AZ・ベルチ社長 PPIネキシウム競合のタケキャブ「恐れるものではない」
公開日時 2015/03/11 03:51
アストラゼネカ(AZ)のガブリエル・ベルチ社長は3月10日、東京支社内で行った事業説明会で、主力品のPPIネキシウムの競合品で、P-CABという新しい作用を持つ武田薬品のタケキャブが2月に発売されたことに対し、「恐れるものではない」と述べた。理由として、PPI製剤に対する優越性が示されていないことを挙げた。同社は引き続きネキシウムの有用性を訴求していく。
補足説明した執行役員の松尾恭司メディカル本部長は、AZでP-CABの開発に携わった経験を踏まえ「(P-CABの)酸分泌抑制効果が比較的早く、強いことは当時も確認していた。その結果をもとに、ネキシウムとhead to headで、症状が早く消えることを期待して臨床試験を行ったが、結果は全く差がなかった。そういった経緯からアストラゼネカではP-CABの開発を中止した。今回武田薬品からP-CABが発売されたが、(治験は)ランソプラゾールとの非劣性試験であり、その結果をもとに(承認)審査がなされた。我々は、PPIの中でネキシウムが他の薬剤に比べて優れているという成績を世界に出しており、そういう状況を踏まえてデータを説明していきたい」と話した。
ネキシウムは、第一三共とコ・プロモーション。2014年売上(薬価ベース)は43.4%増の798億7200万円。武田薬品のタケキャブは、大塚製薬とコ・プロモーション。薬価算定時の市場予測(中医協資料)では、ピーク10年後に販売金額620億円としており、武田はタケプロンの後継と位置付け、大型化を狙っている。
SGLT2阻害薬フォシーガ 新患シェア23% 第2位
ベルチ社長は、6成分7製品が発売されているSGLT2阻害薬のフォシーガについて、最新のデータでSGLT2阻害薬のおける新規患者シェアは23%で、2位であることを明らかにした。4人に1人程度の処方の獲得という目標に沿って推移しているとし、豊富なグローバルデータによる有効性、安全性のプロファイルが処方獲得を後押ししているとの見方を示した。
フォシーガは、SGLT2阻害薬で最初に発売されたスーグラ(14年4月発売、アステラス製薬、MSD、寿製薬がコ・プロモーション)に続き14年5月に発売された。AZと小野薬品がコ・プロモーション。
なお、事業説明会ではAZでの2014年業績を、IMSの販促会社ベースで明らかにした。売上高は3149億6400万円で5.0%増。ネキシウム(第一三共とコ・プロ)、スタチン製剤のクレストール(塩野義製薬とコ・マーケ)、喘息治療薬シムビコート(アステラス製薬とコ・プロ)のほか、フォシーガ(小野薬品とコ・プロ)などの主力品の伸びが寄与した。
主な製品(群)の売上高は次のとおり(IMSデータ 1-12月)
ネキシウム798億7200万円(43.4%増)
クレストール494億6700万円(6.1%増 AZ単独売上)
シムビコート399億5500万円(11.6%増)
糖尿病群39億2600万円(110.4%増)