医師から薬剤師への問合せ 抗ウイルス薬バルトレックスで多く 用法・用量など ネグジットまとめ
公開日時 2015/04/20 03:52
薬剤師を対象に意識調査などを行うネグジット総研MMPR(http://www.mmpr.jp/)が、この1年間に薬剤師が医師から問い合わせを受けた製品とその内容をまとめたところ、最も多かったのは抗ウイルス薬バルトレックスだった。問い合わせは用法・用量に関するものが多く、帯状疱疹に用いる際の投与日数や月2回投与が可能かどうかといった内容がみられた。帯状疱疹などに用いる外用薬アラセナを併用した際の保険適用の確認もあった。問い合わせ製品ランキングの第2位は経口抗凝固薬ワーファリン、第3位は経口抗菌薬クラビットだった。
同社は毎月400人前後の薬剤師(薬局勤務約300人、病院勤務約100人)を対象に意識調査を行っている。この調査の中で医師からの製品問い合わせの有無・内容がある。このほど2014年4月~15年3月の1年分の問い合わせ内容を集計した。
バルトレックス関係の問い合わせは計22件。この約4割が投与日数の確認関係で、「帯状疱疹と水疱瘡の投与日数」(一般内科医より)、「性器ヘルペスに対する投与期間に制限があるかどうか」(産婦人科医より)、「バルトレックス処方後に治らないから、もう一度同じ処方を1週間後にできるか」(一般内科医より)などの内容だった。
また、具体的な患者像を示した問い合わせも散見され、「授乳中でも服用可能か」(耳鼻咽喉科医より)や「小児適応について」(皮膚科医)、「透析患者への投与量・方法」(総合または複数科目の医師より)といったものだった。このほか、アラセナ併用による保険適用の確認が2件、ジェネリックの検討依頼が1件などだった。
ワーファリン関係の問い合わせは計18件。他剤併用による相互作用が5割強と最も多く、次いで多いのが新規経口抗凝固薬(以下、NOAC)への切り替え/NOACからワーファリンへの切り替え関係、そのほかがワーファリン投与による効果や副作用に関する内容だった。他剤併用で具体的に製品名があったのは痛風・高尿酸血症治療薬フェブリク、疼痛用薬リリカ、ALS治療薬リルテック、抗がん剤S-1、医療用麻薬オキシコンチン――。また、高カロリー輸液エルネオパに含まれるビタミンKとの相互作用や、TPN(=中心静脈栄養)患者に対するワーファリン投与の問い合わせもあった。
ワーファリンからNOACへの切り替え、NOACからワーファリンへの切り替えでは、医師と薬剤師の間で休薬期間のやり取りなどをしていることが確認された。
クラビット関係の問い合わせは計17件。このうちジェネリック関係が約4割と最も多く、このほかに他剤併用や腎機能患者への投与量などがみられた。ジェネリック関係では、選定企業、剤形の大きさ、オーソライズド・ジェネリックの問い合わせが見られた。他剤併用では、消炎鎮痛薬ロキソニン、抗てんかん薬アレビアチン、整腸剤の選定として「ビオフェルミンRではなぜダメか」との内容だった。腎機能低下症例では、「CCrが15mL/minの患者への抗菌薬選択」を問われ、これに対して薬剤師が「肺炎、2ヶ月前にクレブシエラオキシトカの感染歴もあったため、クラビット初日500mg、3、5、7日目250mgを提案した」と回答したやり取りもみられた。
これらに次ぐ第4位は、経口血糖降下薬でSGLT2阻害薬のスーグラ、抗インフルエンザウイルス薬タミフル、疼痛用薬リリカの3製品で、それぞれ問い合わせは14件。スーグラは有用性の確認が多いほか、14日投与日数制限の解除日が3件みられた。タミフルは予防投与の用法・用量や小児用量の問合せが散見された。リリカは、パーキンソン病などに用いるレボドバ製剤、ワーファリン、医療用麻薬デュロテップパッチとの相互作用、透析患者に対する投与量が目立った。
以下の関連ファイルから、医師から薬剤師に問い合わせのあった上位5製品とその内容(抜粋)をまとめた資料をダウンロードできます(4月23日以降は有料会員限定)。