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製薬企業4社合同「Pharma for PRIDE」 LGBTQ+の医療課題でディスカッション 受診控えの実態も

公開日時 2024/12/20 04:51
LGBTQ+当事者の医療における課題や公平なアクセスの実現に繋げようと、企業や学生を対象にしたLGBTQ+と健康格差の問題について話し合うセミナーを12月19日、アストラゼネカ、アッヴィ、アレクシオンファーマ、サノフィの4社が合同で開催した。セミナーではLGBTQ+の当事者が医療機関に受診を控えていたり、同性婚が認められないことでパートナーが家族カンファレンスに参加できなかったりするなど、社会の理解が進まないことでの医療アクセスの困難な現状が浮き彫りになった。

◎LGBTQ+当事者の受診控え 命に関わる危険な状況も

セミナーではLGBTQ+の医療アクセスなどについて研究している宝塚大学看護学部の日高庸晴教授が、LGBTQ+が過去には治療の対象になっていた歴史や、現在の医療環境の問題について講演した。中でも宝塚市立病院の取り組みについて紹介し、診察券の性別欄の刻印をなくしたり、診察のプロセスで患者が傷つくことがあれば対応する部署を設置するなど、当事者が安心して受診するために取り組みを進めることの重要性を訴えた。

◎パネルディスカッション 「医療関係者の理解不足」が受診控えに

パネルディスカッションでは、LGBTQの周知や福祉などに取り組むNPO法人ReBitの藥師実芳代表理事も加わり、「LGBTQ+に対する医療関係者の理解不足」や「同性婚が認められていないことに関連する困りごと」についてテーマで行われた。

「医療関係者の理解不足」については特に受診控えにつながっている現状について挙げられた。藥師氏は、自身の団体で行った調査結果を明らかにし、トランスジェンダーの77%が医療サービスを利用する際に困難を経験しており、42%は体調が悪くても病院に行けないと回答、さらに26%は病院を安全に利用できないことがきっかけで自殺念慮や自殺未遂につながったという。また藥師氏の知人のトランスジェンダー男性の実例も紹介。トランスジェンダー男性は、子宮の痛みが続くものの見た目が男性のため産婦人科に敷居の高さを感じなかなか受診ができず、ようやく受診した際に、がんが見つかり転移している状態で、亡くなってしまったという。藥師氏は「安全に受診ができないことで命に直結することがある」と呼び掛けた。

一方、「同性婚が認められていないこと」について藥師氏は、同性パートナーが家族として扱われないことで入院時の身元保証人になれないことや、病状や治療についての説明を受けられなかったこと、集中治療室で面会できず亡くなるときにも立ち会えなかったという実例を明かし、「何十年連れ添っているのに危険な時や最後の時に立ち会えないということの苦痛や辛さは耐え難いもの」と語った。さらに地方では拠点病院で同性パートナーを家族として扱われなかった場合、地域を変えたり医療を控えたりする命に関わる危険な状況となっていることをたくさん耳にしていると述べた。

これに対し日高教授は、「行政ができることはたくさんある。パートナーシップを導入した自治体が教育や医療に対し広めていくことは有効じゃないかと思う」と考えを明らかにした。

◎4社合同「Pharma for PRIDE」

このセミナーを開催した「Pharma for PRIDE」は、LGBTQ+に対する理解や支援の活動を活発化し、多様な社員がいきいきと自分らしく働くことができる環境整備を進めるために啓発を目指すネットワークで、2022年6月に第一回の勉強会が開催された。現在ではアストラゼネカ、アッヴィ、アレクシオンファーマ、サノフィの4社が参画している。
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