く貢献に期待」
臨床検査薬の主力製品であるドロップスクリーンの累計設置台数は24年9月末時点で約1300台と順調に推移。25年度までに2000台を目標に掲げており、次世代機種の開発や海外市場への投入などの展開も見据える。安本常務執行役員は「収益環境が厳しいジェネリックに比べて利益率が高く、利益への貢献に大きな期待を寄せている」と説明。臨床検査薬事業は売上高全体の14.3%を占めており、「今後も売上を伸ばし、割合を増やしていきたい」と強調した。
◎ジェネリック業界再編 「製造の委受託など効率化に取り組む」
また、8月には子会社である日本薬品工場つくば工場3号棟(茨城県筑西市)の新設備実装工事が完了した。バリデーションや試作などを経て25年度から製品出荷を始める予定。現在国内外3工場で約20億錠だった生産能力は、今回の工事完了などにより24億錠になる見込みだという。安定供給体制の実現に向けて、ジェネリック産業では業界再編にも注目が集まる。安本常務執行役員は「これまで共同開発などで信頼関係を構築してきた企業とビジネス上の協力関係を築いていきたい。水面下でも相談しているが、例えば製造の委受託など製造効率を上げる取り組みを進めていく」と述べた。
【24年度第2四半期決算(前年同期比) 24年度通期予想(前期比)】
売上高 156億2600万円(5.3%増) 315億円(2.4%増)
営業利益 7600万円(―) 2億円(―)
親会社帰属純利益 △4400万円(―) 6000万円(―)