中外製薬・奥田社長 「“つながる力”で100年後もイノベーション生み出す」 創立記念企画で決意
公開日時 2025/03/13 04:51

中外製薬の奥田修代表取締役社長CEOは3月12日、創業100年を記念して企画したパネルディスカッションで、次の100年に向けた決意として「“つながる力”で100年後もイノベーションを生み出す中外にする」と宣言した。中外製薬では企業としての価値観として「患者中心」を最上位に掲げており、奥田社長は「文字通り一人の患者さんのために力を尽くすことが我々の価値観にある」と強調。そのうえで、医療を取り巻く課題が山積する中、「自分たちでできることは限られている。患者会や行政、医療機関などマルチステークホルダーとつながり、巻き込んでいきながら、患者さんのためにあるべき姿に踏み出していくことが重要だ」と訴えた。
◎患者中心や100年先の医療を議論 奥田社長やパネリストが未来への決意宣言

パネルディスカッションは、1925年に創業した中外製薬の100周年を記念して従業員向けに企画した。奥田社長やパネリスト3人が登壇し、患者中心の考え方や100年先の医療について議論。それぞれが未来に向けた決意をパネルに書いて紹介した。
パネリストとして登壇したUbie代表取締役で医師の阿部吉倫氏(
写真右から2人目)は「10憶人の健康寿命を10年延ばす!」と宣言。同社ではAI自動問診サービスを展開しており、「最速で最適な治療にたどり着ける世の中をつくる。グローバルにサービスを届けて、皆さんの早期発見、早期治療を通じて健康寿命を伸ばしていきたい」と述べた。
自らも乳がんを経験した認定NPO法人マギーズ東京の鈴木美穂共同代表理事(同4人目)は、「経験を価値に変え、挑戦を続ける」と決意を込めた。がん患者や家族が訪れ無料で相談できるマギーズ東京の運営や自身の経験を発信する活動を続けており、「自分の経験をほかの人たちや次の世代の価値に変えていきたい。できることを見つけ、周りを巻き込んで、挑戦をする。そんな人生にしていきたい」と語った。
不老長寿テックの研究開発を展開するTAZ Inc.の高橋祥子代表取締役社長(同3人目)は「健康なまま生涯を終える人を増やす」と表現。医療の未来を見据えながら「手段はAIやテクノロジーで代替できるものが増えてくるけど、『絶対に実現したい!』という思いは代替できない。その意思さえ持っていれば、次の100年も明るいし、楽しみになる」と期待を込めた。
奥田社長はパネリストたちの意見を踏まえながら「異なる経験や価値観、専門性の人たちとつながっていくことで、新しいイノベーションが生まれる」と改めて強調。会場やオンラインを通じて参加した従業員に向けて「社内外で誰かとつながり、学びながら影響を与え合う一歩を期待したい」と呼び掛けた。