EMA 発足30周年迎える
公開日時 2025/02/14 04:48
欧州医薬品庁(EMA)は、1月26日に発足30周年を迎えた。「EMA、EUにおける科学と医薬品の進歩30年を祝す」(EMA cerebrates 30 years of progress in science and medicines in the European Union) と題する報告書を公表した。
EMAは、1995年1月26日に発足。その後30年で、ヘルスケアの環境は、科学、技術、法規制、社会の大きな変化の影響を受けてきたが、EMAの使命は、EUにおけるヒトおよび動物が必要なときに高品質、安全かつ有効な医薬品へのアクセスできることを保障することにあり、それは不変であることをまず訴えた。
EUは現在4億5000万人の人口と無数の動物を抱え、EMAは1000人の従業員とEUの規制網には4000人の専門家を擁する。
EMA発足以来の主要事業を回顧してみよう。
EMAは、EU各国の規制当局の業務を調和させ、一元化させる格好でスタートした。ヒト医薬品および動物医薬品を管掌するほか、2000年には希少疾患、04年には植物薬、06年には小児用薬、07年には先進医療医薬品など分野別の特化させた委員会を設置した。
2000年の希少疾患の委員会が設置された際、患者と専門家に委員会の門戸を開放した。現在、EMAのほとんどの科学委員会では患者と専門家がフルメンバーとなっている。14年には患者が初めてヒト医薬品委員会(CHMP)で医薬品のリスクベネフィット評価について論議した。一方、12年には、ファーマコビジランスおよびリスク評価委員会(PRAC)の設置により、EMAは、欧州全般の医薬品安全性モニタリングに一層重要な役割を果たすようになった。15年1月からEMAは、欧州における医薬品の意思決定に根拠を与える臨床データを公開する画期的政策を実施。患者、医療専門家、学界および業界に前例のないレベルの透明性を提供している。19年には、英国のEU離脱に伴い、EMAはロンドンからオランダ・アムステルダムに移転した。25年、EMAは新たな薬事法制定の準備を行っている。
EMAのEmer Cooke理事長は、「この30年は、誇りに思うべき、かつ祝うべき欧州の物語である。我々は、目前に課題が横たわっていることを知っているが、我々の将来は信じられないほど明るい。私は、我々が開かれたコミュニケーションと協力によって、決めたことを成し遂げられると信じている。皆で一緒に、イノベーションから安全かつ有効な医薬品への近道へのビジョンをかなえよう」と話した。