新薬2製品 4月16日収載へ イムデトラはピーク時247億円と予想
公開日時 2025/04/10 04:50
中医協総会は4月9日、イムデトラとアナエブリの新薬2製品の薬価収載を了承した。収載日は4月16日。アムジェンのがん化学療法後に増悪した小細胞肺がんを対象疾患とするDLL3/CD3二重特異性抗体・イムデトラ点滴静注用は、6年後のピーク時で売上247億円になると予想された。イムデトラは有用性加算(I)(A=45%)や市場性加算(I)(A=15%)の加算が付いたほか、外国平均価格調整により10mg1瓶の薬価は調整前85万3418円が調整後132万6870円となった。
CSLベーリングの遺伝性血管性浮腫(HAE)の急性発作の発症抑制薬・アナエブリ皮下注は、2025年から新有効成分の承認頻度を増やすことになり、従来より1カ月早い今年2月に承認された新薬。薬価収載も、手続きが順調に進み、従来より1カ月早くなった。
4月16日付で収載される製品は以下のとおり(カッコ内は成分名と薬価収載希望会社)。投与経路・薬効分類順。
▽イムデトラ点滴静注用1mg、同10mg(タルラタマブ(遺伝子組換え)、アムジェン)
薬効分類:429 その他の腫瘍用薬(注射薬)
効能・効果:がん化学療法後に増悪した小細胞肺がん
薬価:
1mg1瓶(輸液安定化液付) 13万7100円
10mg1瓶(輸液安定化液付) 132万6870円 (1日薬価:9万4776円)
市場予測(ピーク時6年後):投与患者数1.8千人、販売金額247億円
加算:
有用性加算(I)(A=45%):「本剤はDLL3及びCD3の両者に結合する新規作用機序医薬品であること、標準治療法が確立されていない小細胞肺がんの3次治療以降の患者において一定の有効性が示されたこと、国内ガイドラインにおいて3次治療以降での使用が推奨されていることから、有用性加算(I)(A=45%)を適用することが適当と判断した」
市場性加算(I)(A=15%):「本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、加算の要件を満たす。3次治療以降の患者数は限られる中、海外に大きく遅れることなく開発されたこと、国際共同治験の日本人の組入れ数等を踏まえ、加算率は15%が妥当である」
新薬創出等加算:該当する(主な理由:希少疾病用医薬品として指定)
費用対効果評価:該当する(H1)
抗デルタ様リガンド3(DLL3)/CD3二重特異性抗体。ファースト・イン・クラスの免疫腫瘍療法で、T細胞上のCD3と小細胞肺がん(SCLC)細胞上のDLL3の両方に結合することで、患者自身のT細胞をSCLC細胞の近くに誘導する。これにより、免疫シナプスが形成され、がん細胞が溶解される。
約85%~96%の患者はSCLC細胞の表面にDLL3を発現しており、正常細胞での発現はごくわずかであることから、DLL3はSCLC患者にとって有望な治療標的とされている。
▽アナエブリ皮下注200mgペン(ガラダシマブ(遺伝子組換え)、CSLベーリング)
薬効分類:449 その他のアレルギー用薬(注射薬)
効能・効果:遺伝性血管性浮腫の急性発作の発症抑制
薬価:200mg1.2mL1キット 303万7716円 (1日薬価:10万1257円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数266人、販売金額84億円
加算:
有用性加算(II)(A=5%):「本剤は活性化血液凝固第XII因子阻害作用を有する新規作用機序医薬品であり、臨床上の有用性が一定程度評価されていると考えられることから、有用性加算(II)(A=5%)を適用することが適当と判断した」
小児加算(A=5%):「本剤は小児に係る用法・用量が明示されていること等から、加算の要件に該当する。国際共同第III相試験(3001試験)を実施したが、日本人小児被験者が組み入れられなかったことを踏まえ、加算率は5%が妥当である」
新薬創出等加算:該当する(主な理由:加算適用)
費用対効果評価:該当しない
ファースト・イン・クラスの抗活性化第XII因子モノクローナル抗体。活性化第XII因子(FXIIa)を標的とし、HAEカスケードの起点を阻害する。用法・用量は「通常、成人及び12歳以上の小児には、初回に400mgを皮下投与し、以降は200mgを月1回皮下投与する」。
HAEは腹部、上気道、顔面、四肢等、身体中のさまざまな箇所に疼痛を伴う予測不能な腫れを繰り返し起こす遺伝性の希少疾患であり、生命を脅かす可能性がある。国内では、定期的投与による長期的な発作の発症抑制(長期予防)薬として、オラデオカプセル、タクザイロ皮下注、ベリナート皮下注用が承認されており、それに続く。