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中外製薬 中分子医薬品生産の中核担う藤枝工場の「FJ3」本格稼働へ 一貫した自社生産体制構築

公開日時 2025/02/27 04:49
中外製薬は2月26日、藤枝工場(静岡県藤枝市)に完成した低・中分子合成原薬製造棟「FJ3」を報道陣などに公開した。高い薬理活性に対応する製造設備を備え、低分子や抗体に続く柱として期待される中分子医薬品の生産の中核を担う。また、既存施設に加えてFJ3が稼働することで、中分子の初期臨床開発から将来的な初期商用生産まで一貫した自社生産体制が整うこととなる。同社の田熊晋也執行役員生産技術本部長は「開発スケジュールにフレキシブルに対応して最速の開発を行い、生産過程においてはトラブルを含め様々な経験を積むことができる。これが将来の中外製薬の力になり、TOP I 2030の実現に大きく貢献できる」と強調した。

FJ3は鉄骨造5階建てで、延べ床面積1万489平方メートル。生産設備投資としては最大の555億円を投じ、2025年3月の稼働開始を予定している。製造ライン数はスプレードライラインを含めて6系列、反応釜は最大容量1万リットルのものを含め28基を備える。大規模災害に備えた免震構造で、ノンフロン設計や省エネ・CO2削減などの環境対策も取られている。また、密閉状態で作業が行えるアイソレーターなど高い薬理活性がある化合物に対応した設備を有し、封じ込め能力は0.03㎍/㎥以下に抑えられているという。

◎前田製薬研究部長 中分子合成「単純な生成法でできる点が強み」

中外製薬では創薬モダリティ戦略として、中分子(環状ペプチド)医薬の開発を進めている。中外型の環状ペプチド合成には複雑な構造や製造コスト・期間などで課題もある中、同社では低分子で培った技術を生かした「液相合成法」を活用。シンプルな合成法を採用することで、環境負荷や製造コスト・期間の大幅な削減を目指した。さらに、高収率かつ高品質で合成可能な技術も新たに開発した。

製薬技術本部の前田賢二製薬研究部長は「単純な生成法でできる点が我々の技術の強み。すでに事業性としては問題ないレベルで、今後さらに生産性やコスト、環境負荷などでもっと付加価値を上げていきたい」と自信をのぞかせた。

同社が開発を進める初の中分子医薬・LUNA18は収束型液相合成法による原薬製法の開発に成功。すでに約50㎏/ロットのスケールアップも実現している。前田製薬研究部長は「技術のさらなる高度化、プラットフォーム化を進め、後続の中分子にも適応している」と述べた。
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