塩野義製薬 14年度計画で戦略8製品売上1000億円 国内業績下支え
公開日時 2014/05/12 03:51
塩野義製薬は5月9日、2014年3月期(2013年度)の業績を発表した。この中で明らかにした国内医療用薬の14年度計画によると、薬価改定年でありながら戦略8製品の売上は7.6%増の1000億円を目指す。うち、720億円は高脂血症治療薬クレストール、ARBイルベタン(配合剤含む)、抗うつ薬サインバルタで確保する。
13年度の国内医療用薬売上は、1.5%増の1683億円だった。うち戦略8製品が10.3%増の929億円。この中で主力品のクレストールは、他のスタチンでジェネリックのシェアが伸長する中にあって、予想売上は13億円下回ったが、前期比7.8%増となる411億円を確保した。イルベタンファミリーは、予想売上を上回り、29.3%増の139億円を売り上げた。10年に発売され12年に糖尿病性神経障害の適応を取得したサインバルタは100億円を突破し、114億円。これら戦略3製品の売上は13.4%増の663億円となり、国内業績の成長を後押ししている。
14年度は、薬価改定により2%台前半の影響を受けるとしているが、売上は1670億円、0.8%の微減収の計画となった。戦略品の増収が下支えする形だ。
◎14年度は減収減益予想 クレストールロイヤリティー182億円減が一因
海外事業を含む13年度連結業績は、国内外事業や連結売上の4分の1を占めるロイヤリティー収入の伸びにより2.4%増の2897億円で、営業利益と経常利益は過去最高となった。しかし、14年度にはロイヤリティー収入の大半を占めるクレストール分で、契約変更により182億円が失われることが一因となり、14年度は減収減益を予想する。
13年度のロイヤリティー収入は707億円に達し、クレストール分が657億円を占めた。同剤の海外特許切れにより16年でロイヤリティー収入が一気に消失するリスクを回避するため、同社は13年12月に英アストラゼネカとロイヤリティーの受取期間を最長2023年まで延長する代わりに14年から16年の料率を減少する契約を締結している。このため14年度以降のクレストールロイヤリティーは大幅に減少することになり、14年度は27.7%減の475億円を計画した。
なお、同社と英ヴィーヴが共同開発した抗HIV薬ドルテグラビルが欧米などで13年に承認を取得。同社はヴィーブから配当金やロイヤリティー収入を得る権利を有しており、ドルテグラビルをクレストールに続くグローバルの大型新薬として期待を寄せている。
【13年度連結業績(前年同期比)14年度通期予想(前年同期比)】
売上高2897億1700万円(2.4%増)2690億円(7.2%減)
営業利益635億5600万円(6.7%増)450億円(29.2%減)
経常利益639億600万円(8.5%増)500億円(21.8%減)
純利益418億3100万円(37.3%減)330億円(21.1%減)
【13年度実績(12年度実績)14年度予想、億円】
クレストール 411(381)425
イルベタン 139(107)159
サインバルタ 114(97)136
オキシコンチン類 106(102)107
フィニバックス 47(50)46
ディフェリン 44(40)46
ピレスパ 48(45)56
ラピアクタ 20(20)25
フロモックス 158(180)130
リンデロン等外用 88(89)84
クラリチン 49(63)41
フルマリン 54(60)44
【ロイヤリティー収入】
クレストール657(630)475