FDA パゾパニブを軟部組織肉腫の適応で承認
公開日時 2012/05/09 04:00
米食品医薬品局(FDA)は4月26日、英グラクソ・スミスクライン(GSK)の経口キナーゼ阻害剤Votrient(パゾパニブ)を化学療法の前治療を受けた進行性軟部組織肉腫患者に対する適応で承認した。
米国での進行性軟部組織肉腫の発症は年間1万例とされており、同剤は希少疾病薬の指定を受けている。同疾患には20種以上のサブタイプがあり、臨床試験ではこれらのサブタイプ患者も組み入れられた。
Votrient の有効性・安全性は、369例の進行性軟部組織肉腫を対象に同剤とプラセボの比較対照試験で検証された。主要評価項目は、無増悪生存期間(PFS)とした。プラセボ投与群ではPFSが1.6カ月(中央値)だったのに対し、Votrient投与群では4.6カ月(中間値)だった。主な副作用は、疲労感、下痢、悪心、体重減少、高血圧、食慾不振、筋肉痛、頭痛など。
同剤のラベルでは、枠組み警告として、肝障害(肝毒性)のリスクが記述され、肝機能のモニタリングの実施を求め、併せて肝機能低下が認められた場合には治療の中止を求めている。
FDAのRichard Pazdur血液・腫瘍製品部長は、肉腫が多様な腫瘍をもつ疾患だと指摘したうえで、「肉腫の医薬品開発は、患者数も限定され、肉腫はサブタイプも多いので特にチャレンジングだ」と同剤の開発を評価した。
同剤は米国では、2009年10月に進行性腎細胞がんの適応で承認されている。国内では、2011年12月にGSK日本法人が「進行性悪性軟部腫瘍」(=進行性軟部組織肉腫)の適応で承認申請を行っている。11月には希少疾病医薬品の指定を受けている。