【World Topics】シニアが気にするジェネリック薬の値上がり
公開日時 2015/11/16 03:50
米国退職者協会AARPが会員向けの機関紙で最近のジェネリック薬の値上がりについてレポートしている。
http://www.aarp.org/health/drugs-supplements/info-2015/prices-spike-for-generic-drugs.1.html
もちろんジェネリック薬すべてが値上がりしている訳ではなく、むしろ多くは横ばいであるのに、市場でポピュラーな、比較的長い間安定した価格を維持してきた銘柄が最近急激に値上がりして消費者を驚かせている。(医療ジャーナリスト 西村由美子)
ある会員の例では服用中の抗コレステロール薬やホルモン代替療法のジェネリック薬などが2013年から14年にかけて急に値上がりし、服用役の種類も両も変わらないのに、医薬品の自己負担額の年間合計額が 、2013年の$849から2014年には$1,700になったという。多くのAARP会員が状況を共有している。
図はAARPが機関紙に掲載したポピュラーな医薬品の価格変化だ(左からCrestor, Nexium, Glipizide, Methotrexate)。

Source: AARP Bulletin, July-August 2015
永年安定していたジェネリック薬がなぜ最近急に値上がりを始めたのか、原因にはまだ定説がないが、最近のジェネリック医薬品業界で急速に進んだ業界再編で市場の競争が低下したためとの説が有力だ。ハーバード大学のDr. Kesselheimによれば今世紀初頭の心疾患治療薬業界の再編と薬価上昇を例に(2002年から2013年の10年間に、競合8社が合併等で3社になり、治療薬は638%値上がり)、米国では「その医薬品市場の競争が下がれば、薬の値段は 上がる」。