サノフィ MS治療薬でトップを視野に
公開日時 2012/05/11 04:00
サノフィは、買収したジェンザイムの多発性硬化症(MS)治療薬alemtuzumabが米国神経学会(AAN)総会で、良好な臨床試験結果を示したことで、MS治療薬領域でトップに躍り出ることを期待している。
ジェンザイムのBill Sibold氏(MS担当ヘッド)は、MS領域での展望が開けてきたことについて、「我々は明確なゴールを持っている。MSの分野で真のリーダーになる」と自信を示している。4月24日のAAN総会では、alemtuzumab投与群患者では、29%が6か月間身体的障害の減少を示した一方、Rebif (インターフェロンβ-1a)投与群では、13%だった。この結果はEDSS(神経症状評価尺度)に換算すると、1ポイント減少かそれ以上であり、少なくとも6か月間低値を維持したといえる。Sibold氏は、この結果を「前例のない」と呼んだ。
同剤はすでにB細胞慢性リンパ性白血病の治療薬として販売されている。
サノフィは、MSポートフォリオにalemtuzumabのほかに1日1回経口剤のteriflumodeを持ち、現在、FDA審査中だ。同剤は経口剤なので注射剤に対して競争力があると見ている。ジェンザイムはalemtuzumabについてMSの適応での申請を第2四半期にFDAに提出する計画だ。
Sibold氏は、現在125億ドル規模のMS治療薬市場は、アンメットメディカルニーズの高まりや新製品の参入で2016年までに180億ドルに成長すると予想している。同氏は新製品の参入で市場がより細分化され、サノフィにとって成功の機会が増すと見ている。
ジェンザイムは、希少疾病薬の開発の経験が豊富なため、Sibold氏は、「我々は、医師、支払者、患者アドボカシーグループとグローバルに幅広い関係を持っている」としたうえで、そのようなMSコミュニティを集合させ、MSに関わる文化や従来の経験を今後のMS治療薬分野で生かせると同社のメリットを強調した。
(The Pink Sheet 4月30日号より) FDAと米国製薬企業の情報満載 “The Pink Sheet”はこちらから