米FDA LSD初の新生児スクリーニングシステムを承認
公開日時 2017/02/14 03:50
米食品医薬品局(FDA)は2月3日、新生児における希少遺伝性代謝疾患であるリソソーム蓄積症(LSDs)に対する初の新生児スクリーニングシステムThe Seeker Systemを承認した。The Seeker Systemの対象となる疾患は、ムコ多糖症I型(MPSI)、ポンペ病、ゴーシェ病およびファブリー病の4つである。同剤は、これら疾患に対する、FDAが承認した初の新生児スクリーニングシステムとなった。
システムは、The Seeker LSD試薬キット‐IDUA/GAA/GBA/GLA(いずれも4つの疾患において、いずれかが欠損しているライソゾーム酵素名)とThe Seekerと称する機器とで構成される。生後24~48時間の新生児のかかとの穿刺により採取した乾燥血液を標本として、健常児のリソソーム蓄積量を表すタンパクの活性レベルを基準とすることで異常を検知する。同キットにより検知された4つのLSDに関与するタンパク活性の減少は疾患のどれかの存在を示す。酵素活性の減少が示されたら、生検、遺伝子検査など他の検査法で確認する。
LSDスクリーニングについては、アリゾナ州、ミシガン州、ニューヨーク州、オハイオ州など11州では、すでに全新生児を対象にその実施が義務付けられているが、FDA承認のスクリーニング機器はなかった。
The Seeker Systemは、NIH(国立衛生研究所)傘下のEunice Kennedy Shriver国立小児人間発達研究所(NICHHD)による中小企業イノベーション研究プログラムの助成金を受け開発された。製造は、Baebies Inc社(本社:ノースカロライナ州ダーハム)が行う。
FDA医薬品評価研究センター(CDER)のAlberto Guitierrez体外診断薬・放射線保健部長は、「保健福祉長官は最近、ポンペ病とMPSIについて新生児の定期スクリーニングの実施を推奨したが、さらに多くの州がこれら疾患の発見のためにスクリーニングテストの実施を求めるかも知れない」と述べたうえで、「正確なスクリーニングは、永久的な損傷が起きる前にこれら希少疾患を早期に発見、治療、管理することに役立つ」と同システムの登場を歓迎した。
米国保健福祉省(DHHS)新生児・小児先天性疾患諮問委員会によると、LSDsの罹患率は、その疾患によって1500人に1人から185000人に1人の割合だという。これら疾患は適時に発見、治療されないと臓器障害、神経障害そして死亡に至る。