米メルクは、シェリングプラウとの統合を前にパイプライン開発の優先順位を決める作業を進めている。メルク・リサーチ・ラボラトリーズのPeter Kim所長が10月22日の第3四半期決算発表で報告した。同所長は、医薬品候補物質の優先順位づけが重要としながらも、優秀な研究者を社内に止まらせることも重要だとの見解を示した。
同所長は決算発表の席で、メルクとシェリングプラウの各研究施設を訪問し、現在までに研究者らと、研究開発における進行状況、その評価についての協議を開始したことを明らかにした。その上でKim所長は、メルクが現在行うべきことに触れ、▽メルクが持つ有能な研究者の能力を明らかにする▽両社のR&Dプログラムを理解し、重複や無駄の削減で、R&Dプログラムを統合すること――と指摘した。この見直しは、研究施設別ではなく、薬効領域別に行われている。心血管領域ならば両社の同領域全体を概括、優先順位をつけるというものだ。
有望候補物質については、シェリングプラウのトロンビン受容体拮抗剤が注目されている。同剤は、ACS(急性冠動脈疾患)を対象として現在フェーズ3にある。サノフィアベンティス/ブリストルマイヤーズスクイブのPlavix(クロピドグレル)とも作用機序が異なることから、他の抗血小板薬との併用も可能で市場へのインパクトも大きいと見ている。同社は10年か11年の申請を計画している。
(The Pink Sheet 10月26日号より) FDAと米国製薬企業の情報満載 “The Pink Sheet”はこちらから