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第一三共・奥澤社長兼CEO 第5期中計KPI達成に意欲 売上収益は2兆円予測 第6期中計策定に早くも熱視線

公開日時 2025/04/28 04:51
第一三共の奥澤宏幸代表取締役社長兼CEOは4月25日の24年度決算経営説明会で、第5期中期経営計画(2021-2025)のがん領域を含む売上収益の「KPI」が達成されるとの見通しを強調した。売上収益は中計策定時の目標額1兆6000億円に対し、25年4月時点で2兆円達成を予測。うち、がん領域は6000億円超の目標に対し、すでに9000億円の売上げを見込んだ。奥澤社長兼CEOは、「この4年間でエンハーツの製品価値が当初計画を大きく上回った」と強調。「2製品目のダトロウエイも上市した。25年度目標の達成、そして2030年ビジョン(がん領域でグローバルTOP10)の実現に向け、必要な投資と株主還元のバランスを取りつつ、持続的な成長を図っていきたい」と意気込み、早くも26年以降の第6期中計策定に視線を向けた。

「2025年度の売上収益は2兆円を見込む。ダトロウエイの開発戦略に変更があったものの、エンハーツ、リクシアナの主力製品の売上げが順調に成長しており、1年前の売上収益見込みの水準を引き続き目指したい」-。奥澤社長兼CEOは説明会でこう強調した。さらにR&D費控除前コア営業利益率40%達成に加えて、「持続的成長に向けた研究開発投資と株主還元とのバランスのとれたキャッシュアロケーションを図ることで、ROE 16%以上。DOEも資本効率の向上と株主還元の充実を図ることで8.5%以上を見込む」と述べ、KPI達成をほぼ手中に収めたことへの実感を語った。

同社は第5期中計の策定にあたり、エンハーツ、Dato-DXd、HER3-DXdの「3ADCの最大化」を経営目標に掲げてきた。当初計画でがん領域の売上収益は6000億円以上とした。この日の説明会で奥澤社長兼CEOは、「ダトロウエイの小細胞肺がん開発戦略の変更とHER3-DXdの上市時期遅延による売上収益の減少が見込まれるものの、エンハーツの売上げが引き続き順調に成長しており、がん領域の売上収益は9000億円を見込んでいる」と力を込めた。

奥澤社長兼CEOは2026年度以降の第6期中期経営計画にも触れ、「2030年までにオンコロジーでグローバルトップ10は確実に達成できるのではと考えている。さらに第6期中計ではグローバルトップ5を目指そうという声も上がっている」と述べ、「更なる創薬研究への投資もしっかりやっていきたい」と意欲を示した。奥澤社長は4月1日付でCOOからCEOに昇格。その最初のミッションが第6期中期経営計画の策定にある。この日の説明会でも、第5期中計のKPI達成が確実視される状況を自らの言葉で語りながら、早くも次なるフェーズへの舵取りに視線を向けた。

◎エンハーツ業績  米国34%増、欧州47%増、日本30%増、ASKA地域58%増

24年度業績におけるエンハーツの売上は対前期1569億円増収の5528億円。25年度予想は1093億円増収の6621億円を見込んでいる。24年度売上を国別にみると、米国は前期比34%増の3030億円。乳がん、胃がん、肺がんの各適応症で新規患者シェア50%以上を維持し、1位の地位を固めた。加えて25年1月に承認取得した化学療法未治療でホルモン受容体陽性かつHER2低発現またはHER2超低発現乳がんで早くも新規患者シェア1位を獲得した。

欧州の売上高は、対前期比47%増収の1496億円。ドイツ、フランス、イタリア、スペインを中心に売上げが拡大。HER2陽性乳がんの2次治療の新規患者シェアは60%以上を維持している。化学療法既治療のHER2低発現乳がんの新規患者シェアは50%以上。EU4カ国全て適応症でトップの地位を固めた。

日本は、対前期比30%増収の310億円。乳がん、胃がん、肺がんの全ての適応症で新規患者シェア1位を維持拡大した。HER2陽性乳がんの2次治療の新規患者シェアは50%以上。化学療法既治療のHER2低発現乳がんは60%以上まで拡大し、トップの地位を維持している。このほかブラジル、中国などASKA地域も前期比58%増の703億円を売上げた。

◎ダトロウエイ「売上収益の立ち上がりは順調」

一方、エンハーツに続く2製品目となる抗TROP2 ADCのダトロウエイについて奥澤社長兼CEOは、「24年12月以降、日本、米国、欧州において承認を取得した」と報告。「24年度グローバル製品売上実績は14億円で、売上収益の立ち上がりは順調に進んでいる。乳がん治療に新たな選択肢を提供することで、より多くの患者さんに貢献したい」と強調した。

◎米国メルク社が開発中の「MK-6070」 小細胞肺がん対象にI-DXdとの併用療法に期待

このほか米国メルク社が開発中の「MK-6070」について、小細胞肺がんを対象にI-DXdとの併用療法に関する共同開発に着手したことを紹介。奥澤社長兼CEOは、「日本を除く全世界においてDXd ADC3製品と同様に共同開発および共同販促を行っていくが、I-DXdとの併用にシナジー効果も期待している」と強調した。

【連結業績(前期比)25年度予想(前期比)】
売上高  1兆8862億5600万円(17.8%増) 2兆円(6.0%増)
コア営業利益 3128億3500万円(60.2%増) 3500億円(11.9%増)
営業利益 3319億2500万円(56.9%増) 3500億円(5.4%増)
親会社帰属当期利益 2957億5600万円(47.3%増) 3000億円(1.4%増)

【グローバル主要製品売上(前期実績)25年度予想、億円】
エンハーツ 5528(3959)6621
うち日本 310(239)412
米国 3020(2255)3541
欧州 1496(1019)1678
ASCA(アジア/中南米) 703(446)990

ダトロウェイ 14(-)47
うち日本 3(-)5
米国 11(-)33
欧州 -(-)5
ASCA(アジア/中南米) -(-)4

エドキサバン 3440(2877)3394
うち日本 1330(1156)1350
米国 36(24)12
欧州 1790(1462)1733
ASCA(アジア/中南米) 283(235)299

【国内主要製品売上(前期実績)25年度予想、億円】
リクシアナ 1330(1156)1350
タリージェ 556(457)622
プラリア 422(428)428
ビムパット 304(257)261
エンハーツ 310(239)412
ランマーク 201(204)165
エフィエント 315(256)336
カナリア 156(159)151
ロキソニン 123(155)114
イナビル 199(159)0
ミネブロ 96(83)120
ベルソムラ 99(-)220
エムガルティ 107(76)107
ワクチン事業 82(277)153

第一三共ヘルスケアユニット 867(760)915

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