住友化学・岩田社長 「住友ファーマの持続的成長に貢献できるベストパートナーを探す」 27年度までに
公開日時 2025/03/05 04:51

住友化学の岩田圭一代表取締役社長は3月4日、2027年度を最終年度とする3か年の新中期経営計画の説明会で、子会社の住友ファーマについて、「持続的成長に貢献できるベストパートナーを探すなど、あらゆる選択肢を検討していく」と改めて表明した。住友ファーマが強みとする低分子創薬と住友化学とのシナジーは「限定的であるとの認識は変わっていない」とした。ただ、住友ファーマが未曾有の経営危機から24年度にV字回復できる見通しにあることから、「(住友ファーマの)ベストオーナーを選ぶ時間的余裕が出てきた。しっかりと良い相手、あるいは良い組み方を探したい」と述べ、中計期間中に住友ファーマの“ベストオーナー”を決めたい構えをみせた。
住友ファーマは、23年2月の米国での“ラツーダクリフ”により、23年度に1330億円のコア営業損失、3150億円の純損失を計上する未曾有の経営危機に陥った。この住友ファーマの不振は住友化学の連結業績を直撃。過去最大規模となる3100億円強の純損失をまねき、住友ファーマは住友化学グループの抜本的構造改革の対象になった。
岩田社長は24年4月30日の経営戦略説明会で、住友ファーマの人員削減/組織再編及び研究開発の絞り込みといった徹底した合理化・スリム化を進める方針を説明する中で、「再成長に向けたあらゆる選択肢を検討していく。最適なパートナーも、あらゆる選択肢の中にある」とし、グループからの連結除外も「十分にあり得る」と話していた。
この日の説明会で岩田社長は、住友ファーマの経営再建策を検討していた23年、24年を振り返り、「当時は一刻も早く(最適なパートナーを選ぶ)という状況だった」と語った。そして、「住友ファーマの努力」もあって、24年度は必達目標のコア営業利益の黒字化だけでなく、最終利益の黒字化も1年前倒しで達成できる見通しになったことから、「一時と比べるとベストオーナーを選ぶ時間的余裕が出てきた」とし、住友ファーマの再建を全力でサポートするのと同時に、持続的成長に資するベストオーナー/ベストパートナーを探す考えを示した。
住友ファーマの経営再建のカギを握る北米基幹3製品(オルゴビクス、ジェムテサ、マイフェンブリー)については、市場浸透の加速化により、24年度売上は合計1500億円程度、27年度は2000億円台半ばまで拡大する見込みであることも説明した。23年度末に約4200億円あった有利子負債は、ロイバント株式売却等により24年度に3000億円程度になる見通しだと報告。北米基幹3製品の伸長等に伴う営業キャッシュフローも活用して財務体質の改善を図る考えを改めて示した。