FDA メルクにJanuviaの市販後試験の遅延で警告書発行
公開日時 2012/03/15 04:00
米食品医薬品局(FDA)は2月17日、メルクに対して、2型糖尿病薬Januvia(シタグリプチン)およびJanumet(シタグリプチン+メトホルミン)について、同剤に課せられていた市販後安全性試験の実施期限を順守しなかったために警告書を発行した。
シタグリプチンについては、膵臓への安全性を確認するために糖尿病モデルの齧歯類を使用しての3か月間の市販後安全性試験の実施が承認条件とされていたが、メルクは同試験のプロトコールの提出を期限通り発行せず、同期限からおよそ20カ月以上も経過しているという。
FDAは、メルクに対して、同警告書を受領してから30日以内に3か月の齧歯類の試験の最終プロトコールの提出を求め、同社が直ちに要請に応じない場合は最大25万ドルの罰金を科すなどさらなる措置を講ずると警告した。FDA医薬品評価研究センター(CDER)のLeslie Ball科学調査部長は、「6か月以内にメルクがプロトコールを作成、試験を開始することにFDAと合意することを期待したい」と話している。
メルクは、2月28日に、警告書の日付から30日以内に最終プロトコールを提出し、6か月以内に試験を開始するとの意向を明らかにした。
今回のFDAの警告書は、2007年のFDA修正法(FDA Amendment Act 2007)で新規に規定されたFDAの権限の医薬品企業に対する初めての行使となる。同権限は、市販後の動物試験や臨床試験の実施を要求できる権限だ。従来は交渉により、企業の自発的な実施を促してきた。FDAは今までに2011年1月に医療機器企業のAlphatec Spineに同社の人工脊柱において市販後試験の実施期限を順守しなかったことで、警告書を発行している。メルクは医薬品企業で初めてのケースとなった。
(The Pink Sheet 3月5日号より) FDAと米国製薬企業の情報満載 “The Pink Sheet”はこちらから